第48.5話 師匠と先輩の隠し事①
師匠について、知りたいことがたくさんあった。
どうして師匠は、僕が初めて将棋教室に訪れたあの日、僕と将棋をすることをあんなにも拒んだのか。
どうして師匠は、対局が楽しかったという僕の言葉に、涙を流したのか。
どうして師匠は、僕以外の人と全く将棋を指さないのか。
どうして師匠は、将棋部に入部してくれないのか。
先輩について、知りたいことがたくさんあった。
どうして先輩は、師匠のことが話題に上がると、優しく微笑むのか。
どうして先輩は、僕と師匠にこれでもかというほど気を遣ってくれるのか。
どうして先輩は、時々、寂しそうに微笑んだり、何かをごまかしたりするような態度をとるのか。
どうして先輩は、よく分からない意味深な言葉を呟くことがあるのか。
これら以外にも、知りたいことはたくさんある。本当に、たくさん。
でも、知らなくてもいいかもと考える自分もいる。なぜなら、それを知ってしまうことで、今の関係が崩れてしまう可能性があるからだ。僕と師匠との関係も。僕と先輩との関係も。僕にとってはとてもとても大切で、無くしたくないものなのだから。
この時の僕は見逃していた。僕と師匠との関係? 僕と先輩との関係? そんな捉え方、間違っている。ああ、どうして気が付かなかったのか。
もう一つの関係があることに。これまでの出来事が、僕と師匠と先輩との関係で成り立っていたことに。




