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国を捨てて自由を掴む  作者: 神谷アキ
1、『ブックカフェ ラーシャ』
4/53

4




(ビートは何味が好きかな)



 お店には3種類のアイスメニューを出している。定番のバニラ、バナナ、チョコだ。バナナは潰してアイスに混ぜるんだけど、しっとりとした仕上がりになる。

 

 驚いたのがバニラで、この国はバニラ・ビーンズがたくさん取れるらしい。

 ソシリス王国、あ、わたしが生まれた国ね。ソシリス王国でバニラなんて食べたことがなかったから、この世界には存在しないって思ってた。



(そういえば、時間があるときにバニラシェイクも試してみたいな。)



 バニラについて思い出していると、日本にいた時のことも思い出した。私は前世でシェイクが大好物だった。アイスも固まっているのより、少し溶けてかき混ぜてトロッとしたものを食べるのが1番好きだった。

 溶け出すアイスの周りから食べ始めて、よく小さい頃は親に「端から食べなさい!」って言われてたな。懐かしい。


 そんなことを思いながら、魔法で固めアイスを作っていく。気をつけないと一瞬でカチコチになってしまうから、練習が必要なのだ。


 開店前までにできるようにならないとと思って、ここ数日間は頑張った。アイスの食べ過ぎで外は暖かいけど私の体温はいつも冷え冷えだった気がする。



「ビート、お待たせ!」


「お、バニラアイスか!」


「うん、この国の人は1番食べなれている味かなと思って」


「前に食べたのはバナナアイスだったな!あれもしっとりしていて美味しかった。あ、この国って、違う国から来たのか?」


「うん、まあね。それより、今日は手伝ってくれたからサービスです!」


「よっしゃ! え? なになに? なんのサービス?」


「それは秘密。アイス食べてたらわかるよ」


「そうか。じゃあ溶けちまうし、食べ始めるか」



 国について聞かれたけど上手くそらして、アイスの話へ持っていった。

 ここではサラと名乗っているけど、もしかしたら見つかってしまうかもしれない。王妃は居なくなって嬉しいだろうけど、王女の失踪は隠せない。いくら小さな誕生日パーティーだからって、王室のパーティーには要人が何人も集まる。いつまでも居なくなったことを隠せるわけはないし、風聞的にも振りだけでも探すはずだ。

 


「スプーンどこだ?」


「あ、ごめん。これで食べて」



慌ててスプーンを渡すと、早速とばかりにアイスを食べ始める。ビートに言った通り、この国ではバニラを使ったものはそこら中にある。しかし、見た目の色の問題か、チョコレートがあるのにあまり知られてない。



(あんなにおいしいのに、もったいない)



 ぜひビートや他の人にもチョコレートの美味しさを知ってもらいたい。

 そう思って、アイスを二重構造にしたのだ。チョコレートアイスの上に、それを囲うようにしてバニラアイスを乗っけた。

 見た目的にはバニラアイスだけど、2種類の味を楽しめる一石二鳥のサービス!



(ふふ、早く気付かないかな)



 ビートの反応が楽しみでワクワクする。



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