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第二十八話 せっかく異世界に来たので手紙を読んでみた。

ここから第二章です。

短めですがよろしくお願いします。

明日は数話書くつもりです。


拝啓、親愛なるボルヴァ―ド・フォルトロン様へ




もう、闇土の月になりましたね。

ハーキスタの家を出てから半年が過ぎましたがいかがお過ごしでしょうか?

寒い季節も過ぎて暖かくなってきましたね。

一緒に行った花の丘は春らしいピンクや黄色の花で咲き乱れています。

また、ルヴァンと一緒に行きたいな。

今度は一緒に横を歩いて。

その為にも、私は体が元に戻ってからたくさん練習しました。

最初は転んでばっかりだったけど、最近は走れるようになりました。

そういえば、魔法の練習も始めました。

お母様と同じで魔法の適性があり、火の魔法が使えるようになりました。

頑張った甲斐もあってレベルは3になりました。

あと、昔は嫌いだったマナーや教養の授業も今は頑張ってます。

でも、練習中に嫌がっている私に注意するルヴァンの声が聞けれないのは少し寂しいです。

他にも最近はダンスの練習も始めました。

まだ、先生の足を踏んでしまうことがありますが、がんばってルヴァンにあうまでには踏まないよう気を付けますね。

いつか、パーティーで一緒に踊れたらとてもうれしいです。


さて、私の話はこれくらいにして。

ルヴァンはどうしてますか?

私は急に大人っぽくなってしまったルヴァンと一緒にいれるよう、お母様の言う通りに頑張っています。

嫌なことも、苦しいことも、あなたとのこの先の為と言い聞かせてきました。

ルヴァン。

私はこんなにがっばっているのに、浮気とか、してないよね。

この前ね。

聞いちゃったの。

お母様がみんなが無事王都に戻れるように手練れの冒険者をキャラバンに付けてくれていたようです。

その冒険者の報告の話を一緒に聞きました。

ルヴァンたちがディートンの町に着くまでに幾度となく魔物たちに襲われた話を聞いて、とても胸が苦しくなりました。

しかし、あなたが傷を負った冒険者たちを魔法で回復することで大事を乗り切ったと聞いています。

その話を聞いて私はすごく誇らしく感じました。

でも、そのディートンの町であなたがリアって女の子に指輪を送ったと話も聞きました。

魔物の襲来の話を聞いた以上に私の胸は苦しくなりました。


ねえ、どういうことなの?


本気、じゃない、よね?


遊びくらいだったら許してあげるよ。


お母様も言ってたの。


男は結婚前は遊びたがるって。

だから、私は許してあげる。


でも、なんで手紙を送ってくれないの?


ねえ、半年もだよ。

この手紙を読んだらすぐに手紙をください。


すぐにだよ。




リリシア・ハーキスタ より。



◆ ◆ ◆ ◆


俺は修道士の先輩から今日手紙をもらった。

今日は闇火の月の終わりだ。

俺がハーキスタから旅立ってもうすぐ一年近く経とうとしていた。

そして、リリシアお嬢様から手紙が届いたのだった。

だが、手紙の一番古いもので書かれてから少なくとも四か月の時間が経っていた。

これは輸送ミス等があったのではない。

ドラゴンが実質的な被害を出していないことから騒動が大分落ち着いたように見えていた。

しかし、今だ王都近くの銀鉱山に住み着いていることで、王都行きの輸送用のキャラバンが少なかったのが原因だった。

そこで、王は王都への流通を戻すため関税を引き下げたのが先月の事で。

この事でやっと手紙が俺に届いたようなのだが。


「この手紙の量は多すぎだろ」


どこかの町で止まっていたリリシアお嬢様の手紙がこの政策のおかげで、全部俺のもとに届いたのだ。

この、机の上に乗り切れないほどに積まれた手紙が。

これは、読むのは無理だろう。


「すぐに手紙を書かないと!」


俺は机を前にペンを持った時だった。


「ル・ヴァ・ン・くん!!」


猫なで声で髭を生やしたお爺さんが入ってきた。

顔はおっかなく、威厳のある修道服を着ていていかにも教会のトップといった姿だった。

だが、その言動や声色がすべてを台無しにしている。


「シューラン猊下、どうされたのでしょうか?」


「そんな、アルマルデの弟子なら、シューランおじいちゃんでいいよって言ってるのに」


キモイ。

心の中でそっと呟く。

シューラン猊下はアルマルデ様の師匠であるらしい。

そして、シューラン猊下はアルマルデ様に弟子を取るよう言い続けて幾星霜。

やっと連れてきた俺を猫かわいがりするのだった。


「本題をお願いします」


「そうじゃった。二週間後がルヴァンくんの誕生日じゃろ? その日に天職の儀を行うからその前の洗礼を受けてもらわないといけなくてのう」


「そうですか。分かりました」


「そうか!」


猊下の用事も終わったと思い、俺は手紙を書き始めようとした時だった。

シューラン猊下に持ち上げられる。


「え?」


「それでは神明の湖へ洗礼を受けに行くぞ!」


「ちょっとまって」


手紙を書かないと、と言い切る前に猊下に拉致されるのだった。





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