前編
来年から就職が決まってる栗原隆一にとって、今は学生生活最後の夏真っ盛りだ。就職が決まってからは大学には滅多に顔を出さず、この夏の為にほぼ毎日アルバイトをして、遊ぶ為の資金を貯めた。おかげで連日のように遊び歩いても、まだ資金に余裕はあった。
この日も、二年付き合っている臼井美緒とデートをして帰ってきたところだ。美緒は明日は麻からアルバイトがあるとの事だったので、早めに帰ることにし、隆一が一人で暮らすアパートに帰宅したのは夜九時を過ぎた辺りだった。
寝るにはまだ早いので、冷蔵庫から缶ビールを出し、テレビをつけた。隆一は酒好きの父親の遺伝のせいか、大の酒好きで、ここのところ毎日酒を飲んでいる。缶ビールを一口飲むと、隆一の携帯電話が鳴った。液晶画面には「吉田圭」と出ている。
「はいはーい」
「隆一、今からウチで飲まないか?ちょうど彰も来てるんだよ」
「お、行く行く!ちょうど暇してたんだ!」
「じゃあ駅まで迎えに行くから電車乗ったらメールくれよ」
吉田圭、大沢彰は同じ大学の友人だ。入学早々、隆一はサッカーのサークルに入った。そこで二人と出会った。偶然にも同じ経済学部で、偶然にも三人とも一人暮らしだった。それ以来、三人は何をするにも一緒で、彼等はお互いを親友と認め合い、酒を飲むと一生の友情を誓い合っていた。
隆一は飲みかけのビールを一気に流し込み、三日前に酔った勢いで買い過ぎた乾き物を二つ手に取って家を出た。隆一はいわゆる地方都市にある大学に通っているが、住んでいるのはそこから更に外れた田舎町だ。ただ自由が欲しいという理由だけだというのに一人暮らしを許可してくれた両親に、せめてものという罪悪感から家賃の安い今のアパートに決めたのだ。
圭の家は隆一の家から電車で約十五分。夜の九時を回ると、隆一が使う最寄り駅には殆ど利用客がいない。
真っ暗な空に、所々電球が切れかかっている蛍光灯、ホームの目の前にある森林から虫の声が聞こえる。見渡す限り、ホームには隆一しかいなかった。ホームの奥にあるベンチに腰掛けると、イヤホンをして、音楽を聞き始めた。電車が来るまであと五分。隆一が最近始めた携帯アプリのゲームを起動すると、何となく視線を感じた。
視線の方向は改札よりのホーム。何気なくそちらに目線をやると、一人の女性が立っていた。こちら側に顔を向けて。赤い、ノースリーブのワンピースを着て、長い黒髪で顔はよく見えないが、確かに目が合ったような気がした。体ごとこちらを向けて、自分の事を見ていたので、誰か知り合いかと思い、改めて隆一はその女性を見た。視力はいい方だったが、結構距離があってやはりはっきりと顔は見えない。ただ、明らかに知り合いではない。
なんだよ、と思いつつも、相手が女性であったし、何となく不気味な印象だったのでどこかアブナイ人なのかな、と思って彼は目線を携帯に戻した。携帯に目線を戻してからも、気になるのは改札寄りのホームから向けられる視線だ。夜空を見上げるフリをして、ちらりとそちらを見ると、女性はさっきと変わらず、体ごと向けて、こちらを見ている。
気味悪く思っていると、ホームに電車が到着するアナウンスが流れた。ほっとしてベンチから立ち上がり、視線に対して背を向けた。電車にはちらほらとではあるが人が乗っており、安心した。電車に乗ると、隆一の好きな一番端っこの椅子に腰掛けた。
それにしても何だったんだろうあの女。同じ駅に住んでるのか、嫌だなと思いつつ、ぼーっと窓の外を見ていると、電車がゆっくりと動き始めた。何気なく窓の外を見ていた隆一だが、電車がホームを過ぎようとした頃、つまりさっき女が立っていた辺りに来ると、何とその女がまだそこに立っていたのだ。電車にも乗らず、何をしていると言うのか。
