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とある師弟の帰り道  作者: takemot
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第49話 ……サプライズパーティーでもする? 

 師匠との帰り道。学校から駅までの道のり。


「師匠、いいニュースですよ!」


 学校を出てすぐの所で、僕は師匠にそう告げた。僕の言葉に、師匠はいかにも興味津々といった表情でこちらを見る。


「……どうしたの?」


「実はですね……先輩が、大学に合格したらしいんですよ!」


 それは、今日の部活動中、将棋をしながらサラリと告げられたことだった。先輩がどこの大学を受験するのか知らされていなかった僕は、もちろん、その合格発表日も知らなかった。それがまさか今日だったなんて。おそらく師匠も驚くに違いない。


「……うん」


 だが、師匠の反応は、僕が思っていた数十倍薄かった。拍子抜けし、思わず足が止まる僕。師匠も僕に合わせて足を止める。


「えっと……もしかして、もうご存じでしたか?」


「……そうだね。一応、先輩がどこの大学を受けるのかは知ってたから。君が入学してくる前、『絶対にあそこに行くんだ』って言ってたし」


 師匠の言葉に、僕はがっくりと肩を落とした。


 テクテクと歩みを進める僕と師匠。僕たちの横を、学生やサラリーマンが通過していく。僕たちが後ろから来た人たちに追い抜かれるのはいつものことだが、今日は、それが今まで以上に多い気がする。もしかしたら、僕たちの歩く速度は、これまで以上に遅くなっているのかもしれない。


「……サプライズパーティーでもする?」


 不意に、師匠がそんなことを呟いた。


 師匠の言葉に、僕は目を見開いた。師匠の口から『サプライズパーティー』なんて言葉が飛び出すなんて、思ってもみなかったからだ。


「いいですね、やりましょう!」


 師匠、先輩、僕。三人のパーティー。これまでなら考えもしなかったことだ。楽しくないわけがない。いや、絶対に楽しくする!


「じゃあ、さっそく計画練らないとですね! いつにします? どこでやります? 何準備します?」


 僕は、師匠に向かって言葉を放ち続ける。それと同時に、段々と、僕の顔が師匠の顔に近づく。心なしか、師匠の顔が先ほどよりも赤くなっているように見えた。


「お、落ち着いて。ゆ、ゆっくり決めていこう」


「あ、そうですね。すいません」


 僕は師匠から離れ、ペコリと軽く頭を下げた。師匠が胸を押さえながら、「ふー」と小さく息を吐く。


「……君、興奮しすぎだよ」


 そう言いながら、いつものような穏やかな表情を浮かべる師匠。


「だって、三人でパーティーなんて初めてじゃないですか。しかもサプライズ。すっごく楽しみです!」


「まあ、楽しみなのは私もだけど……あんまり興奮しすぎたり焦ったりするとミスしちゃうよ。将棋と同じ」


 ピシッと人差し指を立てながら僕に告げる師匠。


「……師匠、なんだか『師匠』って感じですね」


「……何その感想」


 僕たちは、お互いに笑い合う。とてもとても心地よくて。とてもとても安心できて。そして、とてもとても大切な瞬間。


 優しくて穏やかな風が、僕たちの間をフワリと通り抜けていった。


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