06 ◎聖地『ボートレース戸田』へ
【07】 予想屋さんを見に行く
次の日曜日、烏丸千歳係長、金塚年昭主任、吉川美南主事の3人は、ボートレース場に居た。
あの電話を切ったあと、
美南「私、一度ボーレースを見てみたいな」
千歳「私も、見たことがないのよ」
金塚「私もです」
美南「ねぇ、今度の日曜日3人でその予想屋さんを見に行きませんか?」
千歳「そうねぇ、それ、必要かも知れませんね」
金塚「あの穴吹さんの仕事ぶりを拝見しておきたいですね」
美南「行きましょう、行きましょう!」
千歳「金塚さんは今度の日曜日、大丈夫?」
金塚「はい、大丈夫です」
千歳「じゃあ、決まり!」
3人は、戸田公園駅で待ち合わせをした。
千歳「駅から、ボートレース場まで無料バスが出ているのね」
美南「無料は魅力的ね。市役所行きも無料にして欲しいわ」
千歳「ほんと。ふふふふふ」
バスが動き出し、5分もするとボートレース戸田に着いた。
美南「うわーっ、きれい!」
バスを降り、ボートレース場が近づくにつれて、美南は、その景色とスタンドのきれいさにびっくりした。
金塚「吊り橋に『戸田公園大橋』って書いてありますね。これを渡ればスタンドですね」
千歳「もう、ここからボートのエンジン音が聞こえるのね」
金塚「迫力ありますね」
千歳「ええ」
3人は、入場料百円を払いスタンドに入った。5階建てのスタンドで雨風をしのぐことも出来る。目的の予想屋「六さん」は1階にあった。
金塚「あった、あった。あそこだ」
予想屋「六さん」の前に大勢のファンが集まっていた。
美南「あのおじさん、2~3人とか言ってたけれど、2~3人なんてもんじゃないですね」
金塚「あのおじさん、ずいぶん控えめに言ったもんだなぁ」
千歳「大勢のお客様から、ずいぶん好かれているんですね」
何軒もの予想屋が、ある程度の距離を置いて並んでいた。予想屋を囲む客が多い所もあれば、少ない所もある。
一軒の予想屋は、畳一畳ほどのお立ち台を持ち、そのお立ち台には、簡単なテーブル板が付いている。また、予想屋の立つ背中側には、小さな掲示板とホワイトボードが設置されており、集まったファンに対し、予想屋はそこに立ち、これから行われるレースの展開を説明する。
美南「初めて見ましたが、面白い光景ですね」
千歳「こんな商売もあるのねぇ」
金塚「初めて見ました。立っているのが予想屋さんで、横に居るのが助手の方みたいですね」
美南「そうか、お客さんから百円をもらって、予想を書いた小さな紙きれをお客さんに渡すのね」
金塚「そうなんだ」
千歳「それにしても、すごい人気ね」
美南「予想の紙切れが、どんどん売れるわ」
金塚「すごいですね。手際が良いですね」
美南「あのおじさん、余命宣告を受けているとは思えないほど頑張ってるわ」
千歳「それに、しゃべりっぱなしね」
金塚「見ていたら、六さんの言う通り、『六さんの予想を待っている人』があんなに、たくさん居るんですね。いやぁー、驚きました』
千歳「確かに、あれでは入院していられないわ」
金塚「あのお立ち台で死ねたら本望なんでしょうね」




