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冒険〜学園に通ってる場合ではない

道中の細かい描写はすっ飛ばしてます。

べ、別に、面倒くさいからすっ飛ばしたわけじゃないんだからね!

 私は冒険者登録を済ませると、手始めに低ランクの討伐依頼から熟していった。

 このゲームはノベル形式なので戦闘シーンは無いのだが、覚醒前とはいえ魔王を封印する能力を持つヒロインだからか、魔術師としてのスペックは高かった。

 一狩り行こうぜ!なノリでガツガツと魔物を刈り取ってゆく。

 今日の晩のおかずはデビルラビットのお肉だ〜!わ〜い!シチューにすると美味しいんだ!


「そろそろ飯にするか?」


 空を見上げると太陽が真上に上っていた。朝から狩りをしても前程は疲れなくなった。多少は体力が付いてきたようだ。

 私は一人分の敷物を拡げてそこに腰掛けると、鞄の中から乾燥させた草で包んだお弁当を取り出した。

 包を解くと幾つものおにぎりが顔を出す。ツヤツヤとしたお米達が食欲を誘ってくる。海苔が手に入らないのが口惜しい。

 あんぐりと大きな口を開けてそれを頬張ろうとすると、物凄く熱い視線が注がれている事に気がついた。

 ふと横を見ると、ダインが目玉を大きく開けて食い入るのようにおにぎりを見ている。


「ま、まさかソレは!伝説のにぎり飯か⁉」

「伝説でもなんでもない只のおにぎりだよ」


 この国で手に入る米は、前世で言う「ジャバニカ米」と呼ばれる品種のようだ。やや粘りがありリゾットやパエリア等に向いているが、日本で主に食される「ジャポニカ米」と比べると、おにぎりにするには粘りが足りずに崩れてしまう。

 だが私は見つけた。数百種類ある米の中からジャポニカ米に近い粘りのあるものを!前世の記憶が目覚めてから僅か2ヶ月で!ドヤァ!

 それを笹に似た形と大きさの葉で包み、しばしば携帯食として持ち歩いていた。

 我が家は爵位の低い商人上がりの新興貴族であるが、財政は豊かだ。金にものを言わせれば何とかなるもんだ。


「ひとつ食べる?」

「いいのか⁉」


 おにぎりをひとつ受け取ると、待てをされていた犬が開放されたかの様に貪りついた。それでもダインの興奮は冷めやらない。


「ヤバイ!中にシャケが入ってる⁉」

「シャケじゃなくてサーモンね」

「懐かしすぎて涙が出てきた…コレで海苔が巻いてあればなぁ…梅干しは⁉ 梅干は無いのか!」

「海苔や梅や紫蘇はなかなか手に入らな………………え?」

「モゴ?」


 ダインはおにぎりを頬張りながらキョトンとした顔をしている。


「……ねえ?日本て知ってる?」


 


「マジか!この世界、魔王とか居るのか!これなんてゲーム⁉」


 まさかこんな身近に、しかもモブですらないダインが転生者だったとは予想外だった。


「ホーリーライトファンタジアって言う乙女ゲームの2作目だよ」

「は?RPGじゃねえの?」


 ダインはあからさまにガッカリした顔をしている。見た目も中身も乙女ゲームとは縁が無さそうな彼が何故にこの世界に生まれ落ちたのかは永遠の謎だ。


「それで、魔王を自力で倒すために冒険者になりたかったのか」

「だって、そうじゃ無ければこの国が魔王に滅ぼされるか生徒会メンバーの誰かと恋愛しなきゃいけないんだよ、あんなキャラの濃い人達と恋愛とか無理」

「あ〜、確かにあの高貴な人達はキャラ濃いよな、殿下も王子様ムーブが露骨すぎるし」

「でしょ?」


 ちなみに、私達の会話は日本語ではない。前世の記憶があるからと言って流暢な日本語が喋れる訳ではないのだ。

 なんちゃってヨーロッパな世界観だからか、この国の言葉はほぼ英語だ。そして私達の発音する「日本」もまた英語訛な「ニホン」になる。むしろ「Japan」の方が言いやすい。なんなら歌って踊りながら叫んでもいい。

 日本人が英語やカタカナ語を取り混ぜて喋るのと逆の形で、日本語の単語を取り混ぜて英語で会話していると言えばお解りだろうか?


