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第二十五話 せっかく異世界に来たんだから何かを極めてみたい。

ちょっと短いですが本日三話目です。

よろしくお願いします。


ディートンの町には補給のために立ち寄っただけなので次の日には出発することになった。

ただ、昨日とは違いガシェルさんが馬車のメンバーに加わっていた。

今日の朝、もう一度〈介助〉と〈介護〉のスキルを使って、体の治療を行った。

背筋は昨日よりも伸びた。

筋力もある程度戻ったはず。


「なんかでかくなってない?」


昨日までは九歳の俺よりも小さかったのに、アルマルデよりも一回りほど大きくなっていた。

それだけではない。


「助けていただいて、ありがとう。ルヴァンくん」


言葉もだいぶスムーズに話せるようになっていた。

〈リハビリテーション〉のレベルを上げて少しづつ直していくしかないはずなのに。

思ったよりも完治ははやそうだ。


「ガシェル、ずいぶん老けたね」


「マルちゃんは昔のまま綺麗だ」


「ふん、世辞は昔のまますらすら出てくるんだね」


「僕は今も昔も思った事しか言わないよ」


「もういいよ」


アルマルデ様が顔を赤くしていた。

あの方もこんな顔をするんだな。


「いつまで見てるんだい!」


「すみません!」


俺はアルマルデ様の理不尽な拳骨を食らうのだった。

二人は昔なじみのようだが、どんな関係だったかは教えてくれなかった。

カーシャさんも知らないようだし、それとなく今度ガシェルさんに聞いてみよう。

一様、アルマルデ様もガシェルさんを見てくれることになった。

これで大丈夫だろう。


「さて、出発するぞ!」


イアンさんの一声でキャラバンは出発するのだった。

ここから王都までは八日ほどの道のりとの事だが、モンスターの出現等も考えれば十日はかかると見た方がいいだろう。

俺は魔法の練習で光魔法を使っていた時だった。

レベル3になったのだ。


「アルマルデ様、光魔法がレベル3になりました。後、〈レーザー〉って魔法が使えるようになりました」


「そうかい。回復魔法は?」


「もう少しでレベル7になりそうです」


「なら、手伝ってやるから、ガシェルの治療をあんたがやりな」


「は、はい」


今までは目に見えた傷だけを治していたが、今回は内側の内臓や俺がかけた〈介助〉のうえから回復魔法をかけていかなくてはいけない。

リリシアお嬢様に〈介助〉を使っていたころにアルマルデ様見守りの元やったことがあったが、その時にとても難しいことは分かっていた。

まず、〈介助〉のスキルがかなり強いので、それをはがすように〈ヒール〉をかけていかなければならない。

この時点でかなり強い魔力が必要である。

しかも、繊細な技術がないとかけた相手に痛みを与えてしまうのだ。


「で、出来るでしょうか?」


「できなきゃ、〈リカバリー〉も難しいと思うよ」


「それって」


「回復魔法はレベル8で〈リカバリー〉を使いこなせるようにならないと、レベル9になれないんだよ」


「なるほど」


半年かけてやっと〈リカバリー〉が使えるようになるのか。

長かったような。

でも、前世では医者になるには大学に入った後でも何年もかかっていた。

そう考えると短かったのかな?

でも、〈ヒール〉一つでもかなり奥が深い。

〈ヒール〉かけ方でもだいぶ違うのだ。

対象者の回復力向上を目的とした〈ヒール〉は回復術者のMPの消費は少ないので負担が少ないし、時間もそんなにかからない。

でも、対象者に大幅な負担をかけてしまうのだ。

しかも、傷の痕が残りやすい。

その一方、体の修復を回復術者が担う〈ヒール〉は対象者に負担をかけ難いし、傷は残りにくい。

しかし、逆にMPの消費が四割も増え、時間もそれなりにかかる。

状況によって両方使えるようにならなきゃならない。

〈介助〉への重ね掛けとなると、後者の技術がかなり必要になってくる。


「できるようになるだけじゃ、ダメなんですね」


「そこを理解できない馬鹿にならなくて助かるよ」


そうなると、前世でのラノベやアニメの主人公たちはきっと某フリーの外科医並みに医療技術に造詣が深かったに違いない。


「失敗できねえ」


「こういう、いざという時にあたしがいるんだ」


「よろしくお願いします! アルマルデ様!!」


自分の師匠の偉大さに改めて感謝するのだった。

さっそく、ガシェルさんに〈ヒール〉をかける。

高齢でかなり身体が衰えているガシェルさんにはもちろん後者の〈ヒール〉をかけていく。

まずは手などの傷で練習である。

〈介助〉のスキルを少しずつはがしながら〈ヒール〉その傷を埋めていく。


「できた」


「あのころと比べると上出来じゃないかい」


「ありがとうございます」


「なら、次は首だね」


「はい」


一番深い傷で、ここをどうにかしないといつまでも命の危険が残ったままだ。

俺は練習の要領で治していくが。


「うっ!」


血の匂いと、初めての人間の肉の部分が見えた瞬間に拒否反応が出る。

今までこんなものを見たことが無かったのだ。

でも、吐き気や胸の苦しみが。


「しっかりしな」


アルマルデ様が俺の肩を掴む。


「今あんたが意識しないといけないのはガシェルだ。それ以外は気にしちゃいけないよ」


「……はい」


俺は全てを無理やり飲み込んで〈ヒール〉をかけていく。

そして、首の治療が終わったのだった。


「おつかれさん」


「どれくらいかかりました?」


「ほんの五秒くらいかね」


「一時間はかかってるかと思いました」


俺は他の傷も治そうとした時だった。

身体が崩れ落ちたのだった。

それをセシアさんが受け止めてくれる。


「MPは相当使用したようですね。今は休んでください」


俺はセシアさんお膝の上で気を失う前にアルマルデ様に視線を向ける。


「ありがとうございます。それと、回復魔法が上がりました。しかも、れべる、は、ちに」


「そうかい、あんたは―


最後のアルマルデ様の声は聞こえなかったが、満足して俺は意識を手放したのだった。





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