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バタバタと店内を走り回る。
カランカラーン
「いらっしゃいませ! お好きなお席にどーぞ!」
「サラ! おお、予想以上に繁盛してるな。アイス食べに来た。」
「あ、ビート! ちょうどよかった!!アイスと食事も用意するから手伝ってくれない!?」
「え、俺が? いいけどよ。俺作れねーよ?」
「大丈夫! 私がキッチンにいるから、できた物をお客さんの席に置いていってくれない?」
「よし、わかった」
不安そうにしていたが、お願いすると手伝う準備を始めてくれた。
少し前まで、暇になったら本を読もうと思って机の上に読みたい本準備してたのに! トマさんとビートに改装工事のお礼と宣伝も込めてアイスを食べてもらったら、予想以上に効果があったらしい。
おかげで初日からてんてこ舞いだ。
「あら、これおいしいわね」
「ほんと。甘くて喉をすうっと通っていくのがいいわね。少し暑かったけど、これ食べたらひんやりしてきたわ」
「お、うめーなこれ! おい、こっち食べてみろよ!」
「親父は食べすぎなんだよ」
トマさんは開店と同時に知り合いを連れアイスを注文してくれて、おかわりまでしてくれている。そんなトマさんに接客中のビートが文句を言っているが、おいしいと言われるとやっぱり嬉しい。
殆どのお客さんがテーブル席だけど、カウンター席にもちらほらいる。カウンターの方が本棚にも近いため、本を読みたい人に人気みたい。この国では、図書館のようなものはあっても、カフェなどで本などを置いているところはないらしい。
「ビート、これもお願い」
「はいよ」
ビートとは同い年なことと、引っ越した時からの付き合いだから大分仲良くなれたと思う。まるで、クラスの隣の席にいる男子みたいな軽い雰囲気で話しやすい。
「ふぅ、少し落ち着いてきたね。後は本を読んでいるお客さんが大半かな。もう1人でも大丈夫そうだから、終わりにしていいよ」
「ああ、そうだな。はー、疲れた! でも初日からこんなに人がくるとは幸先いいな!」
「手伝ってくれてありがとう。うん、そうだといいな。今用意して来るけど、サンドイッチとアイスで大丈夫?」
「お、やったぜ! ボリュームたっぷりでよろしく!」
「ふふ、わかった」
手伝ってくれた感謝も込めて、ボリュームたっぷりのサンドイッチをつくる。それに麦茶を添えて持っていく。
「お待たせ」
「じゃあさっそく」
そういうと、ビートはサンドイッチを食べ始める。トマさんに連れられて、普段は大工仕事をしており、豪快に食べる。見た目がまだそこまで大きくはないけれど、やっぱり食べ方は男らしい。この調子だとすぐに食べ終わりそうだとアイスの準備を始める。