第一期 第9話R 『おやじの背中』
今回も、もともと1つの話が、2つに分かれました。
●大弩號が任務に出なくなり、約1ヶ月が経った。その間に、増えゆく同業者達は戦闘にも慣れ、どんどん活躍の幅を拡げていた。
その裏では、ビッグママ率いる、キャバ嬢隊員のシーイーグル部隊が、大弩號の代わりに活動していた。
●新聞を見ているおやじ隊員の会長
『エイダー部隊の大活躍』『ホスト潜水艦部隊も活躍』『新たに参戦した、外人部隊、そして、レディース戦艦、今後の活躍は?』
●おやじ隊員達は、同業者の活躍を知り、自分達はもう必要ないのでは?命懸けの戦いより、今のまま、子供達と過ごす事が、一番良いのではと考えるようになっていた。
一部のおやじ隊員達は、たまに集まり、飲み会をしつつ、大弩號の話をしたりはするが、MLに反応する事はなかった。
■漢艦シリーズ 大弩號 第一期 第9話R 『おやじの背中』
■地下整備工場
今里
『整備する艦も、沢山、来るようになりましたね』
黒沢
『当たり前よ〜。かなり利益も出て来たから、新兵器の開発とか、いろいろ出来そう〜』
相田
『でも、肝心の…』
黒沢
『それは言わない…今は、少し時間が必要なんだと思うし、そのうちきっと…』
●おやじ隊員の連絡が、全く無い状態が続いている中、大弩號の修理は、ほぼ完了していた。
●ある日曜日
幼稚園のおやじの会のBBQのイベント。
その端の方で、藤本と会長が話している
藤本
『もう1ヶ月ですねぇ』
会長
『早いものですね。あれから、大弩號は?』
藤本
『ご存知だと思いますが、仕事は来るのですが、人が集まらないので動かせず、女性隊員の戦闘機部隊で、ヘルプ参加して、何とか繋いでいます。もちろん、大弩號の修理は、ほぼ完了しています』
会長
『こんな事になり、すいません…』
藤本
『仕方ない事だと思います。本来は、こうした子供達と楽しむイベントや父親どおしの親交を深める会ですし、これが一番、自然かと…』
会長
『…何故、おやじの会のメンバーに、大弩號の事を相談されたのですか?』
藤本
『…何故でしょうね。準備までには、数年以上の時間が掛かりました。その時は、魚介類の話もさほど脅威ではありませんでしたし、じゃあ、こんな戦艦を造って、何の為に戦うのか?と、見えない敵を追いかけ探していた時期な気がします。でも、いざ大弩號が完成した時、何故か、今のおやじの会のメンバーと一緒に戦って行きたいと強く感じた…それだけですね。多分…そう、それだけです』
会長
『子供達に対して、自慢の父親になりたい…、今になれば、それだけでないと気付いた気がします。上手く言えませんが…』
藤本
『…』
■洋上
沿岸守備隊 偵察機シーカル【海駆】
堀田隊員
『この数を追いかけるのは、無理だ…』
岩村隊員
『本部へ、こちらシーカルワン、沢山の魚介類の群が日本に接近中。こちらでは、すべてを追えません。ヘルプをお願いします』
本部
『了解!こちらのレーダーも確認した。すぐヘルプを出します』
堀田隊員
『それにしても何て数だ…、今日はかなり大変な日になる気がする』
岩村隊員
『確かに…』
本部
『本部より、世界中でも多数の魚介類を確認したようだ。今日は何が起こるか分からない。偵察も十分、気をつけて下さい』
岩村隊員
『了解』
●大型魚介類の生息地や目的は未だに、わかっていない。
■地下ドッグCDC
ビッグママ
『至るところから、仕事依頼や救援要請が来たから、あまり分散はしたくないけど部隊を分けるよ。ジャスミン隊はA地区、ウーロン隊はB地区、ハーブ隊はC地区、ウインナーコーヒーはD地区、リキュールはE地区、カシス隊はF地区へ』
黒沢
『今回は、決戦用に開発していた大型スピアミサイルを六発を装備しています。重装備なので、操縦も難しい部分もあります。後、重い分、エネルギーを食う為、撃ち尽くしたら、速やかに帰投して下さい』
ビッグママ
『皆、気を着けるんだよ。出撃!』
