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世界2周目、君はモブ。  作者: 有在ありおり
第2章
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人のために死ぬなんて、正気じゃないもの。

「佳太くん、減点」


高校からの帰り道、久しぶりに登校してきた東堂さんは、昨日の話を聞くなり、そう言った。


「それはそうだよな、東堂さんは、あのフード男に刺されたわけだし……」

「そうじゃなくて、関わるなって言ったのに、関わっちゃったことを減点してるの。まったく、女神がいながら、番犬の役割もできないの?」

「少し気になる事がありまして。そんなに佳太さんが心配なら、白永家に来たらどうですか? 墨斗さんも歓迎してくれると思いますよ?」

「墨斗? 誰それ」


俺の後ろで、言い合いする東堂さんとメイネ。


「俺の兄貴です。2つ上の……」

「佳太くんのお兄さん?」

「ええ、佳太さんの、お兄さんです」

「そんなに復唱する?」


そういえば、メイネは兄貴のことを褒めていたな。タイプなのかもしれない。


「ふぅん、ちょっと興味ある、かも」


いやいやちょっと待て、これってピンチじゃね? 仮にも彼女である東堂さんが、俺より断然イケメンな兄貴に興味を持っている。


「と、東堂さん、兄貴に会ったらダメだ。俺なんて、すぐにポイ捨てされる未来が見える」 

「自己評価低いね、佳太くん。これは減点かなぁ。心配しなくても、私、佳太くんにしか興味ないから。あ、でも、お兄さんには会ってみたいかも?」


東堂さんは、いたずらっぽい笑みを浮かべた。俺は涙目だけど。


「でも、それは別の機会で良いや。佳太くん、私がお兄さんに靡かない為には、加点を重ねる事が必要だよ。“良いことをしない”、関わらない”。この2つを守ってね。絶対、絶対だからね」

「わかった。俺なんて無、げほん、あれだから、そんな無茶なことはしないよ。インターフォンが鳴っても居留守を貫く!」

「その調子その調子」


ぱちぱちと、東堂さんが拍手する。


「でもさ、東堂さん」

「光希って呼んでくれなくなったね。亭主関白っぽくてよかったんだけど?」

「ぐふっ!? 茶化さないでくれ。東堂さんは、どうして俺の彼女になってくれたの?」

「それはね、近くにいて、見極める為だよ」

「見極める為?」

「そう」


東堂さんが、俺の前に躍り出た。


「貴方が、前の白永佳太と違うことを見極める為」


真っ黒な瞳が、俺を覗き込む。


「前の貴方は、どうしようもない自己犠牲の塊だった。だって、私、貴方とは一回しか会っていないんだよ?」

「それって」

「そう。貴方は、初対面の女の子を庇って死んだの。私が貴方の名前を知ったのは、貴方が死んだ後だった」


前世(?)の俺、めちゃくちゃお人好しじゃん。


「家族とか、友達とか、恋人とか? あの世界では、助けられる範囲の人達だけを助けるのが当たり前だった。だけど貴方は違った。見ず知らずの、他人を助けた」

「俺、超すごいじゃん」


同じ人間とは思えない。そんな様子の俺を見て、東堂さんはくすりと笑った。


「今とは大違いだね」

「それって、良いこと? 悪いこと?」

「勿論、良いことだよ」


ふわりと。東堂さんが、俺の体を抱きしめる。人が疎らな通学路。俺は、気が気でなかった。


「人のために死ぬなんて、正気じゃないもの」






「それにしても、素晴らしいですね。前の世界の知識というものは」

「なにが?」


たった1日で、日本を混乱に陥れてしまった二階堂鏡子は、鏡の前でなにやらファッションショーをしていた。といっても、下着姿になるわけでもなく、自分の体に服を当てて、あれこれ考えているだけである。

だから青桐も、ここに控えているわけで。


「失礼な言い方ですがお許しください。貴方のような女性を、このような大規模な集団をまとめ上げ、日本の頂点に立たせてしまう知識が、素晴らしいと言っているんです」

「ああ、そういうこと。まあね、能力さえあれば、古い価値観なんてすぐにひっくり返るし……それにこれ、2度目だし」

「ああ、そうでしたね。貴方は、“神待つ者たち”の教主であらせられましたね」


二階堂鏡子にとって、“女神”のこと以外は、(なら)された道を歩むことに他ならないのだろう。


「……そう、だから、効率良いやり方をわかっているというわけ。()()()()()()()()()()


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