「ダインは何時から前世の記憶があるの?」

「12歳だ、無茶して頭を打った時のショックでな」

「12歳?それってもしかして」

「そう、俺が冒険者として……」

「一足先に厨二病が炸裂しちゃったんだね!」

「身も蓋もねえ言い方ヤメロ」


 それから私達は伝説や幻の装備やアイテムを求めてダンジョン攻略を開始した。

 ダインは嬉々としてダンジョンの情報を集めてくる。正直、事情を知っている人間と行動を共にできるのは非常に有り難い。

 私1人だったらここまで効率的に物事を進められなかっただろう。

 学園が夏季休暇に入ると、私達は王都から足を伸ばし、毎日ダンジョンの探索やギルドの仕事に明け暮れた。


 しかしダインはいい身体をしている。怪我を負ったダインを回復するため、上半身の衣服を剥ぎ取ると、それは見事なシックスパック、いいキレ具合だ。


「な、何だよ?何見てんだよ?」

「いやぁ、いい〜筋肉してますねぇ」

「お宝鑑定士みたいな褒め方ヤメロ」

「触ってもいい?」

「なんかお前の手付きイヤラシイからヤダ」

「ええぇ〜」


 ほんの冗談だったのだが、本気で嫌がられるとちょっと傷つく。私は顎を突き出して顔を歪め、悪態をついた。

 それを見たダインも、眉間にシワを寄せなんとも言えない残念な顔をしている。


「お前……その美少女台無しな変顔、俺の前以外では止めとけよ?」

「何それ?くどいてんの?」

「ちげーし!」

「なんだとう!『俺以外にそんな顔見せんなよ』って口説き文句の定番じゃないか!」

「みっともないからやめろって話だよ!」


 こんな感じで、私達はすっかりいい悪友と化していた。

 これがアメリカンホームドラマなら、何処からともなく謎の笑い声が聞こえてきそうなやり取りを繰り返している。



 ある日、とある辺境でスタンピードが発生しているとの知らせがあった。

 この所、魔王の復活が近付いているせいか、少しずつ禍々しい力が漏れ出ているため、あちこちで魔物が発生している。

 原作でも魔物に襲われるシーンが何度かあった。レベリングが必要なゲームではないが、様々な形で魔王復活の伏線として触れている。

 

 私達は魔物の討伐チームに参加し、次々と魔物を狩り獲ってゆく。

 スタンピードが落ち着いた頃、辺境にひっそりと佇む小さな村を発見した。

 私達が村に足を踏み入れた時にはもう、そこは魔物に蹂躙され尽くした後だった。

 辺りには死臭が漂い、家屋が破壊され、魔物の吐き出す炎で焼かれたのか、あちこちで炎や煙が燻っていた。


「あっちの方から何か感じる」

「あっ!おい!アリアナ⁉」


 ふと気になる魔力を感じ、焦燥感に駆られて駆け出すと、あちこちが破壊されている中、辛うじて形を残している石造りの建物に辿り着いた。元は神殿か何かだろうか?

