表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある師弟の帰り道  作者: takemot
93/94

エピローグ

「部長、お疲れさまでした!」


「「お疲れさまでした!」」


「お疲れ様。気をつけて帰ってね」


「「「はい!」」」


 あれから数か月。僕は二年生となり、将棋部の部長となった。新入部員も何とか確保し、部室の中は去年より騒がしくなった。


「……先輩も、こんな気持ちだったのかな?」


 僕以外、誰もいなくなった部室。かつて、先輩が座っていたパイプ椅子の背もたれにもたれかかりながら、天井を見上げる。蛍光灯の光が僕を眩しく照らす。僕の心には、少しの寂しさ。


「……さて、帰ろう」


 荷物をまとめ、部室を出る。鍵を閉め、それを部室棟のキーボックスへ。そのまま、部室棟を後にする。部室棟を出て右。学校の東門。


「師匠!」


「部活お疲れ様、部長」


「……からかわないでくださいよ」


「ふふ。じゃあ、帰ろっか」


「はい」


 今日も、僕と師匠は、学校から駅までの道のりを二人並んで歩く。全く変わらない僕と師匠の関係。でも、それでいいのかもしれない。この関係は、かけがえのないものなのだから。


「あのさ……」


「何ですか?」


「……今度、将棋部の見学に行ってもいいかな?」


「……え!?」


 僕の足が止まる。まさか、師匠が突然そんなこと言うなんて思ってもみなかった。


「……だめ?」


「い、いや、全然だめじゃないです! むしろ嬉しいです!」


「そっか」


 いつものような穏やかな表情を浮かべる師匠。


「でも、どうして急に……」


 師匠は、僕以外の人と将棋を指すことができない。だからこそ、師匠は将棋部に入部することはせず、距離を置いていた。そんな師匠がどうして……。


 僕の言葉に、師匠は「……そうだね」と一言呟く。そして、優しく微笑みながら、言うのだ。


「いつまでも立ち止まってちゃだめだから」


 前に進むための言葉を。


 きっと今の僕は、満面の笑みを浮かべているのだろう。師匠の言葉が胸の中にじんわりと染み入って来るのが分かる。


「あと、君との関係も進ませないと……」


「……? どういうことですか?」


「…………はあ。そういうとこだよ」


 僕の前で、師匠は大きなため息を吐いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