表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

1 いつもの日常

誤字、感想などジャンジャン書き込んでください!

一人一人の意見をぜひ、参考にさせてください(^^;)

 私は十五年間、「恋心」というものを抱いた事がない。

男の子とは、普通に話していれば楽しかったので、それ以上の関係を求めた事がなかったからなのか?

男の子に特別な感情を抱いた事がない。

 なのに、なぜだろう?

あの男の子から目が離せない、いつまでも見続けていたいと願うこの気持ちはなに?

心の奥底から感じた事のない感情が湧き上がってきて、あの男の子が笑うと爆発しそうだ。

これはなんだろう?

神様、教えてください――。





 私は太田おおた沙織さおり。クラスは三年三組。今年で十五歳の受験生だ。今まではテニス部での部活に励んでいたが、もう引退してしまい、今度は勉強に励む時期。

 「沙織~。休み時間くらいお話しようよ? 受験生なのは分かってるけど――」

「悠里は少しくらい焦った方がいいよ。勉強しなさ過ぎ、昨日何時間勉強した?」

「……一時間」

「ほら、受験生にもなって一時間は少ないよ」


 今話しているのは、私の親友の金沢かなざわ悠里ゆうり。同じ三年三組で、同じテニス部だった。テニスは強いくせに勉強にはめっぽう弱い。もっとも、勉強時間が短いからだと思うが。


「沙織ってば、この頃全然かまってくれないよね。寂しいな、前までは部活の話であんなに盛り上がってたのに……。部活を引退すると、こんなに変わっちゃうの?」

「どうしたの、悠里。なんか、急にしんみりしちゃって。だって部活はもう引退しちゃったんだから、高校まではできないんだよ? 話したって、前みたいには楽しめないよ」

「そうかもしれないけどさ、思い出に浸ってみるのもよくない?」


 悠里は本当に焦る事を知らない。テスト三日前までは提出物にも手をつけないほどで、前日に泣きながら私に助けを求めていたな――。これも一つの思い出だな。


「沙織ちゃん~。また悠ちゃんを泣かせてるの?」

「智樹。ってか、またってなによ、またって!」

「だって、沙織ちゃんのイメージはそんなもんだし……」

「イメージで決めるの、やめてもらっていいかな? 腹が立つかな」

「冗談だって、怒らないでよ~」


 こいつは長谷はせ智樹ともき。同じクラスでバスケ部だった。とんだお調子者で、女子にはとてもなれなれしい態度で寄ってくる。こういう男子は本当に苦手だ。でも部活は真剣だったみたいで、部長をやっていた。誰からも頼りにされていた、部活の時だけ。悠里にしょっちゅう絡んでくるので、もしかしたら悠里の事が好きなのかもしれない。女の勘ってやつだ。悠里は、智樹の事気になっている存在らしい。早くこの二人がくっついて、どっかへ行ってくれたら多少気が楽になる。


「沙織。勉強に集中するのは構わないけど、ちょっとは悠里の事も気にしてやれよ」

「健斗? 健斗までそんな事言うの?」

「うん。だって、さっきまでのやり取り見てたら沙織の態度が素っ気なかったから。ま、悠里も沙織の邪魔はしちゃいけないな。集中してる時には」


 なんでちょっと笑ってるの? なにを楽しんでいるのかさっぱり分からない。ちなみに、こいつは松谷まつたに健斗けんと。同じクラスで、陸上部。学校一足が速いので、女子にモテる。さらに、性格がいい上にムードメーカーなので、男子にもモテる。だから、近くに来られると女子の視線が痛いほど感じる。私は、うっとうしくなった栗色の長髪を、紺色のゴムでポニーテールに縛った。同時に、気合も入れた。でないと、この三人に存在を支配されると思ったからだ。

 私達四人は、幼稚園からの幼なじみ。同じ小学校に行き、同じ中学校へ通っている。毎日毎日顔を見合わせるのも、さすがに疲れてくる。私だけかも知れないが。


「沙織? なに、ボーっとしてんの? 大丈夫?」

「大丈夫よ。今日はいい天気だったから、外を見てたの。ありがと、健斗」

「いや、あの二人がいい雰囲気だったから沙織しか話し相手がいない」

「私は忙しいの。他の女子とでも話してくれば?」

「やっぱ冷たいな。勉強の疲れがたまってるんじゃないの?」


 健斗は本当に優しい。ただ、その優しさが時々面倒くさい。私はそんなに冷たいだろうか?

 今日の空は雲一つない快晴。まるで、悩みなんて一つも感じさせない笑顔のようだ。私の心も、あの空のように澄みきっていたらよかったのに……。

 ふと周りを見た。健斗は女子ではなく、男子と話していた。智樹と悠里は盛り上がっていて、とても楽しそうな雰囲気。健斗の言うとおりだ。今あの二人の間に入ってはいけない気がする。


『キーンコーンカーンコーン』


 授業が始まるチャイムだ。皆が、慌てた様子で自分の席に座る。


「おし、数学やるぞー。教科書の……」


 いつもと変わらない授業がまた始まる――。 

このような感じで、更新していきたいと思っています。

どうか、ご声援のほどお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