キャバ嬢隊員達
『了解』
●リニアカタパルトから、次々と発進するシーイーグル部隊
艦長
『すまない』
ビッグママ
『何を言ってるの。昔に比べたらこれくらい大した事じゃないわよ』
黒沢
『昔って、お二人は何をされてたんですか?』
ビッグママ
『やぼな事は聞かない…、ね、艦長』
艦長
『…まあな』
今里
『何か怪しい』
相田
『確かに…』
今里
『そう言えば、何故、大弩號は、艦に外装を付けるんですか?』
黒沢
『まだ、秘密だよ〜』
ビッグママ
『それと知らない方が幸せって事もある。大人だから、その意味は分かるよね』
今里
『は…はい(汗)』
●各地区で、戦いが始まる。相手は、シジミ、イワシ、ホタテ貝、その他…
そんな中、シーイーグルは、ビッグママの的確な指示の元、スピアミサイルの凄い攻撃力で圧倒した。
ビッグママ
『行けるね〜スピア!。弾の予備は、まだあるのかい?』
黒沢
『実は、試作で、弾数がなく、これで打ち止めなんです…』
ビッグママ
『役立たず!』
●至るところで繰り広げられている戦闘風景が、テレビ中継されている。それを会社や自宅で見ている、おやじ隊員達。
そこに、会長からのメールが入る。
『皆の時間があれば、今晩、【おいでやす】に集合しませんか?』
■焼き鳥屋 おいでやす
夕方から、レギュラーメンバー20名ほどが集る。
会長
『今日は、同時多発のせいなのか、やたら戦闘の中継が流れてて、1人で見てるのが何か辛くなって…』
おやじ隊員A
『確かに…』
おやじ隊員C
『でも、もう私達が居なくても、あれだけの同業者がいれば…』
おやじ隊員D
『逆に、この中で闘っていたらと考えると…ゾッとしたりもするし…』
会長
『中継をみてると、各艦のボロボロな所が増えているし、魚介類も、次から次へと現れてるからちょっと危険かも…見守るしかないけど…』
●中継を見ながら、しばらく飲み続ける、おやじ隊員達
●画面には、イワシと闘う、サフラ1【大型のフェリーを改装した戦艦】がピンチ。そこに到着したシーイーグル部隊との共闘で、なんとか撃退。
おやじ隊員達が、ホッとしたのも束の間、声をあげた!『あぁ!』
●ミッション終了と思いきや、海から大きい蛸の足が出現、サフラ1を襲う。飛ばされるサフラ1。海岸に打ち上げられ、動けない…シーイーグル部隊も、エネルギーや弾切れで、止むなく退却する。
●大ダコが登場!
陸地に、上陸するタコ!他の地域は、まだ、激戦中である。救援は難しそうだ。その光景を目の辺りにし、つばをのむ、おやじ隊員達。
中継画面は、タコが沿岸で暴れている。もはや怪獣映画を観てるようである。
●…と、突然、通りすがりのちょいガラ悪じいちゃんが、襖をあけて、いきなり登場
『ちょっと失礼』
おやじ隊員達は、振り返る
ちょいガラ悪じいちゃん
『大切な事は、それぞれの男としての生きざまじゃないですか?家族に、ええカッコしている姿を知ってもらい程度の上っ面な考え方が、そもそも間違いだと思いまがねぇ。そんなうわべだけの親が増えるから、子供はニートのようなものになってしまう。背中で語れる親に何故ならない。語ってこその親父でしょう〜!…私は、そう思って今日、この瞬間を生きています。あ、言葉が過ぎましたかな、ごめんやす』
襖が閉まる。
●あっけにとられるおやじ隊員達。
会長
『あの人、誰??』
●このちょいガラ悪じいさんの正体については、また、いつか…。
■地下ドッグのハンガー
整備中の各戦闘機小隊
今里
『シーイーグル、全機、帰投しました。半数が修理が必要かと…』
相田
『この数じゃ、修理はおろか補給も難しいです』
黒沢
『何を弱音を吐いてる、急ぐぞ』
ビッグママ
『黒ちゃん、この仕事が終わったら、後日、ミッションレコーダーの分析を頼むよ』
黒沢
『何かありましたか?』
ビッグママ
『ちょっと気になる事があってね…』
内海
『タコと交戦している沿岸の地上部隊、押されてるようです。』
蔵前
