2
そんなこんなでここにたどり着いた訳だけど、前世の時からやりたいことがあった。それはブックカフェ!
本が好きな私にはちょうどいいし、城を抜け出す時も、たくさん本を持ってきていた。かさばって重かったけど後悔はしていない。
そして空き家だった家を買い(宝石を売った。持ってたって使わないもんね)、今日やっと準備が終わり開店の支度が整ったのだ! やったあ! お客さんも来て欲しいけど、読書しながら仕事ができるなんて! サイコー!!あ、でも、もちろん仕事もちゃんとやるよ!
『ブックカフェ ラーシャ』
自分の名前からとり、このお店の名前はラーシャとしてみた。自分でもなかなかいい出来だと思う。
午後が楽しみで仕方がない。今日の午後から開店って昨日から宣伝してたからね!
本の位置よし、机よし、椅子よし、メニューも大丈夫! 簡単なものしか用意してないけど、リクエストが有れば作る形式にしたい。空いてるときだけのサービス!
「あ、お店の前、掃除しとこ」
入り口が汚いと、飲食店だから入るのためらっちゃうよね。念入りに掃除しよ。箒をもって店の周辺を掃いて行く。
「あ、サラちゃん! 今日からお店開けるんだってな! 客くるといいな!」
「こんにちは! ありがとうございます!! ぜひ来てくださいね!」
「おお、もうお店できたのかい? 室内の様子はどうだい?」
「トマさん! 改装工事、ありがとうございました! すごく雰囲気いいです!」
ガヤガヤしている通りで、色々な人が声をかけてくれる。
トマさんは格安で家の改装工事をしてくれたご近所さんだ。引越しの挨拶をしに行ったら気に入られたらしく、よく息子のビートを寄越してお手伝いをしてくれる。
「ビートも開店したら顔出すってよ! あのアイスだったか? あれが食いたいんだと!」
「わかりました、用意をして待ってると伝えてください!」
もうすぐ春も終わり、暑い夏がやって来る。外も少しずつ暑くなってきたため、冷たいものを食べたいだろうとアイスをメニューに加えることにした。
この世界は便利で、魔法がある。ただ、貴族などにしか発現しない。たまに一般市民の子供にも使えることがあるみたいだけど、あまりいないらしい。その魔法でジュースを冷やし、何種類かアイスを作っておいた。
私は学園にも行ってないが、家庭教師のような人はいた。流石に王族に家庭教師の1人もつけないのは体裁が悪いらしく、反対されなかった。
でもその人が優秀な人で沢山のことを教わった。今考えるとあの先生には懐いてたなぁ。どっかでもう一度会えるといいな。
「あ、そろそろ急がないと!」
喋っていたせいであまり進んでない。パパッと掃いて、店に入る。初日だからどれくらいの人が来るかわからないけど、軽食を準備しとかないと。
ふっふ〜ん、ふ〜んふん
と鼻歌を歌いながら手際良く作っていく。王女は無理だけど、前世の私は1人ぐらしだったからこのくらいチョロいチョロい。
開店ギリギリまで用意をして、後はどうとでもなれ! と店の前のプレートをcloseからopenへと変えた。