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「、、、、ないと、、」
遠くで誰かの声が聞こえる。
その声はだんだんと大きくなっていく。
「、、、ないと、、、ナイトってば」
誰だろう?俺をそんな呼び方するのは?
「ヒメはね、今のうちにいっぱいいっぱい遊ばないといけないの!もう少し大きくなったら、、、、、、」
なんでそんなに焦ってるの?
また今度、来年じゃダメなの?
「つがるかいきょうー♪」
そのいつも歌ってるのなに?変な歌だね?
「変じゃない!演歌って言う歌なんだよ、ナイトはそんなのも知らないんだ」
ふーん、、、、、あれ?
ヒメちゃん?どこいったの?
ねー!ヒメちゃーん!
「はっ」
俺は急いで周りを見回した。
カーテンの隙間から漏れる朝の陽射しが目に少し染みた。
ここは俺の部屋だった。
付けっ放しの電気、パンツしか履いてない自分の姿、冷静に状況を確認すると、すぐに自分の置かれた状況を把握した。
どうやら、ベッドに寝転がってすぐに寝てしまったようだ。
ふと、さっきまで見てた夢について考えた。
あの声って、、、、、ヒメだよな。
昔の事なので、ハッキリは覚えてないが、夢の中で聞こえた会話は実際にあった気がする。
多分、昨日久しぶりにヒメとの事を思い出したから、こんな夢を見たに違いない。
「うっ」
一瞬脳裏に浮かぶ、ヒメとの苦い思い出。
きっと今頃あいつはゴツい顔して、女番長でもしてるんだと思う。
容易に想像出来ることに、我ながら笑ってしまった。
俺はすぐに制服に着替えて、リビングへ向かった。
「あらおはよ、昨日はすぐ寝たみたいね。ノックしても返事なかったから」
リビングへ入ると、キッチンで母が朝ご飯の支度をしているようだった。
「あー、昨日は気付いたら寝てたよ」
「電気付けっ放しで寝た?明るい部屋のまま寝るとと熟睡出来ないみたいよ」
テレビで得た情報だろうか、母はこういうちょっとした健康に繋がるようなネタが好きな人だ。
「はいお待たせー」
母が俺の前に朝ご飯を配膳してくれた。
母はそのままリモコンを手に取り、テレビの電源を入れた。
「続いては占いのコーナーです。、、、本日の絶好調は、、、乙女座です」
「あら、お母さん今日絶好調だって♪何か良い事あるかしらね♪」
「まー、良い事あるんじゃない」
この占いコーナーは当たらないと忠告しようかとも思ったが、喜んでるところに水をさすのは少し可哀想なので、口には出さなかった。
朝ご飯を食べ終わり、支度を済ませてから学校へ向かった。
「おはよー純」
教室へ入るとすぐに真人が声をかけてきた。
軽く手だけを挙げて、その動作を挨拶に替えた。
自分の席に着き、携帯電話を適当にいじり時間を過ごしていると、茜が近くへ寄ってきた。
「今日放課後はパフェだからね♪」
そう言って俺の肩をポンッと叩くと、他の女生徒の元へ行ってしまった。
「それてばホームルームを始めますよ」
担任の大橋が教室へ入ってきた。
そう言うと、まず出席確認を始めた。
その後はテストが近いから頑張れとか、風邪が流行ってるから気をつけろとか、そんな話をしていた。
「それてばホームルームは以上です、それでは、、、、、あっ」
1度話を終わりにした様子だったが、何かを思いだしたような顔をしている。
「そうだ、言い忘れてた。えーとっ、騎士田、進藤、斎藤、以上3名は放課後に数学の補習だそうだ、、、じゃあそれでは」
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「えーーー!!!!」
「ファッ!!!!!」
「、、、あはは、、」