第12章: 「マヤとザラはどこ?」
さて、マヤとザラを説得して邸宅の除霊を手伝ってもらう必要があった。しかし、パーティを組んだ時の慌ただしさの中で、連絡方法を決めていなかったことに気づいた。
ため息をつく。
まあ、少なくともザラならどこにいるか見当がつく。
ルミス中心部のいくつかの菓子店を回り、赤髪の少女を探した。五件目の店の窓越しに、彼女を見つけた――テーブルに座ってチョコレートケーキを貪るザラだった。
店内に入ると、甘い香りが包み込んできた。ザラのような真面目な少女がこんな場所を好むとは意外だった。
テーブルに近づいた。ケーキに集中していたザラは、私が真正面に立つまで気づかなかった。
「ザラ?」
「ッヒク! レ、レン!」ケーキを喉に詰まらせた。
激しく咳き込み、やっと飲み込んだ。頬が真っ赤になっている。
「大丈夫? 驚かせるつもりはなかったんだ」
「平気よ。ここで何してるの?」髪を整えながら聞いてきた。
「座っていい? 手伝ってほしいことがあるんだ」
「どうぞ」
紅茶を注文し、状況を説明する間、ザラはケーキを小口にかじりながら聞いていた。
「家を買ったんだ… というか、邸宅なんだけど。ちょっとした問題があってね。幽霊が住み着いてるらしい」
「幽霊屋敷を買ったの?」フォークを止めて聞き返した。
「そう言われると… 確かにバカみたいだな。でもすごく安かったんだ! 庭も広いし」
ザラはクスクス笑った。
「あなたらしいわ、レン。でも… 除霊師を雇わなかったの?」
「それって実際できるの? まあ選択肢としてはあるけど、信頼できる仲間に頼みたかったんだ」
「信頼できる仲間」と呼ばれ、ザラは少し頬を染めた。
「わかったわ。手伝う… その代わり、後でケーキをおごってね」
「約束だ」
詳細についてしばらく話した。
「あとはマヤを見つけるだけだ。どこにいるか心当たりある?」
ザラは天井を見上げ、考え込んだ。
「あの戦闘バカなら、公共訓練場にいるに決まってるわ」
それを聞いて思い出した。ギルド近くの広い中庭で、冒険者たちが無料で訓練できる場所だ。
「そうだな! 行こう」
訓練場は剣士や魔導士で賑わっていたが、一角に人だかりができていた。
近づくと、いつもの鎧を脱いだマヤの姿があった。フィットしたトップスとトレーニングパンツ姿で、汗にまぶれた肌が太陽に輝きながら、強化わら人形に連続パンチとキックを浴びせていた。
周囲の囁きが聞こえてくる:
「『琥珀の炎』だ! 剣に炎を灯せるらしいぞ」
「動きを見ろ… 岩も一撃で砕けるんじゃないか?」
私は呆然とした。普段の粗暴な態度とは違う、優雅で圧倒的な力――マヤの動きは魅惑的だった。
最後の回転蹴りでわら人形は粉々に飛び散り、観衆から拍手が沸いた。マヤは息を切らせながら腕で額の汗を拭うと… 私たちに気づいた。
「レ、レン?! ザ、ザラ?! なんでここに?!」 自分の足につまずきながら叫んだ。
人形の残骸と私たちを交互に見ながら、顔を赤くしていた。
「話があるんだ。手伝ってほしいことがあって」
「手、手伝い? わかったわ… でもまず着替えて汗を拭かせて」