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自由の星の下で  作者: そーゆ
前史
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第二話:民族共産党の誕生

カール・ラデックの名は、1919年の初頭にはまだ無名のものだった。彼は、ポーランドの労働者階級の家庭に生まれ、若い頃から社会主義に傾倒していた。だが、ローザ・ルクセンブルクやカール・リープクネヒトの理想主義的マルクス主義に満足せず、ラデックは独自の道を模索した。彼の思想は、階級闘争と民族の団結を融合させる異端のものだった。「プロレタリアートは国境を持たないというが、帝国主義の鎖を断ち切るには、まず民族の魂を結集せねばならない」と彼は演説で繰り返した。この言葉は、敗戦で打ちひしがれたドイツ人に、希望と怒りの火を灯した。


1919年のスパルタクス団の蜂起がドイツ政府によって血まみれに潰された後、ラデックは地下に潜った。彼は、ミュンヘンやドレスデンの工場地帯で、失業した兵士や労働者を集め、秘密の集会を開いた。そこで語られたのは、単なる社会主義の理想ではなかった。ラデックは、ヴェルサイユ条約を課した連合国への復讐、ドイツ民族の再生、そして「真の平等」を約束する社会の建設を説いた。彼の言葉は、資本家と貴族を敵とするマルクス主義に、民族主義の情熱を織り交ぜたものだった。「我々は労働者の国を築く。だがそれは、ドイツ人の魂によってのみ可能だ」と彼は宣言した。


1920年、ラデックは「民族共産党」(Volks-Kommunistische Partei, VKP)を結成した。党のシンボルは、黒地に赤い鋤と剣が交差する旗だった。鎌は労働者を、剣は戦士を象徴し、赤は革命の血を意味した。党の綱領は単純明快だった。資本主義の打破、連合国への報復、ドイツ民族の団結、そして「レーテ(評議会)」による直接統治の確立。ラデックは、議会制民主主義を「ブルジョワの茶番」と切り捨て、労働者と兵士の評議会が国家を導くべきだと主張した。

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