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第四話 せっかく異世界に来たんだからスキルを使いたい。

本日二話更新!

俺が記憶を取り戻してから二日が経った。

寝込んだ次の日には体力も完全に回復して普通に歩くこともできた。

だが、セシアさんが溺れたばかりだからとベッドから出るのを許してくれなかったのだ。


「心配性だな」


仕方がないので昨日は俺はベッドの上で前世の歌を歌っていた。

せっかく子供なので、口から雷を出す悪魔の子のアニメの曲を歌っていた。

すると、なんとなく元気が出てきたように感じた。

状態を確認すると状態が活力上昇になっていた。

そんな簡単に状態が変わるのだろうか?


歌唱魔法が発動したのか?

そもそも、この世界での状態変化はどういったタイミングで発動するのだろう?


まだ、知らなくてはいけないことが多いようだ。


「さて、行きますか」


俺はさっそくお嬢様のもとに行く。

お嬢様はお部屋にいるらしい。

と、いうのも、魔動車椅子の暴走は誤作動によるものだった。

あの日、お嬢様が散歩していた時に車椅子を止めようとしたら逆に加速していったとのことだ。

誤作動の原因が分かるまでお嬢様は人力の車椅子の使用を余儀なくされた。

そして、プライドの高いお嬢様は人力車椅子を使わず、ベッドで横になっているとの事だった。


「リリシアお嬢様、いらっしゃいますか?」


返事はない。

今度は少し大きめの声で呼んでみる。


「お嬢様、いらっしゃいますか!」


「うるさい」


部屋の中から声が聞こえる。


「入ってもよろしいでしょうか?」


「……好きにすれば」


俺は中に入るとすべてのカーテンが閉ざされたままになっていた。

その奥で大きな天蓋付きのベットでお嬢様は一人うずくまっていた。


「ボルヴァード、何の用?」


「お嬢様、また朝食を抜かれたのですか。何か食べないと体が弱ってしまいます」


お嬢様はボルヴァードの記憶から半年より前の記憶を思い返すと痩せた、というよりもやつれていらっしゃった。

目も虚ろで、覇気がない。

メイドたちのおかげで体全体は清潔に保たれているがこのままではいけないのは明らかだった。


「リリシアお嬢様、何か食べたいものはありますか?」


「そんなものあるわけない、だってなにも味がしないのだもの」


昔は甘いものが大好きでケーキをよく食べていらっしゃった。

そのせいでリシャリア様に怒られていた。


「せめて、飲み物だけでも」


「いらない!」


そういってリリシアはクッションを投げるが、体が弱っていて俺の所まで届かない。

お嬢様のもとにクッションを戻しに行く。

その時にお嬢様に服の裾を掴まれた。


「ねえ、ボルヴァ―ド。私、何か悪いことしたかな?

死んじゃった方がいいのかな?」


「お、お嬢様!」


「助けてよ。ボルヴァ―ド」


俺は「すみません」と頭を下げる。

そして、彼女は光を失った目で涙を流した。


「い、イタイ!」


お嬢様が頭を抱えて苦しみだす。

毒を飲んで以降見られる頭痛だ。


「今、医者を呼んできます」


お嬢様の部屋を出るとメイドが控えている。

メイドにリリシアお嬢様の様態を話すとメイドは走って行ってしまった。

俺も一緒に行こうとするが、大人の彼女は俺よりも早く走り行ってしまった。

仕方なく俺はお嬢様の元に戻る。

お嬢様は頭痛がひどいようでベッド上でもがいていた。


もしかしたら!


「お嬢様! 俺のスキルを使います! よろしいですか!」


「い、たい。たす、けて」


「それは了承ということですね!」


ゆっくりと深呼吸をして、シシリアお嬢様を見る。

そして、ゆっくりと口を動かす。


「介助 発動!」


だが、お嬢様は変わらず苦しんでいる。

こっちじゃなかったか。


「介護 発動!」


スキルを発動するとお嬢様はゆっくりと体を起こす。

まるで先ほどの苦しんでいたのが演技だったのではないかと勘違いするほど顔の血色もよくなっていた。

お嬢様は何かに気づいて部屋の匂いを嗅ぐ。


「ボルヴァ―ド、あなたは何をしたの?」


その言葉に間髪入れずに数人のメイドと医者が入ってくる。

だが、その全員が口を開けて何かに驚いている。

お嬢様が苦しんでいると聞いたのに何もなかったからなのかと思ったが、それならこんなに驚かないだろう。

俺とシシリアお嬢様は全員の視線の方を見る。

そして、お嬢様呟いた。


「なんで、私の左足があるの?」


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