 ここへ向かう道中にはおびただしい数の魔物と人の死骸が転がっていた。

 若干躊躇しながらも重い扉を開け中に入ると、そこには大事そうに一本の剣を抱えた少年が倒れていた。その剣からは光の魔力の残滓を感じる。


「ダイン!どうしよう!ヨダレモノの美少年拾っちゃった!」

「お前、言い方……ってか早く回復!回復!」

「う、うん!」


 少年の傷は深くは無かったが、体力も気力も使い果たし弱りきっていた。

 少年の身体を抱き寄せ、回復魔法をかけ続けていると、瞼がピクリと動き、そしてゆっくりと目を開けた。


「僕、生きてる?」


 短い呼吸を繰り返しながらゆっくりと身体を起こすと暫く呆然とし、次第に過呼吸になりそうな程に息が荒くなる。


「みんな、みんな死んだんだ、魔物にやられて…僕を助ける為にみんな、僕が最後の子供だからって……」


 言いながら握りしめる拳は震え、絶望に歪められた顔面は蒼白で、再び倒れてしまいそうだった。

 取り乱す少年を私達は必死で宥め、足元の覚束ない彼を支えるようにして村を後にした。


 少年の名はリオン、13歳。銀色の髪に金色の瞳を持った神秘的な美貌の美少年だ。

 この村では近年なかなか子供に恵まれず、リオンが最後の子供だったそうだ。

 魔物に襲われた時、両親や村の者達に、代々村で守り続けていた聖剣を渡され、リオンだけでも生き残るようにと守られて辛うじて生き残った。

 原作ではどこぞから発見された聖剣だけが登場する。ヒロインと結ばれた攻略対象者がそれを使ってヒロインと共に戦うのだ。

 原作でのリオンはどうなってしまったんだろう?生き残って保護されたのか、そのまま死んでしまったのか、後者でないと願いたい。


「リオンは寝たのか?」

「うん」

「ならお前も風呂行ってこいよ、リオンは俺が見てるから」

「うん」


 今回依頼を受けたギルドに戻る途中の街で、私達3人は宿を取った。

 私はリオンを落ち着かせ、温かい食事を取らせ、手拭いで軽く身体を拭いてやった。

 その間に近くの大衆浴場で湯浴みを済ませたダインが戻ってきた。

 私はすっかり冷めてしまった桶の湯に手ぬぐいを浸すと軽く濯いでサイドテーブルに置いた。

 ダインは自分用のベッドに腰を下ろすと、俯き加減で浮かない顔をしている。


「なんか元気無いけどどうしたの?らしく無いじゃん」

「俺さあ、調子に乗ってたなと思って」

「うん?」

「前世の記憶が戻って、漫画やゲームみたいなファンタジーな世界に生まれ変わって、強くなれば何でもどうにかなるって思って浮かれてた」

「うん」

「この世界に魔王が居るって聞いて、むしろ嬉しくなったわけよ」

「うん」

「でもさ、そのせいで死ぬやつも居るわけだろ?」

「うん」

「リオンの家族や村の人達が皆殺しにされたのを見て、俺…初めて怖くなったんだ」

「うん、そっか…」


 ダインはなにやら唸りながら右手で頭をワシャワシャと掻きむしった。


「なあ、魔王の討伐…封印?だっけか、必ず俺も連れて行ってくれ!」

「そりゃあ心強いけど、大丈夫なの?」

「俺には魔王を倒す力なんて無いけど、お前を守るくらいの事は出来るはずだ」


 ダインの表情は何時になく真剣だった。こういう時、年齢に不相応な大人っぽさを感じる。

 この世界では私達はまだ15歳の子供だ。でも、傷ついた少年を目の当たりにして、前世ではそれなりに大人だった時の感覚が蘇ったのだろう。

 それは私も同じだった。


「……うん、ありがとう、よろしく頼むよ相棒」

「ああ、任せろ」


 私達は握り拳を打ち合せると、顔を見合わせて微笑んだ。


 間もなく学園の夏季休暇は終わる。でも今のままでは魔王と対峙する為の準備が間に合わない。

 私は学園に休学届を出して冒険者活動を続けることにした。高貴な方々の面倒は…きっと誰かが見てくれるだろう、うん。

 するとダインだけでなくリオンも付いてくる事になった。

 正直、聖剣の所在をどうするかは悩みの種だった。リオンを安全な所に置いておきたいが、命がけで守った聖剣を私達が預かるのも気が引けた。

 かと言って神殿や王家に聖剣を引き渡してしまえば、来るべき魔王との戦いに聖剣の力を借りることができない。

 正直、攻略対象者達は戦力として期待できない。となれば戦闘力の高いダインが聖剣を振るう方が勝率が上がるだろう。

