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トラディスィオン男子高校百合物語  作者: カルラ


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一話「絵柄だけのトランプカード」 その3

朝。

僕は早く起きて普段どおり朝礼の十五分前には教室に居た。

夜は眠れはしたがかなり浅い眠りだったためにいつもより眠気が強い。加えて体に変な脱力感があるのが辛い。

「祐次。話があるんだけど……聞いて……」

僕は目の前にいた友人に話しかける。

「なんだよ。元気ないぞ。しゃべり方も変だし。昨日はどうだったんだ。」

「……スペードジャックになった」

「へえ。それは良かったなあ…………ってマジかっ!?」

「うっうん。純香さまが強く推薦してそのままなし崩しで」

「それは大変だったな。それで渚先輩はどうだったんだ」

「少しイメージと違ったけどまあ良い人だよ」

今後付き合っていくのは大変そうだがそれは言わない方がいいだろう。

「そうか。まあ頑張れよ」

「うん」

「あっ。洸夜さん。少し連絡が」

祐次との会話がひと段落すると同時に雪美さんが声をかけてくる。待っててくれたのかな?

「何?」

「今日のお昼休みに生徒会室に集合です。ハートとダイヤのジャックがお決まりになったので自己紹介をするとのことですが」

「分かったよ。じゃあお昼に生徒会室だね」

「はい。おねがいします」

雪美さんはそれだけ言うと去っていった。

だけどもうハートとダイヤも決まったのか。本当にやること早いな。

本当に展開の早さに僕自身驚いていた。


そしてあっという間に昼休みが来る。僕は生徒会室に向かう道を雪美さんと一緒に歩く。

「雪美さんは自己紹介の内容考えた」

「はい。でも普通に自分の名前とかを説明するだけですしそれほど考え込むことでもありませんよ」

「そうかな。でも第一印象も大事だしどうしよう」

「……考えすぎですよ!変に力を入れずにありのままを伝えればそれで十分なんですから」

雪美さんは少しだけ力を入れた口調で話す。僕はそれに何となく安心した。

「そうだね……よし、頑張ろう」

そしてそうしているうちに生徒会室についてしまう。


「失礼します」

ドアをゆっくり開けて部屋に入る。

するとそこには昨日の渚さまと純香さま、しのぶさま、そして金髪のツインテールの人が居た。

「あの、はじめまして。僕は・・・」

「待ちなさい。洸夜ちゃん。今から全員集まるからまずは椅子に座って。とりあえずジャックの二人はそこに」

「はい」

「あっ。はい」

雪美さんと僕はいすに座る。

そしてその後五分以内にいろんな人が来た。部屋に入る時の言葉も

「ごめぇん。遅れちゃったね」

「最後じゃないか。良かった」

「はじめまして」

「やばい。みんな来てるか。ごめんね。でもとりあえずみんなにケーキ作ってきたから」

といろんな言葉があった。そして十二人全員が集まったので純香さまが立ち上がる。

「じゃあ全員始まったしお互い自己紹介でも始めましょうか。えっと。それじゃキングから順番で良いかな。まずは私からね」

どうやら純香さまが三年生の中でも仕切っているらしい。でも良く見ると純香の髪は短いけど赤と青のメッシュが入っていておしゃれにしてると思う。

「私はスペードキングで海咲純香といいます。ルビー組で乗馬部です」

純香さまはかなり丁寧だけどしっかりしてさらにどことなくオーラがある。指導者的な資質があるのかもしれない。

「次は萌がするね。名前は宮村萌(みやむらもえ)っていってクローバーキングだよ。ルビー組で純香のクラスメート。保険委員なんだよ。純香とは幼稚園から同じクラスで友達。しのぶは萌がスカウトしたんだよ」

萌さまは何というか。元気だな。三年で金髪ツインテールはどうかと思うが。

「みっ。()(づき)つかさといいます。つかさはね。あのっ、ハートキングでエメラルド組です。あのっ。特にクラブはしてません。それで、あのっ……」

「つかささま。落ち着いて」

別の子がつかささまにエールをおくる。様付けだからハートのクイーンかな?

