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プラネットルナ  作者: 千代鶴
第一章 初土俵
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4 ルナカツ石板

 いよいよ双子のうさぎ、ミカ兄と妹のシン登場だよ!

 ここは神殿のようだ。エンタシスな円柱がいくつも立ち並んでいて、天井も壁も真っ白な石で出来ている。ギリシア風ファンタジー異世界の神殿といった趣だ。聖母様が運命の三女神の神殿から冒険は始まるみたいなことを言っていたけど、きっとその神殿だろう。

 円柱が大きくて多すぎて最初は見つけられなかったけど、すぐに三つの池の姿を見つけられた。やはり白亜の囲いがあって、アクアブルーの水に満ちていてその真ん中に真っ白な女神様の像が建っている。池の近辺にだけはエンタシスがなく、広い空間になっている。不思議なことに安定していて、ちょっとやそっとのことでは壊れそうに無い。恐怖感や不安感がまったく起こらないのだ。

「ようこそ、プラネットルナへ!」

 三体の女神像がいっせいに挨拶してきた。聖母様のように生きている感じとでもいうのか、存在感、実在感は感じられなかった。

「わらわは運命の三女神が一体、アリス・メイデン」

「わらわは運命の三女神が一体、ノースサクラ」

「わらわは運命の三女神の一体、ミヤ・シオン」

「あ。どうも。俺……。いや、僕は雷電サンダーっていいます。よろしくです」

 存在感は希薄でも相手は神様たちだ。俺はたどたどしさは自覚しつつも、きちんと挨拶を返した。多分、聖母様はあの天界とでもいうべき不思議空間で俺の行動を見ているはずだ。なるべく良い子で行動しよう。お仕置きが恐いから。

「さっそくだが、そなたにこれを授けよう」

 三体は一斉に言うや身体全体がまばゆく光り始めた!光は丸い高エネルギー体みたいな形になって身体から抜けだす。三つの光の玉が空中でひとつになった。いっそう輝きを増して、そして……。

 石板へと形を変えた!石板もまばゆく光っている。レインボーに。

「白と黒、どちらか好きな方を選ぶと良い」

 三体同時に尋ねてくる。

「う~ん。んじゃ、黒で」

「それではそなたには黒色の石板を授けよう」

 三体同時に言う。石板はまばゆい七色の光のまま俺の方へとやってくる。まばゆいばかりの光なんだけど、不思議と目は辛くもなければきつくもない。目の前にまで来た石板を俺は両手でしっかりと受け取る。その瞬間、光は収まり、石板は黒一色になっていた。

「それはルナカツ石板」

 そう言ったのは、おそらくアリス・メイデン。

「プラネットルナで活動していくのに必須なアイテム」

 そう言ったのは、多分ノースサクラ。

「肌身離さず携帯して、決して紛失せぬよう!」

 そう言ったのは、きっとミヤ・シオン。いやあ、神様相手に、俺っていい加減かつ失礼だよな。まさか、心のなかまでは覗いていないよな?聖母様。


「あーのー!これって!どうやって!使うんですか!」

 これで三度目。俺は今までの中で一番の大声で尋ねてみたが、三体の女神像は答えてくれない。石板を俺に渡すや、これで仕事は終えたと言わんばかりに沈黙を続けているのである。

 おそらく、本来の転生者というのは、サテライトアースにいる段階でこの石板の使い方を習っているのだろう。だから、三女神はもう何も教えてくれないのだ。なので、ここは聖母様に教えてもらうより他ないだろう。

「聖母様。見ていらしたんでしょう?この石板の使い方、教えてくだせえ」

「それぐらいのことは自分だけの力で解決なさい。最初から何もしないで他人に頼るようでは、とても仲間を見つけて冒険することなんてできませんよ」

「分かりましたよー!」

 俺自身のことさえ何も分からずにこの世界へやって来たというのに、聖母様ったら冷たいよな。

「その反抗的な態度はなんですか!お仕置きされたいのですか?」

「いいいいや、滅相もございません!」

 俺は慌てて弁解した。弁解と言うほどのことでもないのかも知れないが。聖母様のお仕置きは恐い。それに、その聖母様のこと、きっと何かお考えがあってあえて冷たくしたのかも知れない。よし!ここは俺一人でこの石板の謎を解明するより他ないだろう。そうしなければ、道は開けないのだから。

