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世界2周目、君はモブ。  作者: 有在ありおり
第2章
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貴方は、あの人とは違うんだから

『ニッカ』


私を特別な名前で呼ぶ彼が好きだった。


『ニッカは、無理して戦わなくても良いんだよ。あとは、アイツと僕に任せて』


飴玉を転がすような甘い声でもない、こちらとしては少々不本意な、彼特有の平均的な、親愛だけが篭った声だったけれど、それだけでよかった。


『ごめんね』


それだけでよかったから、その声を永遠に失った時、全てがどうでもよくなった。


だから私は、

アイツと一緒に、世界を滅ぼした。











「どういうことか、説明しなさい」


靴音が聞こえた。なんて、いるのはわかっていたのだけれど。


目の前には、赤髪の植物使いと、前の世界の知識を持っているらしいフード男。でも、その知識は完全じゃない。


光希は、こほんと咳をした。口の端から血が流れ出る。あの女、同性だからって、容赦がない。だが、光希は賭けに勝った。こうして、二階堂鏡子がいなくなった後に、少女とフード男を呼び寄せることができた。


「偽物の教主って、どういう意味? 鏡子様は、前の世界でも教主をやってたんじゃないの」

「ん」

「残念だけど、それは私でも切れないわ」


手首を差し出してみるが、赤髪の少女は首を横に振った。嘘をついている様子は無さそうだ。光希は、すっかり赤くなった手首を見つめながら、言った。


「私は、ただの一般人だったから、直接“神待つ者たち”の教主に会ったことはない。だけど、これだけは知ってる。あの世界での“神待つ者たち”の教主は、()()()()()()()()()()()()






「よく来たじゃない、白永佳太」


なぜか、うちの高校の制服を着た二階堂鏡子は、ゆったりと微笑んだ。うちから、ダイヤが乱れに乱れた電車を乗り継いで1時間。なんとか3時までにたどり着いた。


「女神の能力は使わなかったのね。えらいえらい」

「褒めてくれたところ悪いけど、東堂さんは? 無事なんですか?」

「敬語なんて、使わないでよ。私と貴方の仲じゃない」

「俺は貴方のことなんて知らないですけど」

「……それはそうね。失礼したわ」


二階堂鏡子の時間は、一瞬だけ、止まったようだった。けど、それは俺の気のせいだったみたいで、彼女は俺の隣にいるメイネを見た。


「さっさと女神を渡してくれるかしら? そうしたら、貴方の彼女さんとやらを解放してあげる」

「できません。東堂さんを返してください」

「わからず屋なんだから」


二階堂鏡子が、ぱちんと指を鳴ら

「はい、おわり」

す。


気がつけば、俺は地面に倒れていて、メイネは、二階堂鏡子に捕らえられていた。


「メイネ!」

「佳太さんっ……このっ、離してっ」


暴れるメイネを易々と取り押さえて、二階堂鏡子はメイネの羽ごと、縄で縛った。


「私、貴方とは対立したくないのよ。でも、聞いてもらえないんだったら、仕方ないわよね?」

「っ……」


腹が、ずくずくと痛んだ。俺は、片手で腹を押さえて立ち上がった。


「やめときなさい。ひ弱な貴方じゃ、死ぬのがオチよ」

「東堂さんは……」

「そんなもの、口約束に決まってるでしょ」


馬鹿にしたような声。二階堂鏡子は、くすりと笑った。


「女神も、東堂光希も、貴方には必要ない。東堂光希は殺すとして、女神は私たちが有効活用するから安心して」

「がっ!?」


鞭のようにしなる足先が、寸分違わず、痛みのある場所を抉る。俺は、もう一度倒れた。視界が霞む。女の子の蹴りで、やられるなんて。


「だから、何もかも忘れて、貴方はお家に帰りなさい」

「ま、って」

「関わろうとしないで。貴方は主人公じゃなくて、モブでいて。貴方は、あの人とは違うんだから」


不思議な言葉を残して、二階堂鏡子は、メイネと去ってしまった。


「モブなんて」


俺は、地面の草を握りしめた。握る力はあるのに、立ち上がる力はない。


「なんにも、意味がない……」


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