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プラネットルナ  作者: 千代鶴
序章 前相撲
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1 聖母と異端者

 なろうデビュー。

 そして、若い頃から憧れていた女流作家デビューです!

 ついにこの日が来たかという感じです。万感の思い、感涙ものです!

 ちなみに、千代鶴という女流作家ネームは、明治後期生まれの父親方の祖母と大正ど真ん中生まれの母親方の祖母から名付けました。某相撲部屋の力士じゃないからね!

 UnnnnM。

 ここはいったいどこなのだろう?

 何よりも……俺はいったい何者なのだろう?

 誰なのだ!名前さえ思い出せない。

 UnnnnM。

 ダメだ。何もかも思い出せない。

 ただ、深い眠りから目が覚めたのだけは理解できる。

 頭がぼんやりしているが意識は案外しっかりしていて、何よりこうして思考できているのは、しっかり頭が働いていてくれているからなのだろう。

 深い眠り、質の良い眠りに就けていたようだ。長い時間眠っていたのか、それとも、刹那の時間なのかは分からないけど。

 ここは……。宇宙なのか?大きな環を持つ大きな球体、あれは土星。巨大で赤いまだら模様なのが木星。透き通るような冷たい碧に土星のような環を持つのが天王星。だったよな?環っかを持たない赤く小ぶりな球体はは火星、なんだか毒々しい感じなのは金星だろうか?バスケットボールからベースボールぐらいの球体が、色鮮やかな星々が輝く宇宙空間に浮かんでいる。夜だから、あんなに大きくプラネットが見えるのか?そんな馬鹿なことはないよな。

 地面が白く煙っている……ここは雲の上、変な言葉だけど地面が雲で出来ている。俺はその上に立っている?いや、座っているようでもあり横たわっているようでもある。摩訶不思議な感覚だ。雲の地面以外にはエンタシスみたいな真っ白な柱が数本、それに大きなハープ。なんだか古代ギリシアの神殿みたいだ。

 空は夜なのに地は昼間。ここは昼と夜の境界線上なのかな?


「目覚めたようですね。わたしは聖母ノン。プラネットルナの真の管理者です」

 俺にそう語りかけてきたのは、若い女性であった。若いといっても体つきや雰囲気からして、成人には達しているはずだ。それにしても……すごい美人。長身で頭のてっぺんからつま先まで、いかなる苦情を受け付けないであろう完璧なスタイル。肌はウサギの餅職人が臼で餅つきをして作った、できたてほやほやのようなもちもち美肌。太陽から産地直送された陽光のようなブロンドロング。宝箱作りの名人が作った宝石箱のような貌の輪郭。サファイヤのような碧い瞳、天へと向かうはしごのような鼻、淡いピンク色の真珠貝のような唇。ようは全部が国宝級!

 着ている服はといえば至ってシンプルな物だ。透き通るような純白生地の法衣というのか神官服というのか、宗教めいた衣服を一枚纏っているだけなのだ。いや、この女性そのものが国宝級の宝物をいくつも納めている博物館のようなもの。変に飾り立てたドレスを着ているよりよほど似合っている。それにしても、見えそうで見えないのがちと残念だ……。

「俺の名は……」

 俺は懸命に思い出そうとする。ピコピコピコ……ピンポーン!とはならない。ようは思い出せない。

「やはり、あなたは自分がいったい何者なのか全く理解できていないみたいですね」

「ええ。まあ……。もしや!あなたは俺のこと、何か知っているんじゃないですか?」

「いいえ。残念ながら。この世界、プラネットルナの全てを掌握し管理している私でさえ、あなたが何者なのか全く分からないのです。ですから、代価を払ってこの世界へとやって来たごくごく普通の転生者には、運命の三女神たちがその対応に当たるのですが、あなただけは私が直に対応することにしたのです」

「色々と仰っていることが理解できてはいないんですけども、もしかして、俺って、えと、プラネットルナだったかな?その世界に転生してきたイレギュラーな転生者。招かれざる客とでもいうべき存在ってことで良いんですか?」