「あっ。そうだね。深呼吸……えっとよろしく……はう」

つかささまは何とかきりよく終わらせる。でも三年生にしては背も低いしおどおどしてるな。金色のセミロングに付けてある大きなピンク色のリボンも心なしか垂れ下がっているような。というか三年生でピンクのリボンは……。それも似合ってるから恐ろしい。

安藤(あんどう)(こと)()。ダイヤキングでエメラルド組。音楽部でピアノを弾いてます」

次の人はまさにキングという感じだった。自己紹介の最後にポニーテールにまとめた銀髪の後ろをかきあげる仕草も華麗だった。

「皆さん終わりましたね。じゃあ次はクイーンで・・・ちょっと待って。次はクイーンとそれそれが選んだジャックが順番に自己紹介しましょう。クイーンは自分が選んだジャックの良いところも言ってください」

純香さまは急に変わったことを言い出した。僕は自分が渚さまにどんな風に言われるのか想像出来ないからやめてほしい。けど渚さまは

「面白いですわね。ではわたくし、スピードからいかせてもらいますわ」

「そうね。じゃあ渚から」

「はい」

純香さまと渚さまはあっさりやり取りを終えた。となると次は僕か。

「わたくしは綾河渚。サファイア組でスペードクイーンです。じゃあ洸夜。あなたよ」

いよいよ僕だ。しかし渚さまは自己紹介をあっさり終えすぎだ。だけど……しょうがない。もう決まったことなんだ。

僕は開き直り、力強く話す。

「僕の名前は麻井洸夜。一年生でルビー組です。スペードジャックになりました。特にクラブには参加していません。よろしくお願いします」

とりあえず無難に終えた。だがまだ続きがあった。

「わたくしが洸夜を選んだのはですね。やはりインスピレーションです。ピンと来ましたの。この子がわたくしの運命の人だと」

ああ。渚さまは昨日、純香さまに言われたのをほとんどそのまま言ってる。勢いだけで自分から始めたに違いない。しかも運命って恥ずかしくて顔が赤くなっちゃうよ。

「そう。渚は良い人を見つけたのね」

純香さまは笑顔で返している。さすがに勢いだけで走る渚さまと長い付き合いだけある。

「……次は私がやる」

いきなり低い声でしのぶさまが話した。次はしのぶさまがやるらしい。

「……私は木陰しのぶ。………サファイア組でオカルト研究会の部長。……クローバークイーン。……終わり」

しのぶさまは低い声で淡々としゃべりあっさりと終えてしまった。というか黒い服着てる。制服じゃないけどいいの?オカルト研究会の衣装っぽいけど普段から着てるのかな。

昨日もだけど本当になぞが多い人だ。

「私は西崎雪美といいます。華道部に所属してましてクラスは洸夜さんと同じルビー組です。しのぶさまに見初められましてクローバージャックになりました」

雪美さんは愛想よく挨拶をする。しのぶさまとは対称的だ。

「……私が………雪美を選んだのは……」

しのぶさまはゆっくりと立ち上がり雪美さんの正面から髪を触って

「……この髪が好き。……そして整った顔が好き。……それ以上でも………それ以下でも無い。……終わり」

「しのぶさま」

雪美さんは顔が真っ赤になって口元をそっと押さえてうつむく。何というかまあ。

「……照れないで。……そして顔を見せて」

「あっ、きゃっ」

しのぶさまは雪美さんの手を取りさらに見つめる。雪美さんは顔がもう熟れたトマトより真っ赤だ。

「ちょっとしのぶ。みんなの前だよ。このままやっちゃうと反応に困っちゃうよー」

「……すいません。」

「あっ。ごめんなさい」

萌さまがしのぶさまに注意するとしのぶさまはあっさり引き下がり雪美さんも顔を抑えて座る。真っ赤な顔を隠してるつもりだけどいまさら。それにやっちゃうっていうのは……

「気を取り直して私がやりますね。水樹(すいじゅ)(せい)()。ハートクイーンです。エメラルド組です。料理部に所属してましてお菓子作りが得意です。今日はみなさんにケーキを作ってきました。人数分ありますので後で一緒にどうでしょうか」

