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世界2周目、君はモブ。  作者: 有在ありおり
第4章
36/44

これが、一番手応えがありそうなので

しれっと4章です

現在、世界各地で横行する、異能力による痛ましい事故・事件。日本も例外ではなく、書類上で数えきれないほどの人間が死んでいる。


そんな状況を鑑みて、文部科学省および、警察庁刑事局異能力対策課が打ち出したのが、子供たちの異能力検査である。タガの外れた大人たちではなく、学校という枠にある、比較的統制のしやすい子供たちから“管理”していこうという考えだ。


“管理”というのは、苦渋の決断である。


文部科学省の中には、人権の観点から、検査をするべきではないとする意見もあった。なぜなら、人格にかかわらず、強力な異能を持つ生徒は、危険視をされてしまうからだ。異能力検査は、学力検査や、スポーツ能力の検査ではない。


どんなに建前で着飾ったところで、危険人物の特定という面は拭いきれない。


能力によっては、言論や職業選択、信教の自由も脅かされてしまうかもしれない、と。


「だけど、それをする意味はある」


三枝に手渡された資料を手にして、白永墨斗は微笑んだ。


「青田買いってヤツだね。この中で、有望な人材に声をかける。そうして、駒へと仕立て上げるんだ」

「有望な人材が、お前になびくとは限らないだろ」

「その場合は、家族やそれに等しい人間を人質にとるか、もしくは、諦めるかだね」


こともなげに、墨斗はそう言い放つ。諦める。その響きに、不気味なものを感じる三枝。


「じゃあ、あんたの弟も諦めると?」

「あの子だけは諦めないし、あの子が俺についてこないはずがない。貴方も、それはわかっているはずだ」


愚問を投げかけてしまったと、三枝は思った。だが、ひとつ。彼には、疑問があった。


「なあ、あんたは、弟と喧嘩したことがあるか?」

「は?」


何を言っているんだと言わんばかりの墨斗。


「俺はあるぜ。しょっちゅうあった。俺が弟のゲームをとっちまった時とか、俺が弟のおやつを食っちまった時とか」

「全部、貴方のせいでは?」


墨斗は半眼で、三枝を見つめている。三枝は、髪を掻いた。


……途中で方向転換してしまったが、それは、正解だと思った。


白永墨斗は、三枝と同じ、弟を愛するものだと言うけれど、三枝は違うと思う。そりゃあ、兄弟の関係というのは十人十色、二十人二十色? あると思うが。


ーーあのド下手な勧誘。あれは、こいつの思う兄弟像を押しつけただけだ。


弟を喪った人間に、弟の遺志を継げと言う。なるほど、一見理にかなっているが。


ーーそれは、第三者が言うことじゃない。


白永墨斗は、“自分の物語”を信じている。弟を殺された兄は、必ず復讐をするのだと。だから、第三者でありながら、三枝に接触してきた。 


認知のズレ、だ。


極度のブラコン。こうあるべきという兄弟像。


それがあるからこそ、白永墨斗は、三枝に接触した。


ーーまあ勿論、こいつの弟が、超性格良くて非の打ち所がない完璧超人だって可能性もあるが。


「何を考えてるんですか?」

「うんにゃ。なあ、教主様。今度、あんたの家に行っていいか?」

「は? ダメですけど」






ぴんぽんぴんぽんぴんぽん。


「はいはいはーい」


インターフォンを連打されて、俺はカメラを覗き込んだ。学校から帰ってきて、すぐのことだ。


「って、あ、貴方は」

「フード男さんですねぇ」


メイネの言う通り。フード男は、ぺこりと画面の中でお辞儀をした。その隣に、箱根さんは、いない。


「一体どうしたんですか? 箱根さんは?」


フード男の返事はない。


とりあえず、俺は玄関を開けて、フード男を招き入れる。と、次の瞬間。 


「貴方、どういうつもりですか?」


メイネの低い声が聞こえて。ひんやりとした感触が、俺の首元にあたった。フード男は、平坦な声で言う。


「これが、一番手応えがありそうなので……申し訳ありませんが、人質になってください」

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