 しかし予想外な事にリオンの戦闘能力は高かった。幼い頃より聖剣の護り手として鍛えられていたのだそうだ。

 しかも、リオンにも僅かながら光魔法の素質があるようで、ダインよりも聖剣との相性は良さそうだった。

 そして何より、仲間の敵討ちとばかりにリオンも魔王討伐への参加を望んでいた。


「僕もアリアナ達と一緒に行く、村の皆の仇を打ちたいんだ」

「危ないからって言っても聞く気は無いよな?」

「うん」


 リオンを危険に晒す事への不安もあったが、本人の強い意志を無下にする事も出来なかった。


 こうして私達は3人で旅を始めたのだが、気付けば旅の道中で更に仲間が増えていた。


「喜びなさい!この私があんた達のパーティーに加わってあげるって言ってるのよ」


 年齢不詳の美魔女ミレーネは、燃えるような赤毛の美女だ。凄腕の魔道士で攻撃魔法に長けている。

 おそらく私達の親と同世代だろうが、それに触れる事は恐ろしくて出来ない。私は命が惜しい。

 元々組んでいたパーティーから抜けた直後で、私達の遺跡探索に加わってからそのまま居着いてしまった。


「一宿一飯の恩義、痛み入る、しばしの間アリアナ殿の力になりたい」


 行き倒れていた所を助けたシグレは30代の東方人、見るからに忍者とか密偵とか暗殺者っぽい見た目をしている。

 どうやら遥か東方から人を探して彷徨っていて行き倒れたらしい。

 恩を返すとか何だと言って付いてくる事になったのだが、ダンジョンでの罠解除能力や偵察に優れている。


「あんた達について行けば、珍しいお宝が手に入りそうだ、オイラも連れて行ってくれよ」


 最後に旅商人のザジスが加わり賑やかなパーティーになった。

 ザジスは二十前後の賑やかな青年で、商人を目指しながらも薬の調合術に長け、冒険者として様々なパーティーに加わりながら、珍しい魔物や植物の素材、はたまたダンジョンでの魔導具や遺物を採集しているようだ。

 遺跡の知識が豊富で魔導具の鑑定もできる。後方支援としてはなかなか役に立つ男だった。


「本格的なRPGみたいになってきたな!」


 ダインはとてもウキウキしていて嬉しそうだ。しかし、その裏には魔王討伐への緊張を誤魔化そうとしているのが分かる。

 本当に魔王に勝つ事ができるのか、聖女の力無くして封印は可能なのか、決戦の時が近付くにつれ、不安は大きくなってゆく。



 そして紆余曲折あって、遂には精霊の楽園にたどり着き、そこでリオンが過去に魔王を封印した勇者の末裔である事が判明した。

 伝説の勇者は光の精霊と人間の間に産まれた子供だった。この聖剣もまた、光の精霊の力で作られたものだ。

 だが、過去の戦いでは魔王を倒す事は叶わず封印するに至った。それからというもの、リオンの村は魔王復活に備えて聖剣を守り続けていたのだ。

 リオンの村は勇者の血筋を根絶やしにする為に魔王の配下に襲われたのだ。聖剣の真の力を発揮するには光の精霊の落とし子である勇者の血筋が必要だった。

 更に貴族学園は魔王を封印した遺跡の上に建っているのだそうな。

 しかしそれを知るものは今では精霊達と勇者の一族のみだったとか、封印後の管理がずさん過ぎる。国は何やってるんだ国は。


 精霊達の加護を受け、リオンは勇者に、私は聖女に、ダインは剣聖に、ミレーネは大魔道士に、シグレは忍者に、ザジスは錬金術師へとジョブチェンジした。


「なあ、やっぱコレ、乙女ゲーじゃなくて『ダインの大冒険』ってRPGの世界じゃね?」

「あんた勇者じゃないじゃん!」


 思わず、お笑い芸人ばりの勢いでダインをどついた。


「もしダインが主人公なら『乙女ゲームのモブですらない俺がいつの間にか剣聖になってた件』とかじゃない?」

「生々しいタイトル付けるのヤメロ」


 ちなみに、ここで言うジョブとは、精霊から与えられた加護を分かりやすく表した称号のようなものだ。

 ぶっちゃけ聖女じゃなくても美少女戦士でも魔法少女でも構わないと言う衝撃の事実。


「人間はずるいんだ、力をあげたのは僕たちになのに、人間が作った『カミサマ』のおかげだって言うんだ!」

「だから、カミサマを信じてる人間は絶対に助けてあげないんだから!」


 神殿に仕える者に聖女や聖人が現れないのはそんなカラクリがあったのか。しかも、後に神殿に所属しても力を失わなかった者は心から神を信仰してなかったとは、何と言う皮肉だろうか。