聖華さまは優しそうな人だ。声や口調もだし料理が得意なのも外見に合ってる。

赤茶色の髪を青のリボンでくくってるのも色合いがいいし似合ってる。

「じゃあみつき。頑張って」

「はい。(さくら)()みつき。ハートジャックで料理組でサファイア部で聖華さまと同じで……。あれっ?」

「みつき。もう少し落ち着いて。日本語間違えてる」

「あぐ。間違えちゃったかな」

「うん、かなり。……落ち着いて。ゆっくりと言えばいいから」

「うん。……みつきの名前は桜野みつきです。ハートジャックでサファイア組です。聖華さまと同じ料理部です。まだ上手くないけどこれから頑張って料理も上手くなります」

聖華さまと違ってみつきちゃんは子供っぽいな。髪も三つ編みだしある意味合ってるけど。

赤いリボンは聖華さまと色違いか。

「私がみつきに選んだのはですね。中等部の料理部でも一緒だったし何となく放っておけない気がしたからです」

「聖華さま。放っておけないって!」

「ごめんごめん。ちょっと間違えたかな。えっと、まあ気になる存在だから」

「聖華も良い人見つけたんだね。つかさも安心」

「ありがとうございます」

ハートの三人は何だか良い雰囲気だな。つかささまと聖華さまとみつきちゃん。相性が良いのかも。

「じゃあ最後に私がします。仲良しトリオ後でやりにくいけどね。塚山(つかやま)(かえで)。ダイヤクイーンでエメラルド組。みんな気さくに話してね」

楓さまは何だか本当に話しやすそうだな。本人も言ってるけど雰囲気もしゃべりやすそう。

腰まである長い金髪で美人系だけど不思議な感じだ。

「それではラストはこの私。仲野(なかの)あづさが務めていただきますわ。ダイヤジャックでエメラルド組。スケート部に所属してましてフィギュアスケートは幼少から嗜んでいますの。これでも世界大会に出たこともありますのよ」

あづささんはやけに高飛車な感じだな。強気というか。銀髪のショートだけどそれが性格にある意味マッチしてるし。だけど世界大会に出たのは何気に凄いことだと思う。

「ははは。ねえあづさ。もう少しみんなに話しやすいように挨拶しないと」

楓さまがやんわりと注意をする。確かに一応はまだ一年生だし自己紹介ぐらいは何というか、おしとやかにしてみても。と、そういうニュアンスが含まれているように思う。

だがあづささんはそれをあっさりと否定する。

「自己紹介というのは、はっきり自分を出さないといけませんわ。おとなしい印象を与えると後々になってから誤解を招きます」

「まあそうだけどね。……あっ。それで私があづさを選んだ理由はね」

楓さまが一瞬溜める。

「私なら楓のことを全て分かってあげられると思ったから。何だか私と楓は似てるし」

「そうね。楓とあづさちゃんは何か似てる。まるで鏡のように」

琴実さんが二人に対して言うが僕は少し疑問だ。楓さまとあづささんは全然違う気がするんだけど。

「じゃあ皆さん自己紹介は終わりましたね。次は一年生にいろいろ教えるんだけど。私達キングとクイーンがそれぞれのジャックに教えてください。その方がいろいろと分かりますし」