そして、さっきまでホーム奥側のベンチに座る隆一を体を向けて見つめていたのだが、窓の外に見えたその女は、今度は体を電車に向け、その視線は電車を、いや、隆一をしっかりと捉えていた。長い黒髪に顔は覆われてよく見えなかった筈だが、隆一はしっかりと目が合い、そしてその女が笑ったような気さえした。
全身に鳥肌が立つ。そんな表現は何度か聞いた事があるが、実際に自分が体験した事はなかった。だが、今、それがはっきりと分かった。思わず、「えっ」と声を上げてしまった。すぐに隆一は圭にメールを送った。「今、電車乗った」と。
圭の家の最寄り駅に着き、改札を出ると圭の車が見えた。助手席から彰が手を上げる。小走りで車に向かい、後部座席のドアを開け、車に乗った。二人の顔を見ると、さっき見たあの不気味な女への恐怖心はすっかりと消えていた。
「学生生活最後の夏だっていうのに俺達本当暇だよな」
彰が言った。彰は隆一がこれまでの人生で一番と断言出来るほど容姿が優れており、大学でも噂になっている程だ。一方で性格は気が強く、女性関係にもだらしないのでこの四年間で彰に泣かされた女性は数え切れない程だ。
「まぁいいじゃないの。最後だからこうやって簡単に集まれるんだからさ」
と、彰に言う圭は、その見た目から優しさが溢れており、実際に誰に対しても優しい男だった。隆一と彰は酔っ払うと度々揉める事が多いが、圭がいつもその間に入って仲を取り持つのだ。
「そうそう。土産もあるし、今日は朝までやろうぜ」
そう言って隆一は乾き物を二つ二人に見せた。その時、圭の顔を見ようと不意に目線を上げたのだが、車内のルームミラーが目に入った。そのルームミラーに映る、まさかの光景に隆一は一瞬時間が止まったかのように思えた。ホームで見た、あの女がルームミラーに映っていたのだ。
「く、車に出してくれ!!」
「え?」
「いいから早く!!」
なんだよ、と言いつつ圭は車を動かした。車が動くと、隆一は後ろを振り返った。間違いない。あの女だ。距離があるので顔までは見えないが間違いなくこちらを見ている。
何故だ?そもそもあの女は電車に乗っていなかったではないか。
圭の家に着くまで、頭の中は真っ白だった。
あの女を見たのは隆一が電車に乗った駅だ。恐怖を覚えたのは、あの女が電車に乗らずにホームに立ったまま、隆一の顔を見続けていたからだ。
しかし、あの女はこの駅にもいた。赤いワンピース、長い黒髪、間違いなくあの女だった。隆一が乗った電車よりこの駅に早く着く電車はない。つまり、電車で隆一と同時にこの駅に到着するのは不可能であることは間違いない。そうなると方法は一つしかない。車だ。ホームで電車に乗る隆一を見送った後、女がすぐに改札に戻り、自分の車なり、タクシーに乗ってこの駅までやって来る。
ただ、通常使う道で行けば電車で15分の距離のところを、道路状況がスムーズに動いたとしても、電車での所要時間の倍である30分はかかる筈だ。余程スピードを出したのか、それとも何か裏道でもあるのだろうか。そもそも何故そんな事をする必要があるのか?という事を踏まえても、あの女が同時にこの駅に到着する可能性は限りなくゼロに近い。
さっきホームであの女に見られていた事が、あまりに強烈な印象で無意識の内に幻覚として見えた、その方が信憑性がある程だ。
「何だよさっきの」
圭の部屋に入るまで、隆一は一言も口を開かなかった。いや、開けなかったのだ。頭がこれほど混乱しているのは、前付き合っていた彼女に浮気をされた時くらいだろうか。
