2.キャシャラト大国
まだ色々慣れていないため修正が多くご迷惑おかけします。
友人が物語る悪女と嘘つき魔術師の素敵な未来のお話も楽しんでいただけたら幸いです。
ぼんやり令嬢は正規の手続きで婚約破棄をするそうです。https://ncode.syosetu.com/n5461hs/
「キャシャラト…」
「君ならよく知っているだろう?」
「……えぇ」
知っているもなにも、その大国は"亡き父"の故郷だ。
西の最端、様々な貿易がなされる豊かな国
そして、とても強い国
海賊国と呼ばれるほど様々な海路を発見し海の向こうまで探索を行った。
正直、我が国カメリア国が精鋭を募っても勝てる余地はない
まさかあのお伽噺と繋がりがあったとは夢にも思わなかったが…
「…そんなことお父様は一度も……」
「まぁロードも色々あったからねぇ」
「…そういえば貴方父の友人だったわね…」
まじまじとマーリンを観察する
パッと見、20代前半と言ったところなのに……
(本当いくつよ貴方…)
無駄なことに脳みそを使うのは止めましょう、そう割り切り思考を別方向へ変換する
(それにしてもノワルーナか)
盲点と言えば盲点だが、落ち着いてよく考えれば解ることだった。
お伽噺とキャシャラトの話の共通点
カメリア国にも幻獣と呼ばれる生物は存在していたし、地形、文化的なものを考えて重ねても腑に落ちる要素は多数ある。
可能性は0じゃない。
「…証は私ね…」
信じるしかない
「…怒鳴って悪かったわ」
非を認め謝る
「……」
マーリンは謝罪するソロンをキョトンとした目で見つめる。
「なによ?」
「ソロンが謝った」
鉄面皮で、プライドが高く、誰にも媚びないまさに氷のようと言われるあのソロンが。
「…あのねぇ…」
「あぁごめんごめんつい、珍しかったもんで」
「そうだね…君は元はそういう子だ」
「何か言った?」
「何でもないよ、さぁ終点までは長い少し寝たらいい」
見張ってるから、追っ手のことは気にしないでいいよとソロンを寝台に誘導する
「貴方は?」
「おや?それはベッドへのお誘いかな?」
「馬鹿言わないで」
刺すわよ?
「アハハ、それは残念」
「私は先に休んできたから大丈夫」
「おやすみ、ソロン」
「…おやすみなさい、マーリン」
初めての寝台ベッドは固かったが不思議とよく寝れた。
「さぁ此処からは徒歩だ」
装備を整えようと街へ
「流石に列車に揺られるのも堪えるなぁ~」
マーリンは背伸びをする
「年寄臭いことを…」
あぁ、実際年寄か
「酷いなあどっからどう見ても絶世のイケメ──」
「はぁ?」
「うん、その絶対零度の視線が痛い」
まるで自分が虫けらに思えるよ
「何言ってるの?虫けらに失礼よ?」
「酷すぎない?」
「何人もの女を泣かしてきた貴方だけには言われたくないしそれにいいのよ…」
「私は悪女なんだから」
ニヤリ、と黒く美しい笑みを見せる
「そんな君も美しくていいけど…ここでは控えた方がいいかもね」
「なぜ?」
「追っ手が来ないとも限らない」
国外追放は国を追われてお仕舞いじゃない
終始監視がつくもの、また罪を企てぬよう
「私がある程度施してきた偽装工作もそろそろバレる頃合いだ」
「…大丈夫なの?」
「大丈夫、大丈夫」
「その自信の根拠は?」
「ほら、逃亡劇にはスリルが付き物だろ?」
「…聞いた私がバカだった…」
「あははは!まぁまぁ元気だして!」
「今を乗りきれば後はなるようになるさ」
「大きな国との同盟もないカメリア国よりも、数多くの国と交渉を結び、尚且つ力のあるキャシャラトにさえ逃れれば君は晴れて自由の身だ」
カメリア国とキャシャラトはある程度の物流の決まりはあっても国同士の条約は未だ定めていない
つまり、国内に入ってしまえば簡単には手が出せない
「カメリアにはキャシャラトを動かせる交渉材料なんて無いしね」
マーリンは確信を持って断言する。
「まぁとりあえず逃げ切るまでは、頑張ろう~!」
マーリンは相変わらずふわふわしたままの空気感でソロンを鼓舞する。
ソロンは呆れた、と言った顔でため息をつくもマーリンについていく。
ソロンにはそれしかもう、手はないのだから。
(まぁ今頃向こうはパニックだろうけどねぇ…)
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