1 追放された者
「テメェなんか追放だッ!! さっさと出ていけ!!」
ギルド全体に響き渡る大声が響き渡り、視線はボクのいるパーティーへ集まる。
大声を上げたのはBランクパーティで有名な大柄な身体をした中年の男性だ。
「ななななななななんでですか!? ボク何かしましたか!」
そしてその大声を上げて怒鳴る男の足にしがみついて涙を流しているのはCランク冒険者のナナシノと呼ばれる齢15歳の少年冒険者だ。
「何かしましただぁ~? 逆に聞くが、テメェ今日の仕事で一体何しやがったァ?」
「え? えぇ~とそれは~・・」
「今日はテメェのランクに合わせて初心者も初心者の超低級クエストであるスライムの討伐だ! それをテメェは討伐目的のスライムを前になんだ? あっちこっちに逃げ回るだけで何もしなかったじゃねぇか!!」
「ち、ちがッ! あれは――」
「問答無用ォーーーッ!! いいからさっさとオレ様のパーティから・・出ていけぇぇぇぇええええッ!!」
「ワァァァァあああああああッッ!!」
首根っこを掴まれると、男はそのままナナシノをギルドの出入り口へと軽々と放りなげた。
勢いよく投げられたナナシノはギルド正面にあるゴミ置き場へと着地して、何とか地面への衝突はまぬ画れたが、通りゆく人々から向けられた哀れみの視線と見下す冒険者の視線に思わず顔が赤くなる。
「いいかナナシノッ! オレ様のパーティにはテメェみたいな役立たずを扱う事はできねぇッ! さっさと次に雇ってくれるパーティを探すんだな!!」
大柄な男は最後のそういうと、他のメンバーを連れて何処かへ行ってしまった。
「リーダー。 ナナシノの奴、大丈夫ですかね?」
メンバーの中でも体の細い気弱そうな男は前に歩く大柄な男に声をかける。
「何がだ」
「いや、だからナナシノの奴。 アイツはまだ15歳ですぜ。 そりゃスライムごときで逃げ回る程度じゃ冒険者を続けるのは無理かもしれませんが、せめてもう少し面倒を見てやっても」
「逆だ」
「・・・はい?」
リーダーの言う言葉に理解できず、男は首を傾げる。
「アイツはこのパーティに居ても成長できねぇ」
「えぇ~。 じゃあ他のパーティなら成長出来るんですかい?」
「・・・・さァな」
「さぁなって、リーダ~」
その後も細みの男がリーダーに説得を続けるが、リーダーは聞く耳も持たずメンバーを引き連れて街から離れた。