第零頁 彼の物語はここから始まる
突然だが。皆さんはイジメに遇ったらどうするべきだと考えているだろうか?
保護者や教師、スクールカウンセラー等に相談する。転校する。イジメの原因を改善する。特に考えたことはない。
まあ、上記以外にも様々な意見があるだろう。
『イジメ』と言う言葉は、自身の身の回りで起きていなくとも、ニュースや新聞、日常生活での会話等でそれなりに話題に上がることがあるだろう。
斯く言う僕は、イジメを受け、学校に行かない──つまり不登校と言う手段を取った。
イジメで悩んでいた僕に、「そんなに学校に行くのが嫌なら、行かなければ良いじゃない。勉強なんて、今時通信授業何て物まで在るんだし。学校に拘る必要は無いわ」と言ってくれた母や違う学校に通う友人の「イジメで自殺なんかするより全然良いだろ?」と言う言葉から不登校を選んだ。
不登校は、あまり印象が良くない。
しかし、母や友人が言ってくれた様に学校に行き続けてイジメが原因で自らの命を絶ってしまうより、僕は圧倒的に良いと思う。
そんな訳で、僕は家で勉強をしている。
現在は本来なら高校三年の夏。
息抜きに外に出て散歩でもしたいのだが、二年経った今でも外に出るだけで吐き気や頭痛、寒気に眩暈などがしてくるので、家の中に籠っている。
そんな僕の息抜き手段は、普段勉強の為に使用しているパソコンで動画を見ることやゲームをすること、音楽を聞くことと本を読む事などだ。
授業がある午後と復習問題が送られてくる午前の時間を終え、自習を二十分、休憩を五分のペースで勉強している。
授業前の一時間はまるっと休憩にあてている。
授業はぶっ通しでは無いにしろ、三時間程続くからね。
そして今はと言うと、新しいゲームを探して、面白そうなゲームを発見したところである。
「『冒険の書』かぁ。後一時間弱でリリースみたいだし、ちょっと見てみようかな」
ホームページを開いて最初に目に入ったのは、圧倒的なグラフィックを誇る幻想的な景色の画像と『新たなる世界へ踏み出そう』と言う陳腐ながらも心引かれるキャッチコピー。
名前で損している感は有るが、運営も意図が有っての名前だろうから気にしない。気にしないったら気にしないのだ。……どうして、こんな名前なんだろう?
『事前準備開始! キャラクリエイトを行おう!』と言う文が表記されたところをクリックすると、『1、性別を決めよう! キミは男性かな女性かな?』と言う文の下に『男性 女性』とクリックできる文があったので、男性をクリックする。
すると、『2、容姿を決めよう!』と言う文の下に、幾つかの顔の形やパーツ、髪型、背丈、肌の色、髪の色、瞳の色等を決める欄があった。
「折角、グラフィックの良いゲーム何だし格好良いキャラにしたいよな」
顔の大きさは小さめ、顎はシュッと、目は切れ長、鼻は高く、西洋風な顔立ちに。
髪は銀色、耳にギリギリ掛かる程度の短めな髪型、瞳の色は青色、肌は白目で。
背丈は180位あると良いよなぁ。
等、自分が思う格好良いキャラクターを創り上げていく。
次に出てきたのは『3、服装を決めよう!』という文。
服装は流して見ただけでも様々な種類があり、中には非常に強そうな物や格好良い物、可愛い物があった。
おそらく、選択するとそれぞれの服毎にあるミッション達成後に貰える。若しくはマイナス補整が掛かるのだろう。
僕は多種多様な服装の中から、純白を基調とし金の刺繍等が施された軍服(上下)とセットの帽子と靴を選択した。
『4、職業を決めよう!』
次に出てきたのは、分類分けされた職業達。
剣士や槍士、弓士や騎士、魔法使いに僧侶等といったオーソドックスなものから狂戦士や指揮官、錬金術師や大工等といった特殊な職業もあった。
軍服も着てるし、指揮官が良いかな?
『5、スキルを選ぼう! スキルポイントは一律50プレゼント!』
武術系が一律10ポイント。魔法系が一律30ポイント。建築や薬学等特殊系は5ポイントから50ポイントまで様々だった。
5ポイントは指揮。おそらく職業ボーナスなんじゃないかな?
50ポイントは取得経験値上昇や取得SP上昇、強奪等といったスキルだった。
50ポイントのスキルは除外かな。上昇率がどの程度の物か分からないし、強奪は悪評が立ちそうだしね。
と言う訳で、指揮(5ポイント)、剣術(10ポイント)、雷魔法(30ポイント)に決定した。
5ポイント余ったが、『余剰スキルポイントを使ってスキルガチャを引きますか?』という文に迷わずクリックして錬金術を入手した。やったね、た──あれ? 寒気がしたんだけど、どうしてだろ。
まあ、良いか。
『6、最後に貴方の名前を決めてください!』
そうだな。阿瀬珮璃という僕の名前から『アイリ』にしようか。
『準備は終了しました。開始まで少々お待ちください』
パソコンの時計を見ると、開始まで後四十分の時間だった。
以外と時間が経っていたことに驚きつつも、少し仮眠を取ることに決めて目覚まし時計の時間を三十分後にセットして、眠った。
夕食の時間になっても降りてこない息子を心配し、珮璃の部屋の向かった母が珮璃が居なくなった事に気が付いたのそれから二時間後のことである。
初めまして。鈴蘭と申す者です。
この度は拙作を読了頂きありがとうございます。
冒頭の部分ですが、皆様はイジメのニュースを見てどう思いますか?
私は、自殺する位なら学校に行かなければ良いのに。と思っております。
イジメ等をする下劣な奴等のせいで人が自ら命を絶つなんて、あって良いことじゃ無い。
そんな考えもあるんだな。と、頭の片隅にでも置いといていただけると、幸いです。
誤字、脱字、誤用の指摘、批判、改良案、感想、誉め言葉、を常時待っております!
では、また次回!