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世界2周目、君はモブ。  作者: 有在ありおり
第4章
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わかるわよね? タイミング

「めが、じゃねえ佳太君!? どうして人質になってるのかな!?」


効果は抜群だった。フード男に人質にされている俺を見て、男は見るからに動揺していた。


ちょうど、兄貴と同じくらいの年だろうか。茶髪で、ピアスとかしてる普通の大学生って感じだ。


だけど、この人は、箱根さんに危害を加えようとしていた。


「……喋ったのか?」

「まさか。喋ったら、交渉にならないでしょう」

「そりゃあそうか。喋ったら、ぜーんぶお仕舞いになるもんな」


男と、フード男しかわからない会話。フード男の手は震えている。


「おい、佳太君。君、わざと捕まってるな?」

「……」


何と答えていいか、俺はわからなかった。男は、がしがしと髪を掻いて。空を、指差した。


「女神がいるから、君は人質になりようがない。だから、それは君の意志だ」


俺は、目を見開いてしまった。メイネを、認識している。


「あんた、二階堂の手下か?」

「はぁ? あんなニセモノと一緒にしないでくれるかな!? あんな、模倣するしか能が無い女と一緒くたにされるなんて、不快がすぎる」 


男の顔は、凄絶に歪んでいた。ということは、第三勢力?


「おい、包丁男。お前、馬鹿なのか? お前一人がこっちに来れば、ぜーんぶ穏便に収まったってのによぉ。ここまで騒ぎを大きくして、そこまでして、こんなガキを助けたいのか? あ、もしかして、ロリコ」

「あ」


首に回っていた腕がなくなって、俺は声を上げた。フード男が、男に殴りかかっていた。 


「燈さんを、馬鹿にするな。逆に聞きますけど、あんな下手な勧誘でよくも私を誘えると思いましたね? まだ、鏡子様の方がお上手でしたよ」

「はぁ!? お前、教主様ディスってんじゃねえぞ! あ、しまった」


殴り合いするフード男と、男……名前がわからないから、柄の悪い方にしとこう。


「教主様……?」 


やっぱり、二階堂のことじゃないか。


そう思うけど、一緒くたにされるなんて、とか、ニセモノとか言っていたから、つまり?


「ああ、そういうこと」


悪い笑みを浮かべた箱根さんが、俺の隣で呟いた。


「どういうこと?」

「それは、アンタには教えない」

「えぇ」


勝手に納得した箱根さんは、「おいで」と言って、フード男の前に、植物を生やす。


「あっ、てめっ!?」

「要は、あんたに異能で攻撃しなきゃいいんでしょ? ……わかるわよね? タイミング」

「ええ、ありがとうございます。燈さん」


柄の悪い男が攻撃するたびに、二人の間には植物の壁ができて。タイミングを掴めない男の拳が空ぶるのに対して、フード男の拳は、正確に男の顔を捉えていた。


箱根さんと、フード男の息はぴったりだった。




「教えてもらいましょうか。貴方の名前を」 


柄の悪い男の腕を捻りながら、フード男が低い声で言う。


「貴方の異能は規格外です。あちらの世界でも、最後まで生き残ったに違いない」

「お前の“ブック”で俺の名前を調べる気だな? だが残念だったな、俺の名前を調べたところで、前の世界では呆気なく死んでんだよ!」


成り行きを見守っていた箱根さんが、俺に向かって、「しー」と唇に人差し指をあてて。


そろそろと、地面から細長い植物を生やした。


「じゃあ名乗ればいいじゃ無いですか」

「個人情報渡す奴がどこにいんだよばーか! ちょ、くすぐった、あ!?」

「はい、個人情報ゲットー。大学生って言ってたわよね?」


男の尻ポケット。そこにあった財布を持ちながら、箱根さんはにやりと笑った。うん、さっきの泣きそうな顔よりも、その方が良い。


箱根さんは、躊躇いもなく、柄の悪い男の財布を物色していく。


「あった、学生証!」


嬉しそうに言った箱根さんは、俺にも、それを見せてくれた。そして俺は、固まった。


柄の悪い男の名前は、戸積 由季(よしき)というらしい。いや、それは良い。


問題は。


「これ、兄貴が通ってる大学だ……」

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