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世界2周目、君はモブ。  作者: 有在ありおり
第2章
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恋人よりも

瞬間、見えたのは、羽を焦がしたメイネと、たぶん、俺の姿。


俺は、何かをメイネに言って、メイネは、ふるふると首を横に振った。それにも構わず、俺の姿をした人物は、メイネを抱きしめた。光の柱が上がる。黒く焦げていたメイネの羽が、真っ白に“治って”いく。


『神が無理なら、天使になれば良いよ』


それだけが聞こえた。











「……はっ!?」


なんだか、短い夢を見ていた気がする。


「佳太さんっ」


メイネの声が聞こえて、体に衝撃が走る。強く抱きしめられてふらつくが、東堂さんが俺を抱き止めてくれた。


「な、何があったの……」


箱根さんの呟きが聞こえた。箱根さんは、ぺたんと床に座っていた。


「眩しかったですねぇ」


フード男が、フードを引き下げながら言う。眩しかった?


「佳太君の力は、本来強かったから余計にね。さすが、佳太君」

「褒めてくれたところ悪いんだけど……俺もわかんないんだけど。説明してくれる? 東堂さん」

「うーん、どうしよっかなー」


東堂さんは顎に人差し指を当てながらそう言った。


「とりあえず、言えることは、佳太君は、そこの天使に貸してた力を返してもらったってことかな。それで、天使が正気に戻った」

「? じゃ、じゃあ、俺も何か異能力とか使えたり?」

「それは無理」


ご丁寧に、両手でばってんを作られる。俺は消沈した。


「脱・無能力者とは行かないかぁ……」

「天使だけじゃ、ピースが足りないからね。佳太君の力を完全に取り戻すためには、佳太君を“そうあるべく”した人物に会わないと」


そう言って、東堂さんはメイネを見た。


「1人は、二階堂鏡子。もう1人は、貴方にはわかってるんでしょ」

「それが、ですね……」


メイネは、ちょっと困ったような顔をしていた。


「たしかにわかってたはずなんですけど……忘れちゃったみたいです」


てへっ、とメイネは舌を出した。東堂さんが、無言で天地先生のところに歩いて行って、ぼこすか殴る。駒子さんはニコニコそれを見守っている。


「と、東堂さん」

「せっかく、佳太君を“巻き込む”覚悟をしたのに、貴方のせいで、貴方のせいで……っ」


それから、


「こうなったら、もう一度二階堂鏡子に会いに行こっか?」


その目は、マジだった。声のトーンも低かった。


「せ、せっかく助かったんだから、そのままにしておこうよ。ね?」

「佳太君がそう言うなら……」


むぅ、と不満そうな顔で、東堂さんはそう言った。とにもかくにも、東堂さんも、メイネも無事で良かった。こんな無力な俺でも、少しは役に立ったのかもしれない。


「できれば」

「ん?」

「いや、何でもないよ」


力ってやつが、戻ってれば、俺1人だけで助けることもできたのかも。


……誰かを巻き込まずにすんだのかも。











こつ、こつ。


だんだんと、地下の暗闇に溶け込むように。2つの影が、階段を降りていた。


「東堂光希は、貴方に近しい考えを持っているかもしれませんね。恋人という関係を持つことで、“女神の制御装置”を監視するとは」

「まったく忌々しいことにね」


こつこつこつ。1人の足音は、苛立ちを示している。


「で、ですが、貴方の方が一枚上手です。二階堂鏡子に()()()()()を名乗られるのは腹立たしいですが……偽装することで、前回を知っている者の隠れ蓑にもなり、白永佳太に怪しまれない位置にいる。東堂光希と同じくらい、近しい位置にいる……」

「おままごともなかなか楽しいよ。俺は、今の位置を気に入ってるし。でも、東堂光希と同じくらいというのは、聞き捨てならないなぁ」


地下という理由だけではない。その人物によって、ひんやりとした空気が、周囲に漂っていた。



「恋人よりも」



扉に手をかける。酒瓶が、ぎっしりと棚に並んでいる。



「血のつながった兄の方が、よっぽど近しいに決まってるだろう?」

これで2章はおしまい。お読みいただき、ありがとうございます!

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