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もうひとつの仮面

 ライザとユーゴはカフェバーに来ていた。その視線の先には艶やかな女性がいた。その女性に話しかけられた男性はただその女性に夢中のようだ。

 「ユーゴ あれがあなたの見たいと言っていた《妖艶なるドリーム》と呼ばれるレイリーのもう一つの顔よ。」

 「あれが本当にレイリーなのか?その持つムードといい声音といい、眼差し一つのの使い方さえ違う…あれはレイリーとは違うもう一人の人物だ。おそらく俺も気づかない…あそこにいる彼等同様の反応をしているだろう」

 「そうね。彼女の持つ力の一つよ…あの眼差しから逃れられる男性は少ないでしょうね。ああやって重要人物や大きな鍵を握っている人物から、情報を収集する。男性限定になってしまうけどね。」

 そして情報を提供した者は何を聞かれたのかも覚えていないし彼女の顔さえ記憶にないという…あるのは楽しい夢のような時間のみ…周りにいた者達さえ彼女を覚えていないという。

 「あたし達が覚えているのは、『守護する者』だから…」

 「そうか…彼女があの姿でいるという事は、すでに次の戦いに向けて動き出しているという事か」

 ライザは大きく頷くと言った。

 「私も始動しているわ。ユーゴあなたもでしょう…今朝早くあなたのパレスに人が訪れまもなく出掛けて行った。」

 「よくわかったな…」

 「私を誰だと思っているの‥トレビのライザよ。」

 「そうだったな。また一緒に頑張ろうぜ」

 ライザは頷いた。二人は握手をした。

 「俺も仲間に入れろよ。」

 二人の肩に手を掛けキースが言った。

 二人はその声の主を見た。

 「キース お前いつから此処に…」

 ユーゴが言った。

 「さっきから此処にいたのに二人共気付かないんだものな…ライザの側にいるのがお前じゃ無かったら殴っていたぜ。」

 キースが冗談めかして言った。

 キースもユーゴもレイリーの姿を見て驚いていたらしい。

 キースは《妖艶なるドリーム》を見てみたかったからケインの所に言ったら此処に来ればみられると教えたらしい。

 「でもあれがあの前の戦いの時に不安そうにしていたレイリーと同一人物なんて信じられないよな…」

 「そうだな…いつでも俺達の後ろに隠れる様にいて、自分が前へ出ようとはしなかった。そして影から俺達を支え安らぎを与えてくれた。」

 「今のレイリーは前と同じ様に私達を支え安らぎも与えてくれる…でも彼女は自らも行動し大胆な活動もこなし…全方向から私達を包んでくれている。私は思うの…今の彼女が本来の彼女の姿なんだろうって…だから私は彼女が包んでくれる様に私も彼女を包みたいって…」

 ライザは心からそう言った。

 ユーゴとキースは黙って頷いた。

 三人は目で合図を交わし合うとその店を後にした。

 次の日の午後はリーダー達の会議があった。各組織の調査でわかっている事を話し合った。その結果魔導士グラッドは少しづつ有力者に欲望を植え付け、それを育てさせやがて己の権力と欲望だけしか考えない人間へと魔の道へと引き込む…そしてそういう魔の気をグラッドは吸収し力を増大させるという事がわかった。

 レイリーは一息ついた所でハーブ茶を入れた。

 「昨夜は見学お疲れ様」

 と言いながらライザ キース ユーゴの前にカップを置いた。

  三人は面くらったような顔をして苦笑しながら言った。

 「何だ 知っていたのか…」

 キースが言った。

 「当たり前よ…」

 レイリーはそう言いながらケインとリューイの前にもカップを置いていった。そして自分のお茶のカップを手にして席に戻ると言った。

 「最後まで見学されていた方もいらっしゃったようだけど…」

 「えっ 俺達だけじゃなかったという事は…」

ユーゴが言う。

 「まさか…」

 ライザがリューイとケインの顔を見た。

 「その通りだよ」

 リューイが言った。

 「久々に『妖艶なるドリーム』をおれも見たくなったのでね‥」

 ケインが言った。

 「という事は全員か‥」

 ユーゴが言う。

 「そうよ…驚いたわ。皆んないるんだもの…」

 レイリーが言った。

 「考える事は 同じか…」

 キースが言った。自然に笑いが起こった。

 「それにしても見事な変わりぶりだったな…感心したよ…何も知らなかったら…あの姿で隣りに座られて話しかけられたら、俺も夢中になるだろうな。」

 「セクシーでいい女好みのユーゴに認められたって事は『妖艶なるドリーム』と呼ばれている事に自信を持っていいって事よ。レイリー」

 ライザが言った。

 「それは言えてるな…レイリーしか見えてないって感じだったな‥」

 キースが言う。

 「前よりも『妖艶なるドリーム』を自然に演じていたしな‥」

 ケインも言う。

 「あれで聞きだせなかった場合ベッドまでご一緒するのかい?」

 リューイが辛辣に聞いた。

 「ええ 必要とあればね。あたしは今までそうしてきたし、これからもそのつもりよ‥何かご不満でも…」

 「いや それならいいんだ。中途半端で終わっているのかと思ったものでね…それであの男に近づいた目的は‥?」

リューイは棘のある言い方した。レイリーはそれを受け止めると冷静に言った。

 「グラッドが狙っているのは東の王国シルキーらしいわ」

 東からの品の入りがおかしいって噂を聞いてちょっと調べていたのだ。そしたら シルキーの内情に精通している商人が、この街に滞在しているって聞いたから昼間探りを入れてみたのだけどはぐらかされるばかりだったらしい。

 「それで あたしが接触したの。そしたら流通機関の副執務官が執務官を退けて自分がその地位に着いた。流通機関を独占しその利益を貪り 否を言う者を排除しているらしいの…国の大臣も上手く誤魔化されているとも言っていたわ。前はそんな事をする人じゃなかったって…」

 レイリーが説明する。

 「操られているとも考えられるな…」

 キースが言った。

 「早いうちに手を打たないと国王まで害が及びそうね。」

 ライザが言う。

 「そうだな…ワイナーの方へ大臣から捜査依頼がきているので、既に部下を派遣しているが俺も行った方が良さそうだな。」

 ユーゴが動き始める。

 「もし 操られている様なら国王の護りが必要だな。俺も行こう。」

 リューイもテーブルを離れる。

 「俺もこちらで情報を集めてみる。」

 ケインがすぐに指示を出す。テーブルの上には既に事実関係が書き出されていた。


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