表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

1

、、、、、静かに瞼を開いた。



目の前に少しずつ広がる光景に違和感を覚えた。

、、、、壁、、か?


すぐ目の前には視界を塞ぐように壁があった。しかし、頭の中がまだふわふわとしている俺は、そんな状況からもすぐに身体を動かそうとは思わなかった。


それから数秒が経過しただろうか、少し頭の中がスッキリしてきた時、ふと身体を起こした。そして見慣れた景色に俺は安堵の息を漏らした。


六畳ばかりの部屋、床の一部には雑誌や飲みかけのペットボトルが散らばっている。

クローゼットは半開き、デスクの上にはパソコン、椅子には乱雑に上着がかけられている。紛れもなくここは俺の部屋だ。


そして今、俺のすぐ横にはシングルサイズのベッドがある。

どうやら寝てる間にベッドから落ち、ベッドの側面を向いている状況のまま目を覚ましたらしい。


「はぁぁー」


大きな欠伸と共に、ふと棚の上の置き時計に目を向けると6時40分を指していた。


「よいしょっ」

少し反動をつけ、立ち上がった。

若干痛む右肩と腰を少し気にしつつ、立ち上がった勢いのまま部屋の扉を開け、廊下へと出た。

そして一階の廊下へ続く階段を降りた。


「ちよっと、階段はもっと静かに降りてきてっていつも言ってるでしょ」


リビングへ入ると毎朝聞き慣れたフレーズが飛んできた。


「まだ美沙(みさ)は寝てる時間なの、いつも静かにって言ってるでしょ」


「おはよー母さん」

特に母のセリフに対して返答はせず、無意識な朝の挨拶をしておいた。


リビングには、隣接するキッチンからの香ばしい匂いが拡がっており、急に食欲のスイッチが入った。


(じゅん)、来週からテストなんでしょ?勉強はしてるの?」

母は焼き立てのウィンナーが入ったフライパンを持ってキッチンから出てきた。


「んー、まぁまぁ」


正直俺の頭はまだ音を立てているウィンナーの事でいっぱいになっていたので、適当な言葉で答えた。


「二年生になっての最初のテストは大切なんだからね!も〜」

そんな事を言いながら、フライパンから俺の目の前に置かれた皿に、油を帯びたそいつらを移した。


「いただきまーす!」

配膳されたと同時に俺は食らいついた。

口の中で油が飛び散りかなり熱かったが、

気にせずレタス、パンを続いて口の中に押し込んだ。


あー美味い、幸せだ。


俺は思っている。

高校二年生なんて生き物は、腹が減って飯食って、エロい事でも考えてれば、なんかもう最高に幸せなものなんだと。

周りの奴らを見てればそう感じる。

まあ、もちろん自分も例外ではないけど。



俺はおもむろにテレビのリモコンを手に取り、電源を入れた。


「4月21日の東京の天気は晴れです」

ちょうどニュースの天気予報だった。


晴れか、、まぁ雨じゃなきゃ良いか。


「続いて占いコーナーです。、、今週の絶好調は、、蠍座です!」


俺は11月2生まれ、テレビからの情報によれば今週は絶好調らしい。

占いなんて本気で信じてる訳じゃないけど、なんかこう悪い気分ではない。


今日はなんだか凄くいい日になる気がする!

と妙な自信が出てきた所だった。

そのほんの少しの良い気分は、次の瞬間、母の発した言葉によってそう長続きはしなかった。


「あっ、そういえば姫奈(ひめな)ちゃんがご近所に引越してくるわよ、あんた昔仲良かったわよね?」


ん、、、、、、ひめな?

特にすぐピンとくる名前ではなかった。



ひめな、、、ひめなって?、、、、あっ!!


「ひっ!ひめな!?」

思わず俺は声をあげていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