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世界2周目、君はモブ。  作者: 有在ありおり
第4章
37/44

前世がちょっとはみ出てる

大人の男と小学生。 


どっちが速いかなんて、歴然としている。


「はぁっ、はっ、おいでっ」 


走ってる間に、“異能”を使って、植物を召喚する。だけど、私が召喚した植物たちは、白永墨斗がそうしたように、粉々に踏み潰されてしまう。


「なんなのよっ、あんたっ」

「なにって、ホンモノだけど?」


私を追う男は、よくわからないことを言った。私と、男の間は、ぐんぐん縮まっていく。


私は、周りを見回した。人っ子一人いない場所だ。それで良い。


ーーこの男がどうして私を狙うかはわからないけどっ、私の“異能”が生かせるのは、人がいないところ!! それから、たぶん、


「もう追いかけっこはおしまいにしようぜお嬢ちゃん。なに、殺しゃしないからさ、大人しく、お兄さんについてくれば良いんだよ?」

「私からしたらあんたなんてお兄さんじゃなくておじさんよ! なに若作りしてんのよ!」

「このガキっ、華の大学生に向かって……! あーもう、教主様のことなんて知らねえぶん殴ってやる」


ーー教主様、ってことは、この男は、鏡子様の差し金? でも、こんなやつ見たことない。


私たちが抜けてから、新加入したのかもしれない。


ーー鏡子様、怒ってるだろうな。


白永佳太に加担して、鏡子様に反逆したことを。せっかく拾ってもらったのに、恩を仇で返したようなものだ。


「でも、捕まるわけには行かないのよ! おいでッ!!」


何か、大きな戦いがあったのだろう焼け跡。地面に手をついて、私は植物を召喚する。


アスファルトでやった時とは比べ物にならない量の植物が、男を襲う。男は、余裕そうに口笛を吹いた。


「へぇ、物量」


私はその結果を見ない。私だって、“神待つ者たち”の一員だったんだ。実力の差がわからないほど、馬鹿じゃない。


これは、時間稼ぎだ。 


ーー何のための?


心の声が、そうやって囁いた。


ーー朝、起きたら、あいつはいなかった。多分私を見捨てて、白永墨斗のところに行ったんだ。


私はまた、見捨てられたんだ。こうやって逃げていて、何になるんだろう。


『燈さん』


私を呼ぶ声は、もう聞けないのに。


「あっ」


足がもつれて、派手に転ぶ。逃げなきゃ、でも立ち上がる気が湧かない。立ち上がって何になるの。


「よーやく、ぶん殴られる気になったかい?」


拳を握った男が、大股で近付いてくる。鳥籠みたいに男を覆っていた植物は、やっぱり、細切れにされて地面に落ちていた。この男は、強い。


「大丈夫、俺は殴ることに関しては能力を使えねえ。腹に一発入れて、連れてくだけだからさ」


男が拳を振りかぶる。私は目を瞑って。


「ーー燈さんから離れて」


声を、聞いた。




「うわっ、やばっ、どうしよう」


私から離れた男の顔色は、見るからに悪かった。


私は、目に涙を溜めながら、男と同じように、声の聞こえた方を見た。


「あんた、どうして……」


その続きは、「どうして戻ってきたの」だったけれど。なるほど、これは。


「どうしてそんなことしてるの?」

「諸事情がありまして」

「助けてくださーい!」


包丁を突きつけられている白永佳太の演技は、ちょっと下手だった。






「佳太さんの馬鹿ぁ、前世がちょっとはみ出てるぅ」


メイネは、恨みごとを言いながら、空からその成り行きを見守っていた。


家に入ってきて、佳太を人質に取ったフード男は、誰に対しての人質かという質問には答えずに、一言。 


『燈さんを、助けてください』


と、言ったのだ。それが、今世でもじゅうぶんお人好しな佳太に火をつけた。フード男に包丁をつきつけられたまま、こうして、箱根燈のところまでやってきてしまったのだ。


「それにしても、あの人、誰なんでしょう」


メイネは、手で双眼鏡を作って棒立ちになっている男を見下ろした。


「“物理攻撃の無効化”。強力な能力者には違いありませんが……あんな人、前の世界にいたかなぁ?」

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