『サフラ1も、完全に沈黙です』
●隊員控え室では、バテバテのキャバ嬢隊員達
●各激戦区の画像を見ている、艦長と藤本司令達。 藤本司令
『まるで最終決戦を仕掛けてきてる感じですね。』
ビッグママ
『この状況…また、昔を思いだすね』
艦長
『んな思いを、もうしたくない。そんな思いで、大弩號に乗ったのだが…やはり繰り返しなのか…』
ビッグママ
『…』
藤本司令
『艦長、大弩號を私達だけで動かせないでしょうか?』
黒沢
『それは無理です』
艦長
『仮に出来たとしても、艦長として許可出来ません』
藤本司令
『しかし…』
後ろのドアが開き、声が
『私達も協力します』
藤本司令振り返る
そこには、幼稚園の先生達…
藤本司令
『皆さん…』
幼稚園先生A
『園長先生、私達も、何か出来る事があるはずです』幼稚園先生B
『こんな状況は、見ていられません』
艦長
『…良い先生達を育てられてますね…』
藤本司令、少し涙ぐむ
ビッグママ
『私も乗るよ』
黒沢
『ビッグママまで…』
更に、後ろから声
『私達も行きます』
と、ボロボロのキャバ嬢隊員達
ビッグママ
『あなた達…』
艦長
『黒沢くん、セミオート仕様の補佐状態での大弩號は出せそうか?』
黒沢
『あれはまだ開発中で…………私の乗艦を許可下さるのであれば、何とかします。ま、保証はありませんが…』
艦長
『構わん、後は、気合いで何とかなる』
黒沢
『決まりですね。大弩號、発進準備』
■000のゲートが開き、中から一隻の戦艦が、ドッグに、固定される。
『壱型、B型、1式装備で、スタンバイ』
戦艦の下が開き、パーツがせり上がる。そして、戦艦に装着。艦首に、出刃包丁が装着。
■艦橋
艦長、藤本司令、ビッグママ、黒沢、キャバ嬢隊員達、幼稚園の先生達
黒沢
『相手がタコですので、B型を装着しました。今里、相田、あとは宜しく。それと、緊急時は、001の使用を許可します』
艦長
『うむ。出航準備』
黒沢達
『了解!
●藤本司令や黒沢達が、席に着き、キャバ嬢達も下部の運航補佐&解析、レーダールームへ移動する。
艦長が、キーを差し、運航システムが起動。
黒沢
『運航、武器管制、システムクリア』
キャバ嬢隊員A
『レーダーシステムクリア』
今里
『発進ゲート・ルート3へ移動開始』
相田
移動開始ボタンを押す。
●大弩號が移動開始。
ルート3ゲートに入る→ゲート閉まる→注水→ガントリーロック解除→向かうゲートが沢山開く→信号機が赤から青へ
艦長
『出航!』
黒沢
『了解』
ビッグママ&先生達&キャバ嬢隊員達
『お〜』
微速前進しながら徐々に加速する大弩號。真っ直ぐ直進、ネオンが綺麗。正面、大型ゲートが開き、海中に潜入。徐々に海面に姿を現す。
■地下ドッグ
今里・相田が、大弩號の進路を確認している。
■戦闘水域
キャバ嬢隊員
『前方、進路上の沿岸にタコ確認』
艦長
『主砲発射準備』
●オートに動く主砲
先生
『主砲発射準備完了』
黒沢
『上手く機能しているな』艦長
『撃て〜!』
大弩號の主砲から、大きな銛を発射!
タコの本体に命中!
苦しみのたうち回るタコ!反転して、大弩號に向かって来る。
艦長
『いっきに片付ける、B装備スタンバイ』
ビッグママ
『了解、B装備展開』
艦首の出刃包丁が展開。
●海面に入り、大弩號に突進してくるタコ
黒沢
『行け〜』
●大弩號もタコに突撃!擦れ違う
艦長
『やったか?』
タコ、真っ二つになり沈む黒沢
『何とかやりましたね』
艦長
『なんとかな…』
●突然、下からの突き上げが来る。吹き飛ぶ大弩號!!
隊員達
『キャー』
ビッグママ
『まさか…二匹め…』
●大弩號が空へ飛び上がり、海面に叩きつけられる。沈黙する大弩號。
海中から、二匹目のタコが現れた。一匹目より、更に大きいタコで、足の数本の吸盤から、鉄のようなトゲが出ていて、目には、赤い文字が…。
クライマックスぽくなっているのは、元々、13話の想定だった為です。