第六十五話 せっかく異世界に来たんだから、心配したくない。
遅くなりました。
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前世での連絡ツールである携帯電話やスマートフォンを開発した人は偉大だったと俺は思う。
どこにいても簡単に遠く離れた誰とでもすぐに連絡が取れ、欲しい情報がいつでも入手できる。
あれがあればどんなに楽だっただろうか。
異世界にスマホを持ってった主人公がいたが天才だったのだろう。
「リリシアはいつ来るんだ」
闇水の月に入り既に五日が経った。
明日で一週間になる。
それなのにお嬢様が来ないのだ。
「気長に待った方がいいんじゃない?」
シラユリはつまらなそうに言うがそうも言ってられない。
山向こうには大きな雲がこちらに向かっている。
しかも、闇水の月に入ってっからは凍えるほど寒くなってきたのだ。
いつ雪が降ってもおかしくない。
毎年、子供の俺が肩まで隠れてしまうほど雪が積もるのだ。
整備された道ならまだしも、踏み固められた程度の田舎の道では滑りやすく足をとられやすい。
そうなると馬車は動けなくなってしまう。
「もし、途中で立ち往生してしまったら。その上山賊が出てくるかも!」
「そんなわけないでしょ。犯罪者になったらこの世界で生きていけないんだから」
この世界には犯罪者になるとその罪状によって、犯罪スキルをもらうことになる。
物を盗めば窃盗スキル。
人を欺けば詐欺スキル。
人を殺せば殺人スキル、等があげられる。
そして、犯罪スキルをもらうと他のスキルが使えなくなり、同時に魔力も失うのだ。
魔法を使えない人は多いが、大なり小なり誰もが魔力は持ている。
なので町や村に入る際に魔力による検査や魔道具が使えなくなる。
よって、犯罪者は町などのコミュニティ内に入ることができず孤立する上に、犯罪スキルしかないので攻撃系スキル保持者には簡単に負ける。
居場所がないので森や草原に赴けば魔物の餌になるのが関の山。
もし、犯罪を犯してしまったらそのほとんどが自分で拘置所に行き、裁判を受け、罪を償うのがこの世界の常識なのだ。
だが、過去には殺人スキルを上げまくって殺人リッパーなんて悪党がいたこともあるらしい。
もし、そんな奴らにリリシアが!
「ああ、大丈夫かな」
「ちょっと落ち着いたら? ノンノが心配してるわよ」
いつの間にかノンノがいたようだ。
その表情は少し怯えているようにも見える。
「ごめんな、怖かったな」
「だじょうぶだよ。お兄ちゃん、どうしたの?」
ノンノが俺を心配してくれている。
こんな小さくて天使なノンノを心配させてしまうなんて!
「俺が馬鹿だった!」
「え!?」
「ルヴァン、話進まない」
「そうだった」
思わず気持ちがあふれてしまった。
「もうすぐリリシアが来るんだよ。二年前に会ったことがあるんだけど、覚えたないか?」
「うん、覚えてない」
「ノンノが六、七歳の頃だし、覚えてないのも仕方ないんじゃ」
確かに小さい頃の事なんて覚えてないよな。
仕方ないよな。
「昔働いてた先の友達、かな?」
「違うでしょ。婚約者じゃないの?」
「そうです」
どうしてだろう?
シラユリのあたりが強いような気がする。
数日前まで普通だったのに。
「こんやくしゃって?」
「将来結婚する人ってことよ」
「なんで?」
「え、ど、どうしたの?」
ノンノはなぜか目に涙を溜めていた。
ノンノに婚約者の説明をしたシラユリも戸惑ってしまっている。
仕方ない、ここは兄として説明しよう。
「ノンノ、お兄ちゃんはノンノと同じくらいの年に貴族の家で働いてて、そのお嬢様を助けて、色々あって。 ……そう、なんだかんだ。 ……なんで? ……よく分からないけど、婚約することに、なった? らしいんだ」
「なんで、当事者のルヴァンが分かってないのよ」
シラユリは依然と機嫌が悪そうに話に入ってくる。
「いや、親指に婚約指輪を付けるなんて思わないじゃん」
「どう考えても、指輪が関わってくる時点でそういうフラグだってわかるじゃない!」
「前の記憶から薬指って固定概念があったんだよ」
「それに、断ればいいでしょ! まだ、子供だからよくわかんないとか、某頭脳は大人で体は子供の探偵みたいに」
「無理だって、今まで育ててくれた恩人だし、幼馴染だし。俺憧れてたんだよ、女の幼馴染って。それに、お嬢様の手紙にはいつも好きって、書いてくれてて、嬉しくって」
「童貞か!」
「童貞だよ! 前世も合わせりゃ、四十年近く童貞だよ!」
「ドウテイって?」
「「ノンノは知らなくていい」よ」
「分かった」
「でも、八歳で婚約、十五で結婚とか早すぎでしょ!」
「それがこの世界の常識なんだから仕方ないだろ」
「貴族のでしょ!」
「こっち」
スピレイがノンノを抱き寄せる。
「なんで、お兄ちゃんはノンノ以外と結婚するの?」
「貴族」
「なんで、貴族だと早く結婚するの?」
「分からない」
「なんで、お兄ちゃんとシラユリちゃんは喧嘩してるの?」
「夫婦喧嘩」
「「夫婦じゃない」」
思わずシラユリと声が重なってしまった。
それを聞いてノンノはにっこりと笑った。
「やっぱり仲良し」
ノンノの言葉に頭の熱が冷えていく。
そう言えば、何で喧嘩してたんだっけ?
「ごめん、シラユリ」
「こっちこそ、 ……して、ごめん」
「え?」
「聞こえないように言ったんだから聞き返さないで!」
「ごめん」
結局、シラユリが何で起こっているのか分からなかったが、とりあえずは仲直り? はできたのだった。
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