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世界2周目、君はモブ。  作者: 有在ありおり
第3章
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せっかく作ったのに、壊すなよ

「辿り着くも何も、お前が殺したんだろうが」


鎌掛けだと思った。だから俺は、そうやって答えたのだが、二階堂は「そうじゃなくて」と目を細めた。


「本物の中田原総理は、君のところに辿り着けたかって訊いてるの」


ーー違う。


二階堂は、中田原総理の異能を知った上で、もっと言えば、あの国会議事堂で何があったか知った上で訊いているのだ。


「お前、何がしたいんだ?」


俺の頭の中では、とある仮説が浮かんでいた。


「どうして、総理に手紙を送った?」


もしかして、俺を嵌めるためか? 俺の家で、改めて中田原総理を殺し、メイネを手に入れようとしているのかもしれな、


「好感度稼ぎのために決まってるでしょ」


俺の思考は、突然プツリと断ち切られた。右隣の東堂さんが、よくわからないことを言ったからだ。


「どっちが急拵えなんだか。結局貴方も、嫌われたくないだけじゃない。くっだらない」

「くだらなくない、私にとって、命より大事なことだから」


屋上の柵の上で頬杖をつき、呆れたように言う東堂さんに、二階堂が冷たい声で反論した。すぐにまた、軽い口調になる。


「その女が言った通り。別に、君を嵌めようとはしてないよ。好感度云々はよくわからないけど、恩を売っておきたかったのは本当かな。そこの女神を自由自在に操れるのは、佳太君しかいないからね」


やっぱり、二階堂は、メイネを諦めていない。俺に向かって、手を差し出す。


「ね、佳太君。“神待つ者たち”に、入らない?」






「フラれちゃった」


“神待つ者たち”の拠点に帰った鏡子は、待っていた青桐に、何の感情もなくそう言った。少なくとも、青桐の耳にはそう聞こえた。


「女神の制御装置は、手に入れておきたかったんだけどなぁ。彼以外に女神を操れる存在なんて、前の世界に居たかなぁ。居なかった気がするなぁ」

「そもそも、白永佳太君は、前の世界で、どのような役割をされていたのですか?」


教主様の行動は謎だらけだ。白永佳太に嫌われることをするくせに、自分から近づいていく。

それ以上に謎なのは、今や日本の頂点となった彼女に、こんなにも目をかけられている少年である。


ごく普通の少年だったと思う。それこそ、女神を連れている以外は。


「んー……」


鏡子は、たっぷりと悩んでいた。何かを言おうとしてはやめ、また口を開き。ようやく紡ぎ出された言葉は。


「同志」

「と、いうと」

「うん。佳太君はね、“神待つ者たち”の、メンバーだったんだよ。メンバーっていうか、幹部?」

「なるほど、それならば、引き入れたくなる理由も納得できます」

「そうでしょそうでしょ。やっぱり、過去のメンバーは引き入れておかなきゃいけないって、思うよね」


妙に前のめりな鏡子に、青桐は苦笑しつつ。 


ーーそれならば。


今は行方知れずの、赤髪の少女の言葉を思い浮かべる。


ーー植物を無効化し、“ブック”を破る彼のお兄さんは、前の世界で、どんな役割をしていたのだろう。






「教主様」

「ああ、思った通り、“転校”してきたな。これは俺への牽制ってところか」

「やはり、女神の制御装置を手中に収めるために、でしょうか?」

「だろうな」  


大学構内。墨斗は、隣を歩く男と小さな声で会話していた。


「でしたら早急に、女神の制御装置を手に入れるべきです。せっかく、血のつながりというものがあるのに……ですが所詮は血のつながりです。白永家の人間を、女神の制御装置以外殺すことも考えーー」

「おい」 


墨斗は、ぴたりと足を止めた。男も足を止める。


「せっかく作ったのに、壊すなよ……あと、その呼び方をやめろ。女神の制御装置じゃない、あの子は、俺の弟の白永佳太だ。返事」

「はい、申し訳、ありません……」


謝罪を聞いた墨斗は、歩き出した。


「……さっ、行こうか戸積(とづみ)君、次の講義に遅れちゃうよ」

「そ、そうだな白永。早く行かねえと、良い席がとれなくなっちまう……」

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