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世界2周目、君はモブ。  作者: 有在ありおり
第3章
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確かに私は悪役だけど、普通の女の子でもあるからね。

「よ、よーし、じゃあ二階堂の席は」

「先生」

「な、なんでしょうか」

「私、白永君の隣が良いです」

「て、いっても、席がないですけど」


二階堂鏡子の言葉に、九条先生はびくびくしつつ反論した。二階堂は、くすりと笑う。


「ありますよ。ねえ、君?」


ばんっ!


つかつかと歩いてきた二階堂は、俺の隣の席の西村の机を叩いた。西村は、反動で異能を発揮したようで、椅子から少し浮いた。


「ここ、空いてるよね?」

「ひゃ、ひゃい……」


ついでに涙も浮いていた。西村が浮かすことができるのは、肉体だけではないらしい。




「怖かった、まじでめちゃくちゃ怖かった」


微妙に五七五調になって、別の席に移動した西村は、休み時間、俺の近くに来た。隣の席の二階堂は、そんな西村の声など聞こえないかのように、「次は数学だね」と俺に話しかけてくる。話しかけてくるな。


「お前、どういうつもりだ」

「あれ、私との関係、話しちゃって良いの?」


悪戯っぽく笑う二階堂に、俺は口を噤んだ。確かに、国会議事堂であれだけのことをやって、今や日本の支配者である彼女と知り合いだとは思われたくない。だが、


「お前が、白永君の隣が良いですって言ったんだろうが」


わざわざ知り合いということを示唆しやがって。


「お前、ね。君って呼んでくれない? もしくは、鏡子」

「そんなに親しくないだろ、俺たちは」 

「むぅ」


二階堂は、頬を膨らませた。


「こっちの佳太君は、ガードが固いなぁ」とか、なんとか言っている。前の世界の俺、ちょろすぎだろ。と、思っていたら、俺と二階堂の間に壁ができた。さらりと黒髪が揺れる。 


「本当に、いったいどういうつもり? これ以上、佳太君に関わらないでくれない?」


たいへん不機嫌そうな声でそう言ったのは、東堂さんである。


「悪役は悪役らしく、お高いところで引きこもってて」

「確かに私は悪役だけど、普通の女の子でもあるからね。学生生活だって、楽しむ権利があるはずよ」

「どの口が……!」

「と、東堂さん落ち着いて」

「光希」

「え」

「光希って、呼んで」


拗ねたような東堂さんは可愛い。東堂さんと二階堂のやりとりは、いつのまにか教室中の注目の的になっていたらしく、ざわめきが聞こえた。


ーーまずい。


たぶん、何かがまずい。西村を見ると、真顔になっている。それはそうだ、あのクールビューティ東堂光希が、「光希って呼んで」とか言っているのだから。


「ああ、もうっ!」


俺は、二人の手を引いた。


「悪い西村、俺、次の授業休むわっ」

 



「授業サボっちゃったね。いーけないんだ」

「誰のせいだと思ってるんだよ」


妙に楽しそうな二階堂は、屋上から見える景色を見下ろしながら、隣に立っている俺の頬をつついた。


「佳太君、どうしてその女の隣に立ってるの?」


現在、二階堂、俺、東堂さんの順で並んでいるのだが、その理由はなんてことはない。この二人、さっきから、制服のポケットに手を入れており、何かする気満々だからだ。


「メイネ、止めてくれ」


ついてきたメイネを見ると、ふよふよと浮きながら、何かを考えているようだった。


「別に、良いんじゃないですか?」

「へ?」

「この学校にいる限り、そちらの二階堂さんは、悪さをしないでしょうし。わざわざ監視されにきてくれたようなものです」

「またお前を攫うかもしれないんだぞ」

「こんな回りくどい手を使わなくても、私は女神をさらえるよ」


馬鹿にしたように笑う二階堂。でも、その笑顔は楽しそうで。俺は、彼女のことがよくわからなかった。


二階堂の髪を、5月の風がさらっていく。


「ところで、佳太君」

「何だよ」

「中田原総理は、ちゃんと君のところに辿り着けた?」

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