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世界2周目、君はモブ。  作者: 有在ありおり
第1章
8/44

今日こそは、平和でありますように。

『もうええわ! ありがとうございましたー』


不思議なことを言ったアナウンサーの画面は掻き消え、元のお笑い番組に戻った。そう思っていたんだけれども。


『ということでね、僕らが夢を追う時間もあと四時間です。視聴者の皆さん、今までありがとうございました』

『お前何言うてんの?』

『お前ともコンビ解散かぁ。せいせいするわ。前田、今まであんがとな』

『お、おう』


ぎくしゃくし始めるお笑いコンビ。何事もなかったかのように、次の漫才が始まった。そういえばこれ、生放送なんだっけ?


「さっき映ったのって、青桐(あおぎり)さんよね」


母さんが呟いた。そう、さっき、選別とか言っていたアナウンサーは、毎年好感度ランキングを取り続けている強者。さわやかな笑顔と、何事にも動じないプロの力量を併せ持つ、テレビ局の名物アナウンサーだ。


お笑いコンビは、最近脂が乗ってきたコンビで、解散とか、間違っても口にすることじゃない。


「一体何なんだろうな」

「何なんでしょうね〜」


相変わらず、唐揚げをぱくぱく食べる天使。彼女と、珍しく難しそうな顔をする兄貴だけが異質だった。

 

 


「佳太さん、何見てるんですか?」

「さっきのテレビ。ネットニュースになってないかなと思って」 


スマホをスクロール。特にそんなことは書いてないが、俺と同じ、番組を見ていた視聴者のつぶやきは見つけた。


『推しを見てたら変なニュース挟まれたんだけど』


添付された動画は、アイドルがクイズに答えようとしたところ、例のニュースに切り替わる場面だった。あれ、おかしいな。俺の時はお笑い番組だったのに。


『青桐アナって 違う局のアナ・・・』

『俺もこれ見た。ただし違う番組で』

『はじまったか…(訳知り顔)』


どうやら、キー局全てであのニュースが放送されたらしい。中にはさっきのお笑い番組を見てた人もいて、#前田今まであんがとなをトレンド入りさせようとしていた。


「電波ジャックとかかな?」

「またこの人達ですか……はぁ……」


俺の肩越しに画面を覗き込むメイネは、うんざりしたように溜め息を吐いた。


「この人達?」

「はい。失礼します」


そう言って、メイネはスマホをとんとんっとタッチして、とあるワードを検索した。某国の、何やら難しそうな機関の名前。


『……実験中に事故ったらしい。日本への影響もあるとか』

『人体実験などやらなければよかったのに』

『被検体逃すとかさぁ』


「これ、私です」


被検体の部分を指差して、メイネは言った。


「私、逃げてきたんです」




鳥が鳴いていた。


とりあえず、俺はよく寝た。


「昨日は本当にいろいろあった……」


東堂さんの彼氏になったり、メイネが居候になったり、植物に殺されかけたり。まだまだ考えることはあるけれど。


「今日こそは、平和でありますように」


祈りながら、部屋のカーテンを開ける。俺の部屋は2階だから、朝の光を浴びるのにはもってこいだ。


「……」


俺は、無言でカーテンを閉めた。カーテンの向こうでは、聞き慣れた声が何やら喚いている。


再び、カーテンを開けた。窓の向こうにいるのは間違いない、西村だ。隣の席の西村君だ。


空中に浮いてるけど。




「いやあ、びっくりしたぜ。朝起きたら、こんなんなってるんだもんな〜」


ケラケラと笑う西村は、「お邪魔します」と言って、俺の部屋に入ってきた。しっかり靴を脱いでいる。


あぐらをかいた西村は、「で」と目を輝かせながら言ってきた。


「お前、何の異能が宿ったんだ?」

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