表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/23

ツアー決行3

 ユノさんにしては早口で参加者の名前を呼び上げている。

 その声を聞きながら改めて全員の顔を見ようとするが、辛うじて守坂さんがいる事しか分からなかった。

 僕を見て不思議そうに首を傾げていたが、すぐにニコッと手を振って来る。まさか、僕だと分かったのか。

 慌てて目を逸らし、集まった全員をボンヤリと眺める。みんな、ユノさんのコスプレに呆然と見とれているようだった。


 それはそうだろう。薄闇の中に建つ廃墟、その前でフワフワと動き回る白ウサギのようなユノさん。怖いんだか可愛いんだか、よく分からない。


 と、ユノさんを追いこして五十嵐さんが中に足を一歩踏み入れる。

 何処から取り出したのか黒い帽子を頭に乗せ、恭しくお辞儀をする。


 「さぁ、皆さん。ようこそ気狂い帽子屋のお茶会へ」


 吃驚、だ。

 これには参加者よりも僕の方が驚いた。


 「さ、主役は当然アリス」


 そう言うと僕の手を取りエスコートする。


 「アリスを案内するのはウサギなのにー」


 不満そうに頬を膨らますユノさんに五十嵐さんは冷たく振り返る。


 「早くしないと女王に首を刎ねられるぞ?」

 「五十嵐の癖に……と、アリス!!」

 「え?」


 突然、五十嵐さんの手を払い除けるようにユノさんに手を取られ吃驚して声を上げてしまう。


 「女王からの伝言。予定変更、このまま裁判に参加しろ」

 「は……?」


 確か春日さんには『お化け屋敷』に皆を案内したら帰っていいって言われていたけど。

 それよりユノさんの口調がいつもと違う事にビックリしてしまう。

 語尾を伸ばしす甘ったるい喋り方じゃなかった。事務的な素っ気ない口調だったのだ。

 訳が分からずに聞き返すがユノさんは「遅刻だ遅刻だ」とブツブツ呟きながら奥のドアを潜ってしまう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