 まずは石板を眺めてみる。いろいろな角度に持ち替えて観察。てっぺんの方とおぼしきところに、小さな丸みをおぼた角形の出っ張りがあるのと、正面となるのだろう、その下の方に丸い形のくぼみがあることを発見した。あとは側面のところにも二つの出っ張りがあるのを発見する。

 とりあえず、ポチっとな。最初に発見したてっぺんの出っ張りを押してみる。何かしらのスイッチなのではと思ったからだ。だけども、何も起きない。あ!そうか。こういうときは長押しだったな。確か。ということで今度は少し長い時間、押したままにしてみる。

 すると……。


 正面がいきなり明るく輝きだした。そして、画面が現れた!真っ白な画面に登場してきたのは、二匹のうさぎであった。一匹は白でもう一匹は黒。黒い方は赤い色のリボンをつけている。女の子みたいだ。ルナといったらやはりうさぎ、ということなのだろうか?

 今、俺は縦方向に石板を握っていたが、横方向のほうが画面を見やすいかな?と思って横方向に変えてみる。いや、やっぱり、縦方向がいいかな?いやいややっぱり横方向……。

「もう!そんなに頻繁に縦と横を変えないでよ!」

「初期設定前にそんなに回転させたら、壊れちゃうわよ!」

 白うさぎとと黒うさぎに怒られてしまった。ちなみに今は再び縦方向。しばらくはこれで進めていくことにする。

「僕の名前はミカ、シンの双子の兄だよ。よろしくね!」

「あたしの名前はシン、ミカの双子の妹よ。よろしくね!」

 ふむふむ。白い方が兄ちゃんのミカで黒い方が妹ちゃんのシンか。なんだかミカといったら女の子っぽい響きがあるし、シンのほうが男の子っぽい感じの名前だから、少しばかり混乱してしまいそうだな。まあ、そのうち慣れるっしょ。

「これからルナカツ石板の初期設定を行うよ」

「焦らずにあたしたちの案内に従って、ゆっくりと操作してね」

 俺は白うさぎのミカと黒うさぎのシンに従って画面を操作していく。直に指で触れるとそれに画面が反応していく。ルナカツ石板とは、俺の知る日本、いや地球上のいたる所で普及しているタブレットだ。きっと、サテライトアースとは地球のことだと推測しているので、ほとんどの転生者にとっては馴染みのあるアイテムだと思われる。サイズは10インチぐらい。タブレットより厚みがあって重量感もあるが、不思議と持っていて疲れない。俺が力士のせいもあるけど、きっと魔法使いなど力の弱そうな職業の人でも同じだと思われる。なぜなら、これは電子機器ではなくマジックアイテムだから。魔法の力で動いているのだ。なぜ、そんなことが分かるのかって?シンのほうがそう言っていたから。


 なんだか、あまり理解できないうちにルナカツ石板の説明は終わってしまった。とりあえず覚えたのはてっぺんの出っ張りは起動のONとOFF。正面の丸いボタンは、使用しているときに画面を切り替えたり、決定するするときなどに使う。ちなみにここで指紋認証を行い、所有者以外は使えない仕組みになっている。俺も指紋認証は済ませた。側面の二つの出っ張りは音量の大小を行うのであるが、これは画面に直にタッチしても操作はできる。

 まあ、ほぼまんまタブレットなので、完璧に全ての機能を使うのは無理だとしても、普通に使いこなすことはできるだろう。

 さっそくMy情報を見てみる。雷電サンダー。職業:力士、職業LV:十両15枚目(付け足しデビュー)HP:2300 DP:2000 身体能力(1)チカラ105(2)アーリィ59(3)マジック44(4)フィジカルスタンド60(5)マジックスタンド43(6)ナチュラルリカバリー35。ものすごく高い数値のようだけど、実際にモンスターと闘ってみて肌で感じなければ、どれほどの強さなのか理解はできないだろう。まあ、それなりにチートっぽいけどね。

 あと、HPはヒットポイントだとして、DPっていうのは一体何の数値なのだろうか?普通異世界ファンタジーといったらMP、すなわちマジックポイントというのが相場だと思うんだけど、まあ、良いか。旅していればそのうち分かるだろう。

 とにもかくにも、外に出てみなければ。

 

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