「ええ。そのことだけは理解できたようですね。はっきり言って、あなたはプラネットルナにとって、世界が創造されて以来未曾有の異端者なのです。ですから、この世界の最上位の存在である私が直に対応し、場合によってはあなたの存在をここで抹殺しなければならないのです。その場合は許してくださいね」

 聖母ノンは穏やかに言ってのけたけど、そんなの許せるわけねーじゃん!そもそも自分が何者なのかさえ分かっていない状態で殺されちゃうなんて、理不尽極まりない話しでしょ。俺だってこの世界に望んでやって来た分けじゃないのに。


 聖母ノンは、そのあと色々と語ってくれた。この世界はプラネットルナという、剣と魔法がモノをいうファンタジー世界であること。サテライトアースという異世界があり、そのサテライトアースから代価を支払って大勢のアース出身の冒険者や街の住人、神殿の僧侶などが転生してくること。そして、おそらく俺はアース人なのだろうが、正当な代価を支払わずにこの世界へと転生されて来てしまったこと。

 そして、聖母ノンというのはプラネットルナでは神々や魔族さえ超越した存在であり、彼らさえ瞬殺してしまうほど強烈なまでのチートな強さを持っているということである。あくまで俺の想像であるが、彼女はその気になればプラネットルナそのものを消滅させてしまうほどの、力を有しているのではないだろうか?もちろん、俺を瞬殺することなんて造作もないことだろう。彼女はまた、新しく世界を創造するほどの力もあるように思えるのだ。つまりは、彼女こそこの世界の真の神であり、そして、唯一の神。

 怖ろしい存在であるが、不思議と恐くはない。彼女からはとても優しくて慈愛に満ちたオーラを感じるから。いわゆるバブみってヤツ。こちらもすごくチートだ。

「まず記憶を取り戻すのが、あなたがプラネットルナで最初に為すこと、あるいは冒険していく目的そのものになるでしょう」

「冒険?確か定住することも出来るとか言っていたけど、そっちの方は選択できないんですか?」

「ええ。その選択肢はあなたには用意されていません。あなたにはあなたの望むだけの能力を与えて、プラネットルナ中を旅してもらいます。世界中を旅して、さまざまな土地でいろいろな人たちと出会い、交流したほうが記憶を思い出せる可能性が高くなるからです。何より冒険の仲間を見つけて経験を重ねていくのが一番でしょう。きっとあなたも、サテライトアースでどこかしらの学校か職場に所属していて、仲間だっているはずでしょうから。多くの人と接するのが記憶を取り戻す一番の近道になるはずです。

 というわけで、これからあなたに能力とその能力によって得られた姿を与えます。なお、一度決まった能力と姿は二度と変えられないので、慎重にどんな能力が欲しいのか考えてくださいね。とんでもない能力を設定した結果、ものすごく醜い姿になってしまうこともあるので、くれぐれも気をつけてください」

「いきなりそんなこと言われても、俺、困っちゃうなあ。っていうか、今の俺ってどんな姿をしているんですか?」

 もしかして、すげえイケメンなのかな?年齢は二十歳ぐらいの。

「分かりました。あなたが望むのなら、今のあなたの姿を見せてあげましょう。それっ」

 ボン!という音と同時に白い煙が舞って、姿見が現れた。いかにも魔法の鏡って感じのアイテムだ。

「これが今のあなたの姿です」

「ぎぃやぁぁぁ!」

 俺は絶叫してしまった。黄金の凝った意匠のベゼル、その姿見に映る、自分の姿を見てしまった、その瞬間に。こんな姿を見せられた日には誰しもが絶叫を免れられまい。姿見に映っている俺の姿は、赤い色をしたスライムそのものなのだから……。某国民的RPGならベスがつくのかな。っていうか、タマネギ型ならまだ良い。愛らしいから。俺が見たのは、いや、今の俺自身の姿は、なんて言うのか、ゲロとでもいうのか、それともゲリとでもいうのか、とてつもなくグチョグチョで気味も気色も悪い物体だったのである。モザイク処理が必要なほどの。


 


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