純香さまは自己紹介を終えたらすぐに次のことを指示した。この人はリーダーシップが凄い。

「じゃあ洸夜、一年生の仕事だけど、具体的には特に無いわ」

渚さまはいきなりそんなことを言う。特に無いのではそれはそれで困るのだけど。

「なぎさっ。それは違うわよ。無いわけじゃない」

純香さまはすぐに訂正してくれる。さすがに無いわけは無いよな。

「洸夜ちゃん。仕事はね。いろいろと行事の際にあるけど、それはまあその時に教えるからね。主にはお茶でも淹れてくれたらいいわ。あとたまに生徒会室の掃除」

掃除とお茶入れか。別に嫌いなわけじゃないからいいや。

「私は熱いダージリンが好き」

「わたくしはローズマリーで。紅茶の淹れ方は知ってるわね」

「はい。紅茶は僕も好きですし」

紅茶か。僕もローズマリーが好きだから渚さまと同じか。大したことじゃないけど何だか嬉しいかも。


そしてその後はみんな言われたことはほとんど同じらしく一緒に生徒会室の隣にある給湯室でお茶を淹れている。

「みんなも紅茶?」

「はい。しのぶさまも萌さまもジャスミンが好きらしくて」

「みつきも紅茶好き」

「私も紅茶は好きですが、淹れるのは……」

あづささんだけは、紅茶を淹れるのに手間取っている。

「どうしました」

雪美さんはすぐに声をかける。まあ、あづささんは自分から聞くタイプじゃないから誰かが声をかけないと延々と終わりそうに無いんけど。

「なんでもないわ」

!?せっかく雪美さんが助け舟を出したのに拒否か。強気というより強情かも。

「そう。せっかくだし私が淹れるわ」

雪美さんはさっとあづささんからティーセットを取るとそのまま紅茶を淹れてしまう。

「ちょっとあなた」

「あづささんはお砂糖とミルクの用意をおねがいしますね。あとレモンも。

「えっ!?」

「作業分担です。このほうが効率がよろしいと思います」

「わっ分かったわよ」

あづささんはすぐに棚からシュガーポット。冷蔵庫からカットレモンとミルクを取り出す。

そしてその後、それぞれ三つずつティーカップが入ったトレーを持って生徒会室に戻る。


「あら、美味しいわ。洸夜ちゃん紅茶淹れるの上手ね」

「そうですね。美味しいですわ。洸夜。あなた家でも淹れてるの?」

「はい。お茶は自分で淹れるのは僕のこだわりでもありますし」

純香さまと渚さまが美味しいと言ってくれて内心は嬉しくて舞い上がっていた。

でもあまりそれを出すとかっこ悪いし控えめに微笑を浮かべて僕は返事をした。でも少しだけおかしな表情になっていたかも。

「……雪美、……さっぱりしていて良い味ね」

「そうだね。うん。香りが上品に漂っているし。丁寧に淹れたのが分かるよ」

「そんな。ほめすぎです」

隣ではクローバーの三人がお茶を飲んでいる。雪美さんの淹れたお茶は美味しいらしく褒めるほうも丁寧にほめていた。でもそれで雪美さんは逆に顔を赤くしている。

「……雪美隠さないで」

またさっきと同じやり取り。さすがに見てる方も辛いので目を逸らす。

「みつきちゃんぬるいよぉ。何だか微妙で気持ち悪いかもぉ」

「確かに。みつき。少しぬるすぎるかも」

ハートの方はみつきの紅茶は不評のようだ。

でもつかささまはちょっときつい気もする。

「あぐ。そんなあ」

みつきちゃんは落ち込んでいる。しょんぼりとした顔でうつむいちゃった。

「大丈夫だよみつき。私も最初は下手だったけど少しずつ上手くなったんだし」

「聖華さま。はい。みつき頑張るっ」

聖華さまは最後にフォローを入れていた。みつきちゃんもそれで上機嫌なようだ。

「えっ?でも聖華は一年の頃から美味しかったよ」

「あぐ」

つかささまの空気を読まない余計な一言でまたみつきちゃんは肩を落とす。

「ちょっ。つかささま」

「えっ。つかさ何か変なこと言ったのぉ」

聖華さまは珍しく口調が上ずっていたが、つかささまは全く悪気が無いらしい。困った人だ。

「どうです。私が淹れた紅茶は。美味しいでしょう」

ダイヤの方はあづささんがさも自分が淹れたように堂々とお茶を出している。