「あ、ああ」
「お前、誰か人にでも追われてんの?」
彰が茶化すように言う。きっと何かの間違いに違いない。どう考えても現実味がないのだから。きっと最近酒を飲み過ぎていて、頭の中は四六時中酔っ払っていてどうにかしてるんだろう。
「いやさ、来る前にすっげえ怖い女に会ったんだよ」
酒の肴として二人にも話してしまおうと決めた。隆一はビールを片手に先程の出来事を少し冗談ぽくして話した。圭も彰も真剣な顔をして聞いてくれている事が余計に隆一の気分を良くした。
「こわっ!何それ!」
「お前、変なお化けウチに連れてくんなよな!」
圭も彰も口々に言う。だが、そのどれも隆一の話を深刻な話としては聞いておらず、単なる怪談の一つくらいの気持ちで聞いていたようだ。現に、話はすぐに彰の新しい彼女の話に移った。それくらいの扱いが、隆一にとっても有り難かった。
いつもの様に下らない話で盛り上がって、圭の家に買い込んであった酒を次々と飲む。風呂も入らず、歯も磨かず、散らかしっぱなしでいつの間にか眠っている。圭の家で飲む時はいつもこんな感じだ。それは今日も同じだった。
隆一が目を覚ましたのは外が明るくなり始めた朝方四時過ぎだった。トイレに行きたくて目が覚め、立ち上がると思いの外、頭がフラフラした。改めて部屋を見渡すと、空き缶や空き瓶が転がっていて、こんなに飲んだのか、と思うような量だ。道理で頭が痛くなる筈だ。
トイレを終えると、少し頭をすっきりさせたくてベランダに出た。圭のアパートは三階建の三階で、周辺は高い建物が少ないので、三階建でも結構見晴らしは良かった。明るくなり始めた空と、まだ暑さを伴わない爽やかな風を浴びながら、煙草を吸いたくなり、火を点けた。
そんな爽やかな一服を過ごしていると、視界の片隅に何かが映った。楽しい宴席ですっかり忘れていたあの女だった。女は圭のアパートから歩いて三分程にあるコンビニの前に立っている。そして、その体、顔はしっかりと隆一を捉えている。
思わず、煙草を落としてしまった。何で?いや、そもそも誰なんだあいつ。何で俺を見るんだよ!
「お、お、おい!起きろお前ら!」
窓を勢いよく開け、ベッドで寝ている圭と、床で倒れたように眠る彰に大声で言った。しかし、圭は一度寝ると余程の事がない限り起きない。怒鳴り声くらいではピクリとも動かない。一方で、意外と神経質な彰は隆一の声に驚いてすぐに起きた。
「びっくりしたな・・・なんだよ!」
首をこちらに向け、隆一に怒る彰。
「き、昨日の女が!」
そう言ってコンビニの前に立っている女を指差した。もう一度そっちを見る事が怖くて、コンビニの方を向く事は出来ないが、自分の後頭部にあの女の視線を強く感じる。
「はぁ?お前、寝ぼけてんのかよ」
そう言って彰は再び横になった。
「ち、違う!本当なんだ!彰!!頼む!」
隆一のすがるような声に彰も危機感を感じたのか、不満げな顔をしつつも文句を言わず立ち上がり、ベランダの方までやってきた。
「コ、コンビニのゴミ箱のあたり」
あの女を二度と見たくない。恐怖のあまり、自分はコンビニから背を向けて言った。
「おいおいマジかよ・・・」
「み、見えるだろ!?」
「あいつ・・・だよな?」
彰が隣に居て、彰にも見えているのが分かったからか、少し頼もしく感じて、隆一ももう一度あの女を見る事にした。ゆっくりと振り向く。やはりあの女は立っている。そして、こちらを見ている。こんな時間にあんな所で何をしているんだろう?いや、何をしているのかは明白じゃないか。俺を見ているんだ。
何故?どうして昨日からあいつは俺を見ているんだ?