 要するにヒロインが聖女に覚醒したのは、神に祈るのではなく、大事な人を護る力が欲しいという個人的な思いが精霊達に届いたが故だったと。


「大丈夫!私は無神論者だからカミサマなんて信じてないから!」


 私はそう言って、精霊達に親指を立ててニヤリと笑った。

 将来的にトリッキーなジョブを量産してもらうため、私は美少女戦士や魔法少女、はたまたヒーロー戦隊やライダー達の物語を精霊達に熱く語った。

 血湧き肉躍る物語に精霊達は大喜びし、もっと色んな物語を聞きたいとせがんだ。私はこれを「世界厨二病化計画」と名付けた。

 すると、私のジョブ名を聖女から美少女戦士に変えてくれた。そっちの方がカッコイイからだそうな、マジか!


「いいなあ、忍者かっけえ」


 そしてここにも1人、既に厨二病に侵された人物がいる。

 ダインは常に横目でシグレをチラチラ見ていた。西洋ファンタジーよりも東洋ファンタジーや時代劇の方が好きなのだそうな。


「でもシグレは元からなんか忍者っぽかったよね?」

「違うだろ!弥○が飛○にジョブチェンジしたんだぞ!全然違うだろ!」

「ゴメン、その例え、私には全然分からない」


 彼は末期患者だ、もう手の施しようがない。仕方がないので対処療法を試みることにした。


「日本ぽくしたいなら、剣聖の代わりに侍とでも名乗れば?」

「嫌だよ、この見た目だと『ジャパニーズサームライ!ゲイシャガール!ハラキーリ!』とか言いそうな日本かぶれの外国人にしか見えないだろ」

「あ、うん…それは否定できない」


 ええ、なんせ今の私達はどう見ても西洋人。更に私はピンク頭で明らかに二次元の世界の住人だ。


「あの子達、時々不思議な単語を使うのよね、どこの国の言葉なのかしら?興味深いわ」

「アリアナとダインばっかり仲良くしててズルい…」


 リオンは不貞腐れた顔で私の瞳をみつめた。シュンと垂れた獣の耳が見えるのは幻覚だろうか?


「リオン!何その悩まし気な上目遣い!私を萌え殺す気?それとも腹上死をお望み⁉ 駄目よそんな、お姉さんは君を愛でてるだけで幸せなんだからっ!」


 美少年の拗ね顔美味しく頂きました!ご馳走様です!でもまだまだ食い足り無いです!お腹いっぱい下さい!


「リオン、アリアナはお前が思ってるような淑女でも聖女でもないからな?騙されるなよ?」

「アリアナの冗談の意味はよく分からないけど、僕……騙されてるの?」

「今のこの状況でそう言えるお前は天然なのか?それともそう言う性癖なのか?」

「ごめん、ダインの質問の意味もよく分からない」

「いや、分からなくていい」

「も〜、リオンはホントに初心で可愛いんだから〜」


 私がニコニコしながらリオンの頭を撫でると、顔を真っ赤にしながら「こ、子供扱いしないでよ!」とそっぽを向いて悪態をつく、その姿も微笑ましい。

 私達はたったの2歳差だが、ついつい子供扱いしてしまう。

 前世の記憶は曖昧なところも多く、自分が何歳まで生きたのかも不明だが、持ってる知識からすると少なくとも社会人だったと思われる。なので、美少年を愛でてしまうのは仕方のない事なのだ。

 そんな私にダインがじっとりとした眼差しを向けた。


「ロリコン眼鏡ウザいって言うけど、お前も大概だからな?しかもあの人の場合、合法ロリ(婚約者)だからな?」

「私だって合法ショタよ!脳内でどんなに凌辱したって犯罪にはならないもん!でも生身には手を出す意気地はないもん!そう!脳内だけが何時でも何処でもファンタズィ〜」

「脳内エロババアこえぇぇ…」

「ヲタク女子の性癖なんてみんなこんなもんよ!」

「全(前)世界のヲタクに謝れ⁉」


 斯くして、私は遂に聖女……否!美少女戦士へと覚醒する事が出来たのだ。

 必ずまた遊びに来ると約束し、私達は精霊郷を跡にした。


BBAの手慰みにお付き合い頂きありがとうございます。

少しでも楽しんて頂けると幸いです。

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