「あづさ。あなた人に淹れてもらったわね」

「そうですね。琴実さまの言うとおり。あづさ。自分で淹れないと駄目よ」

ダイヤの方は琴実さまが一口飲んだ瞬間にあづささまが淹れてないと気づいたようだ。

「そんな。私が淹れました」

「あづさ。うそは駄目だよ」

楓さまが優しく、しかししっかりした口調で言った。

「うっ。ですが」

「この葉の開き方や温度。丁寧に淹れてあるわ。雪美ちゃんに淹れてもらったわね」

琴実さまは誰が替え玉で入れたのかも気づく。超能力みたいだ。

「えっ。どうして。はっ」

追求の連続にあづささんはついに本音が出てしまう。あわてて口を押さえるが遅いよ。あづささん。

「一年生でこんなに丁寧に淹れれるのはスペードの洸夜ちゃんとクローバーの雪美ちゃんだけ。その二人でさらに上手く淹れれないで困ってるあなたにすぐに気づいてフォローするのは雪美ちゃんの方。それにあなたは強情だから最初は拒む。それで砂糖やミルクを用意してと言ってもらった。図星でしょ」

あづささんは声も出ない。でも琴実さまは本当に鋭すぎる。探偵みたいだった。

「琴実さま、あまり追い詰めたら可哀想です。あづさ、淹れたことが無いなら素直に言わないと。変に見栄を張らなくても良いんだよ」

「だって。家でも使用人が淹れてるし全然わかんなかったんだもん」

「あづさ」

あづささんは追い詰められて少し涙目になっている。楓さまはそんなあづささんを見て優しく頭を撫でている。

意外とあづささんも弱いところがあるらしい。


そして長い自己紹介とお茶会が終わり帰る準備をしていると急に純香さまが思い出したように声を挙げる。

「そういえば明日は放課後にジャックのインタビューがあるから」

「えっ。どういうことですか?」

僕は思わず聞き返す。

「純香さまそれは私も初耳です」

渚さまも純香さまに尋ねる。二年生も知らなかったのか?

「それはつかさにいわせて。新聞部が『新任ジャックインタビュー』って言うのをやりたいってつかさに聞いてきたの。それでつかさが分かったって言うとそれで明日に決まったんだよぉ」

「つかささま、そういうのは後で会議の上で日程の調整をしないと駄目なんですよ」

聖華さまが少し大きい声で注意する。さすがに元凶が自分の直接のキングではばつが悪いだろうし。

「はう。聖華そんな大きい声でやめてよ。つかさだってキングなんだから。一人前なの見せたかったの」

「すいません。大きい声で。でもこれからは勝手は……」

「つかさのミスじゃないわ。どうせ新聞部がわざとつかさに頼んでのよ」

聖華さまに琴実さまが割り込む。でもわざとって?

「前に写真部が依頼した時は私が応対して断ったわ。確か写真集とか出したいとか言ってきて」

「ええっ!楽しそうだよ。琴実もったいない」

萌さまは写真集は出したいらしい。まあ楽しいの好きそうだけど。

「萌は黙ってて。それに水着とか嫌じゃない」

「確かにそれはいや」

萌さまはあっさり引き下がる。水着は嫌らしい。

「それでつまり新聞部は写真部の情報を入手して依頼する相手を選んだのよ。私と純香では後回しにされるのは明らか。萌とつかさのどちらかを狙ったのね」

「つかさ甘く見られたの……はう」

つかささまは涙目だ。少し悔しそうで。聖華さまはそんなつかささまの肩を優しく抱いた。

「つかささま」

聖華さまが先ほどと違って優しい顔で続ける。

「次からは私達に一言話してください。大丈夫ですから」

「はぁい。ごめんなさい」

つかささまは反省したようだった。

「萌は絶対引っかからないんだから」

萌さまは少しご立腹だ。狙われた候補に自分が入っているのは納得できないらしい。

「……まあそれで明日に決まったの。場所は明日の昼休みに決まるわ。だから全員忘れないで」

最後に純香さまが締める。

結局、僕達は明日にはインタビューがあるらしい。


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