「行こうぜ」
彰が言った。
「え?」
「いや、お化けでも何でもねえじゃん。人間だろ?昨日からお前に何の用なのか、きっちり聞いとけよ。気味悪いだろ。もしかしたらストーカーかもしれないだろ」
確かにそれはそうだが、もし彰の話が真実だとするなら昨日、二度目に駅に現れた事はどう説明するのか?物理的に、あの電車にあの女が乗っていなければ隆一と同時に駅にいる事など不可能な筈なのに。そんな考えが纏まらない内に彰は既に玄関にいた。
「早く行くぞ!」
そんなやり取りも知らずに気持ち良さそうに寝ている圭を横目に、隆一は彰と一緒に女が立っているコンビニに行こうと、圭の部屋を出た。
外はまだ薄暗い。季節が夏でなければまだ真っ暗な時間帯だから、当然だ。普段なら、この時間に夜が明け始める空を見ると、夏を感じる事が出来て、気分は良くなる。こんな恐怖や不安、焦りを感じる状況でこの空を見たくなかった。
前を走る彰。何故あんなモノを見て、それを確かめに行こうと言えるのかが分からない。彰は怖くないのだろうか?後ろを走る隆一を振り返りもせず、彰は走っている。
女が立っていたコンビニは目の前にある角を曲がれば、ある。ちょうどその角にある塀が死角になってコンビニの看板しか見えない。あの女を間近にして、彰は何をするつもりなのか、そしてあの女は何をしてくるつもりなのか。様々な感情が入り混じりすぎて、正に混乱と言える精神状況の中、ついに目の前にコンビニが現れた。
しかし、女の姿は無い。
「くっそ」
彰は息を切らしながらそう言って、周りに女が隠れていないか探した。隆一はただ立ち尽くすしかなかった。この程度のダッシュで疲れる訳がないし、こんなにも息が上がる訳もないのに、隆一はひどい疲労を感じている。ここに女が立っていなくて良かった、そんな風に考えている自分もいる。
「なんなんだよ、あいつ」
結局、彰が女を見つける事は出来なかった。彰が苛立っているのは恐怖という本心を隠す為なのだろうか。
「ここ、だったよな?」
隆一は女が立っていた位置に近付いた。コンビニのゴミ箱のすぐ近くだ。何故こんな所にいたのだろうか?この辺の地域は完全に住宅街だ。周りには観光地どころか、飲食店も無いような場所。つまり、この周辺に住人以外が来る可能性は非常に低い。このコンビニは周辺住人専用のような状況にある。
では、あの女はこの地域の住人なのか?それなら昨日の夜、あんな時間に隆一の住む駅にいたのは何故だろう?隆一の住む駅は圭の住むこの駅より更に廃れている。その駅に降りる人は大体が住人だろうと言える程、何もない場所だ。だから、隆一はあの女はそこの住人だと思っていた。
住人以外は現れない確率の高い場所、二箇所にあの女は現れた。勿論、単なる偶然だと、楽観的に考える事も出来る。あの女の格好が、視線が、雰囲気が異常でなければそう気にも留めなかっただろう。だが、隆一にはもう偶然とは思えない。これはあの女が意図的に自分を追ってきているとしか考えられない。
何故だろう?あんな不気味な女、知り合いではない。あの女と同じ行動を取れば、少しは謎が解けるだろうかと、ふと女が立っていた位置から圭の住むマンションを見た。そして、隆一はそこから目を動かす事が出来なかった。
「あ、あ、彰!!!」
思わず、大声が出てしまった。あの女が圭のマンションからこちらを見ているのだ。
「嘘だろ・・・」
彰にも見えているらしい。女が立っている場所が、圭の部屋があるすぐ近くの外階段である事に気付き、ふと我に返った。
「圭が、圭が危ない!」
隆一のその声に彰も我に返ったようで、「いくぞ!」と強く隆一の肩を叩き、走り始めた。全力で走る事で少しずつ頭が冷静になってくる。
