7.お話ししながら歩きましょう
月1投稿レベルになってしまい申し訳ありません。
頑張ります。
「さて、これからの動きは頭に入ったかな?」
「えぇ、問題ないわ」
「よし、早速急かして悪いが今日はこの村を素通りして先の町へ向かうよ」
どのみち、ここは農村。
為旅支度をするのは難しい。
この村の先の町には小規模とはいえ、ある程度の物流がある。
おそらく宿もあるだろう。
「急いでいるのだもの、構わないわ」
早速、とソロンとマーリンは立ち上がり歩きだす。
「理解が早くて本当助かるよ、にしても…」
「こんな農村にまで列車が通っているとはね」
「下調べの時も思ったのだけれど、随分と細々しく路線が有るね?」
カメリアを中心にだが、列車は遠い農村まで走っていた。
「農村だからよ」
「と、言うと?」
「……興味あるの?」
「長い旅路だからね、話のネタは多いに限る」
「歴史の話なんて面白いのかしら?皆知ってることよ?」
貴方、カメリアの魔術師だったでしょう?
「君から聞くから良いんじゃないか」
「……そういうものかしらね…?」
ソロンは何か思うことがあったのか、嫌がる素振りもなくマーリンに話し始める。
「戦争の後、カメリア国だけではなくその周囲、被害を受けた村や町に平等に支援が行き届く様にしたのよ」
誰も傷ついたままにしないよう、一刻も早く復興を、と。
「当時の王と……宰相によってね」
「王と宰相…ロードかい?」
「えぇ、そう私の父」
「王も、父も亡くなるギリギリまで尽力されてね」
そのお陰で周囲からの反発もなく戦前とほぼ変わらない生活を取り戻した。
「それを、少なからずカメリア外国の村や町は恩に感じたのでしょうね」
「国への吸収合併こそ渋りはしていたけれど、協力地域として提携を結んだ」
「それが同盟の始まりよ」
「なるほど…一つ素朴な疑問なのだけれど」
「?」
「なぜ国への合併は渋られているんだい?」
「あぁそれはカメリア国に合併したところで大きなメリットはないからよ」
「それどころかメリットはないのに懸念材料は多いのよね」
ハァ、とソロンは溜め息をこぼす。
「小さな国だからこそ他国から狙われやすい、また戦争となれば駆り出される可能性もある、戦力もない、そもそも元から合併なんて言ってこなかった国が今更なんだ」
「カメリアの唯一良いところは気候と貿易しやすい土地だってだけなのに突飛した国産品もない!」
(あぁ…自分で言ってて悲しくなってきた…)
ソロンは頭を押さえる。
「色々大変だったんだねぇ」
「今も心配かい?カメリア国が」
「……当たり前よ…愛しているもの」
両親が愛したカメリアを
「でも……もう、何も出来はしないわ」
「残酷だけれどその通りだね」
「今、君が守るべきは自分だ、でもロードは本望だと思うよ」
「本望?父が?」
「だって彼、親バカだったからねぇ」
妻と娘が命の代名詞みたいな男だったし、とマーリンはケラケラ笑う。
「……否定は出来ないわね」
昔の父の姿を思いだし、ほんの少しソロンは表情を和らげた。
しばらく二人は歩き続けた。
マーリンはソロンを和ませるよう会話をし、ソロンも嫌がる様子もなく相槌をうった。
目的の町につく頃には日は沈みかけており空はオレンジに染まっていた。
「いやぁ、日が完全に沈む前について良かったね」
町の入り口には【ココット】と書かれた木製の簡素な門が設けられていた。
町中はまだ街灯がついており明るく、そこそこに賑わっていた。
「……」
ソロンは不思議そうに周りを眺める
「珍しいかい?こういうところは」
カメリアからはあまり出たことは無いだろう?とソロンに問う。
「そうね…珍しいというのもあるけど…知り合いがいないかが心配ね」
できれば早く格好を変えて身を隠したい。
「そうだね、でもとりあえず今日は宿を探そう」
暗くなるから準備は明日、とソロンを宥める。
ソロンは何も言わず頷くだけだった。
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