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愛したいのに・・・  作者: 安 和
5/7

過去

 僕の小さい頃は一人っ子と言うこともあり、甘やかされてきたと思う。

だからって、すぐに癇癪を起こしたり我がままを強要したりなんてしてなかったと思う。

どちらかと言えば、口数が少ない、おとなしい方で、親から何を期待されていたかも解らず

何でも買い与えられていたから 一人遊びも上手くなった。

 容姿だって、僕だけデブだ。

何でも食べさせてくれたから太っていた。今でも・・・。

パパからは「自分の好きなことが見つかるまで色々なことをしなさい。」

     「おまえの好きなようにしなさい」

ママからは「かおるちゃんは何でもできる子。」

     「かおるちゃんは頭がいいのよ。」

毎日聞かされていた台詞も意味が解らなかった。

運動が苦手だから、勉強だけはと何と無くしてきた。

成績はそこその位置だった。


 ある時、小学2年生位だった僕がクラスの子から「ブタだ」といわれて 

ちょっと悲しくなったことをママに伝えたら、ママは顔を真っ赤にして 

「今から学校に行くわよ!」

と僕の手をグイッと掴み、勢いのまま学校に乗り込み校長先生に向かって

「”ブタ”と言った子の親から謝罪させろ」

と今まで聴いたこと無い言葉でまくし立てた。

初めてみたママの顔。

鬼みたいだった。

それは僕にとって、ちょっと興奮する出来事の一つで楽しかったと覚えている。

学校に行ったことをパパからは『やりすぎだ』と注意されてもなお、

「あなたには、かおるちゃんの傷みなんてわからないでしょ」と憤慨してた。

 そのことがあってからのママは、僕の前では甘ったるい声色なのにパパやクラスの子の親、

近所さんには冷ややかな声色。

まるで僕を護るよう警戒している犬みたいに・・・

 それと同時に僕はクラスから『触らぬ神に祟りなし』とばかりに無視されはじめた。

大好きだった女の子とも話できず、いつも一人。 

何かの係りを決める時も一人だけ余るから、誰もしたくない『生き物係り』や『花の水やり係り』などがまわってきたっけ。

 でも、それでもよかった。

みんなで溜まるのも絡むのも苦手だったから。

それよりも話の出来ない花に独り言をいったり、生き物を見ているほうが楽しかった。

彼らは僕を蔑まないから・・・。

 クラスからの無言イジメは日を追うごとにレベルが上がった。

最初は無視。その次は陰口を僕に聞こえるように。

エスカレートしてきた頃には机の中に金魚の死骸や給食の食べ残しパン。

下駄箱のなかの運動靴がなくなり、ゴミ箱にノートや教科書が捨ててある。

酷いよ・・・

みんなは「あのブタのママは何でも買ってくれるから 無くなっても困らない」とか

「ブタには不必要じゃん」とか色々、悪口を言っていた。

実際、何かを失くせばママが新しい物を買ってくれたから困ることはなかったけど。

その度に学校にきては校長に喚き散らすからクラスでは有名になってしまい、僕は恥ずかしかった。


 小学生の頃からのイジメは そのまま中学生になっても続いた。


 『僕がなにしたって言うんだ・・・』



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