圭のマンションからこのコンビニを繋ぐ最短ルートは、隆一と彰がこのコンビニへ走ってきたルートだ。当然、女とはすれ違ってない。マンションからコンビニまではもう一つルートがあるが、大通りを迂回するルートになり、距離にして二百メートル以上は遠回りになる。コンビニに隆一と彰が到着して、あの女を発見するまでにかかった時間はせいぜい二分程度。遠回りルートでマンションまで行って、あの場所に辿り着くのは不可能ではないかもしれないが、現実的ではない。そうなると、またもあの女は不可能な移動を行った事になる。霊的な現象などこれっぽっちも信用していない隆一だが、こればかりはその存在を肯定せざるを得ないのかもしれない。
マンションに着き、下からさっき女が立っていた位置を確認するが、姿は見当たらない。きっとまたいなくなっているだろう、むしろそうあって欲しいと思いつつ、エレベーターを待っている余裕がなかったので二人は階段を駆け上がった。そして、やはりその場所に女はいなかった。
「圭!!」
彰がそう叫んでマンションのドアを開ける。彰に続いて部屋に入ると、横になっている圭がいる。どうやら二人の心配は杞憂に終わったようだ。何事もなかったかのように圭は寝息を立てていたからだ。
安堵と共に恐怖心がこみ上げてくる。彰は息を切らし、汗だくになって立ち尽くしている。
「彰・・・」
「あの女が、昨日お前が見た女で間違いないのか?」
「ああ・・・あの赤いワンピースと長い黒髪、間違いなくあの女だよ」
「心当たりは?」
「ない」
倒れこむように彰がその場に座った。
「なんなんだよ、あいつ・・・」
「幽霊・・・かな?」
口にするのも躊躇われる言葉だが、隆一にはそれ以外に考えられなくなっていた。むしろ、あの女を生身の人間であると根拠付ける事の方が余程難しいように思えた。
「アホかお前。そんな訳ねえだろ」
彰がそういう非現実的な話が嫌いな事は分かっていた。だが、それなら一体あの女はなんなんだと言うのだ。
「圭、起きろ」
彰が圭を叩く。こうでもしないと圭は起きないのだ。
「ん・・・。え?なんだよ」
不機嫌そうに圭が言う。
「昨日、隆一が騒いでた女が現れた」
「は?」
話の内容を全く掴んでいない圭に彰が冷静に一から説明した。圭は話を黙って聞いていたが、みるみる内に顔色が悪くなっていく。当然だ。自分のマンションの敷地内にあんな不気味な女がいたのだから。隆一は今度は幽霊という言葉は使わなかった。圭も彰同様にその手の話は嫌うからだ。
「俺達三人の中の誰かに恨みでも持ってるんだろう。まあ冷静に考えて、女に恨みを買うような事やってきたのは俺だと思うんだが・・・」
自虐的に彰が言った。隆一も圭もフォローは出来ない。確かに彰はこれまでにたくさんの女性を弄んできたのは事実だからだ。
「でも、お前にも心当たりないんだろ?」
「ないね。ただ、仮に俺に恨みがある奴だとしても、限度ってもんがある。昨日、今日と現れたんだ。きっとまた現れる。次は必ず捕まえて、どういうつもりなのかきっちり問い詰めるさ」
彰は怒っている。本当に彰に恨みがある女性が復讐のつもりで脅かしているというのなら、確かに度が過ぎているとは思うものの、彰の自業自得でもある。
ただ、本当にそうだろうか?それなら何故、昨日は隆一の所に現れたのだろう。さっきだって、確かに隆一は女と目が合っているような気はした。女が狙っているのは本当に彰なのだろうか。どうしても腑に落ちない。彰があの女を怖がっていない事が唯一頼もしい部分だが、隆一はどこか納得がいかなかった。