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女子ボートレーサー と市役所職員  作者: 池井 けい
第4章 予想屋、穴吹六郎
36/40

06 ◎聖地『ボートレース戸田』へ

【07】 予想屋さんを見に行く


 次の日曜日、烏丸千歳係長、金塚年昭主任、吉川美南主事の3人は、ボートレース場に居た。

 あの電話を切ったあと、

美南「私、一度ボーレースを見てみたいな」

千歳「私も、見たことがないのよ」

金塚「私もです」

美南「ねぇ、今度の日曜日3人でその予想屋さんを見に行きませんか?」

千歳「そうねぇ、それ、必要かも知れませんね」

金塚「あの穴吹さんの仕事ぶりを拝見しておきたいですね」

美南「行きましょう、行きましょう!」

千歳「金塚さんは今度の日曜日、大丈夫?」

金塚「はい、大丈夫です」

千歳「じゃあ、決まり!」


 3人は、戸田公園駅で待ち合わせをした。

千歳「駅から、ボートレース場まで無料バスが出ているのね」

美南「無料は魅力的ね。市役所行きも無料にして欲しいわ」

千歳「ほんと。ふふふふふ」

 バスが動き出し、5分もするとボートレース戸田に着いた。

美南「うわーっ、きれい!」

 バスを降り、ボートレース場が近づくにつれて、美南は、その景色とスタンドのきれいさにびっくりした。

金塚「吊り橋に『戸田公園大橋』って書いてありますね。これを渡ればスタンドですね」

千歳「もう、ここからボートのエンジン音が聞こえるのね」

金塚「迫力ありますね」

千歳「ええ」


 3人は、入場料百円を払いスタンドに入った。5階建てのスタンドで雨風をしのぐことも出来る。目的の予想屋「六さん」は1階にあった。

金塚「あった、あった。あそこだ」

 予想屋「六さん」の前に大勢のファンが集まっていた。

美南「あのおじさん、2~3人とか言ってたけれど、2~3人なんてもんじゃないですね」

金塚「あのおじさん、ずいぶん控えめに言ったもんだなぁ」

千歳「大勢のお客様から、ずいぶん好かれているんですね」

 何軒もの予想屋が、ある程度の距離を置いて並んでいた。予想屋を囲む客が多い所もあれば、少ない所もある。


 一軒の予想屋は、畳一畳ほどのお立ち台を持ち、そのお立ち台には、簡単なテーブル板が付いている。また、予想屋の立つ背中側には、小さな掲示板とホワイトボードが設置されており、集まったファンに対し、予想屋はそこに立ち、これから行われるレースの展開を説明する。

美南「初めて見ましたが、面白い光景ですね」

千歳「こんな商売もあるのねぇ」

金塚「初めて見ました。立っているのが予想屋さんで、横に居るのが助手の方みたいですね」

美南「そうか、お客さんから百円をもらって、予想を書いた小さな紙きれをお客さんに渡すのね」

金塚「そうなんだ」

千歳「それにしても、すごい人気ね」

美南「予想の紙切れが、どんどん売れるわ」

金塚「すごいですね。手際が良いですね」

美南「あのおじさん、余命宣告を受けているとは思えないほど頑張ってるわ」

千歳「それに、しゃべりっぱなしね」

金塚「見ていたら、六さんの言う通り、『六さんの予想を待っている人』があんなに、たくさん居るんですね。いやぁー、驚きました』

千歳「確かに、あれでは入院していられないわ」

金塚「あのお立ち台で死ねたら本望なんでしょうね」

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