間話 素直になれない気持ち。
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私、シラユリはルヴァンが好きだ。
最初は私に体をくれた恩人でした。
それに、同郷の仲間で、オタク話も出来て、その頃から好きではあった。
でも、だからって恋人になりたい好きと言うほどでは無かった。
ドラゴン退治の時なんて見てられないほど、精神弱々で手のかかる弟ぐらいにしか思ってませんでした。
だからだろうか、王都を出ていこうとしたルヴァンを見た時、心配で一緒にギーレンの街に行ったのだった。
ギーレンの町に着いて、早速彼は目的の人に会いに行った。
目的のその子は教会に預けられていました。
でも、その子は二才になるのに赤ん坊と変わらない程小さくて、痩せ細り、何とか息をしている状態だったのです。
「この子は呪いがかかってます。ご飯を与えても、すぐに吐いてしまい。〈ヒール〉をかけないと皮膚が赤くただれてしまうのです」
教会の司祭はそうルヴァンに説明してくれた。
しかし、彼は司祭の話もそこそこにその子に近く。
「危ない」
でも、私の静止も聞かずにルヴァンは呪いがかかっているかもしれないその子を何の躊躇もなく、抱きかかえました。
「もう、大丈夫だぞ。〈介助〉、〈介護〉」
ルヴァンのスキルでその子の皮膚は綺麗に治り、呼吸が安定しました。
そして、ルヴァンの胸の中で安心のしたかのように、寝息をたてただした。
「この子の名前は?」
「ノンノリアといいます」
「この子は俺が育てます」
「ですが、あなたはまだ子供…!」
ルヴァンは胸の十字架と指輪を見せると、司祭は渋々ながらも、ルヴァンの提案を認めるのでした。
その後、しばらくはギーレンの町で暮らしていましたが、神の奇跡を賜った子と、神の奇跡をその身に宿した少年〈聖帝〉として、町で有名人になってしまいました。
その為、記者や信心深いフォルトニア信者が教会に毎日のように押しかけました。
そんなある日でした。
「ノンノリアの体調が安定するまで、安静にしなくちゃいけないのに、ギーレンの町ではダメだ」
そう言って、彼はギーレンの教会を出ようとしました。
「あんた、ちゃんとその子育てられるの?」
ルヴァンの隣にはまだ小さなノンノリアが安心した顔で座っていました。
それを見て彼は微笑む。
「俺の贖罪の為だから」
既に彼がノンノリアへの優しさがそんなものから来るものだけでないのは、側から見ても明らかでした。
少しは正直になればいいのに。
「はあ、そんな理由で育てられたらその子が可哀そうよ。仕方ない。心配だから少しの間だけ、様子を見て上げよう!」
勿論、心配もあった。
でも、彼の優しさを隣で感じていたい。
そう思った私はついて行くことに決めたのでした。
「は?」
「別にあんたの為じゃない。ノンノの為なんだから勘違いしないでよ」
自分で言っていて酷いテンプレなツンデレである。
「でも、仕事は」
「元々、今やってるのは短期だから、これやったらお金貰ってやめるわ」
「クロクリだってどうするんだ?」
「説明すればわかってもらえるわ」
「……ごめん」
「さっきも言ったけど、これはノンノの為だから」
「ありがとう」
そして、私達はギーレンの町から程よく離れた、静かなカタハナ村に移り住むのだった。
それから、一年私たちはノンノリアこと、ノンノの成長を見守りながら幸せな時間を過ごした。
村で慣れるまで大変だったり、ルヴァンを邪魔してくるガンツからの告白がうざかったり色々あったが幸せだった。
彼がいたから幸せだった。
今思えば、その時には彼に惹かれていたんだと思います。
そんなある日、貴族の馬車がこの村に訪れました。
「ルヴァン! 久しぶり!」
「リリシア!」
嬉しそうに抱き合う二人を見て、胸の奥がズキズキと痛みました。
お互い好きあってると分かる程、涙が出て来そうになった。
そんな私は自分で抑えられないくらい不機嫌になり、リリシアと二人きりで向き合ってました。
「私はルヴァンが好き! あなたには負けない!」
その瞬間、炎が私に迫って来たのだ。
リリシアが放った!?
それを、私は殴りいなして晒した。
それは家を吹き飛ばしたが、そんなもので逃げる訳にはいかなかった。
だが、リリシアは手を下ろして微笑んだ。
「側室として認めてあげる。かかって来なさい」
「望むところ」
その後、急いで来たルヴァンはオロオロと私たちを見返すのでした。
一週間程でリリシアが帰り、すぐの頃。
彼はギーレン公爵が建ててくれた教会で薬師兼祭司として働き始めました。
また、幸せな時間が来る。
私はそう思ってました。
でも、その年の闇水の月に事件が起きました。
なんと、この周辺の村々で風邪が流行したのでした。
しかも、この年は不作が重なり、お金はおろか食べ物もありませんでした。
そこで、彼は薬を無償で配り始めたのでした。
足らなくなれば、山へ探しに行き、徹夜で調合し、それを配りました。
「ちょっと休んだ方が」
「今この時も苦しんでる人がいるんだ。終わったら休むから」
そう言って、結局一週間を寝ずに治療し続けました。
そして、終わると救えなかった人に涙して、泣きつかれると気を失うように寝ました。
その間、ずっと彼の隣にいました。
彼の優しさの隣にいたい。
彼の強さに寄り添いたい。
彼の弱さを支えたい。
彼の人生を共に歩みたい、そう思ってました。
でも、リリシアが二度目に来た時から私の嫉妬の気持ちは、抑えられないものになってました。
ジェーンってメイドとリリシアに家事を取られ、何とかルヴァンの助けになりたくて、薬師の仕事を手伝ってたけど、あまり上手くはいってませんでした。
それで、イライラしてしまい。
「もう、この家を出てく」
そう言って家を飛び出してました。
彼の悲しそうな顔を見たくなかったのに、私自身が彼にさせてしまった。
悔しくて、でも、仲直りしたくて、私はルヴァンが好きな肉料理を作って、謝ろうと思ってました。
「持って来たぞ」
ガンツが頼んでおいた以上の量のお肉を持って来てくれました。
でも、なんで丘にまで呼ばれたのだろう?
それに。
「あれ? 鳥は?」
「今日は取れなかった。明日の朝持ってくよ」
「嬉しい、ありがとう。よろしくね」
そう言って頭を下げようとした時だった。
手の中にあった肉が落ちそうになって取ろうとする。
だが、落とすまいと焦った私はガンツに胸の中に飛び込むように倒れてしまったのだ。
それをガンツは抱き止めてくれるのだった。
「なあ、シラユリ。やっぱりダメか?」
ガンツが聞いてくる。
そういうことか。
「前から言ってるけど、ルヴァンが好きだから」
そう言うとガンツは私を離してくれた。
そして、村に帰るのだった。
でも、この時間に帰ったらノンノを起こしちゃう。
私は一晩女友達の家に泊まらせてもらいました。
次の日家に帰る。
でも、そこに私の大好きな温もりは無くなっていたのでした。




