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幕 間
ソレに意志はない。
ただ生きる為に食事をして、ただ生きる為だけに動く生命体。
その一生は、辺りに生えている雑草と遜色ない。
「・・・相変わらず、お前達も俺と同じ役立たずだな」
冒険者に倒されたソレの残骸を見下ろす人物が、哀れんだ視線をソレに向ける。
「意志を持たない生命体。 意味のない一生を過ごす哀れな生命体。 そんな哀れなお前達に俺が意味を与えてやろう」
その人物は残骸の肉片を片手で持ち上げると、あとは消えるだけの運命だったソレに
鼓動が鳴る。
「嘲笑う者を許すな。 見下す者を許すな。 憎め。 恨め。 怒れ。 その感情の意志を持った時、お前達は生きる意味を知るだろう」
ソレにその人物の言葉は理解できない。
ソレにその人物の感情は理解できない。
ただ、今まで意志を持たなかったソレは、おぼろげな意識の中で今までにない何かを感じ取る。
―――生きたい
言葉など理解できない。
生きる意味など理解できない。
しかし、その人物に何かをされたソレは考えた事もない何かな感情が生まれた事を自覚した。