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世界2周目、君はモブ。  作者: 有在ありおり
第2章
15/44

白永さんちに、お宅訪問。

ピンポーン。


世間が物騒な中、インターフォンに出る奴はいないだろう。


俺が無視を決め込んでいると、玄関のドアがどんどん、がんがん叩かれた。


「やっぱり、防犯ドアとかにするべきだよな。あるかはわからないけど」


呟きながら、カメラのある1階に降りる。


青桐アナによると、今頃、ハウスメーカーはてんやわんやらしい。なにせ、家が売れない。売れる家がない。

この超能力社会で、普通の家はまったく役立たないからだ。


唯一売れてるのが核シェルターらしいが……これも、地面系の能力者に会ったら一発でアウト。この社会に、能力以外に、身を守る手段はまだ、開発されていない。


「げ」


な、なんであいつらがここにいるんだ!


カメラを覗き込むと、玄関ポーチには、気の強そうな赤髪の女の子(若干トラウマ)と、不気味なフード男が立っていた。相変わらず包丁をチラ見せしている。


『白永佳太、いるんでしょ!? 出てきなさいよ!! 出てこなきゃこのドア、破壊するわよ!?』

「名前、バレとる……」


思わずつぶやくと、『やっぱり居留守か!』と声が返ってきた。


『もういい、ちょっと、ドアの前から離れてなさいよ。このドア破壊するから』

『ちょっと待ってください』


家が破壊される! と思っていたら、意外にも、フード男が女の子を制止してくれた。


『今、白永墨斗は留守であることを確認していますが……帰ってきたら我々、どんな目に遭うか……』


あれ、おかしいな。兄貴とこの人たち、接点があるのかな。


「ふぅん、なるほどなるほど」


ふよふよと浮遊しているメイネが、顎に手を当てる。出会った時は浮遊していなかったのに、今浮遊しているのは、西村と同じ原理らしい。 


「彼らをお家に入れてあげましょう、佳太さん」

「でも、あの女の子はやばい奴だぞ」


人のことを殺そうときたし。


そう言うと、メイネは瞳を細めた。


「I’m an angel」

「なんでドヤ顔?」

「天使の前には、人間など塵芥。いえ、私も元人間ですが……あのような下位能力者、取るに足りません」

「下位、のうりょくしゃ……」


俺にちょっとしたトラウマを植え付けてきた女の子が、下位能力者? 


「とすると、能力のない俺はゴミ以下……?」

「わーっ!? 佳太さんはすごい人ですよっ!! もうっ、貴方達のせいで、佳太さんがへこんじゃったじゃないですか!」

『そいつ、勝手にへこんだんだけど!? とにかく、女神。あんたにも考えがあるんだったら、家に入れなさい。さっきからご近所さんの目が痛いのよ!』




「端的に言うわ、白永佳太。私達の仲間になりなさい。あんたは貴重な女神持ち。ぼーっとしてるあんたでも、私の役に立てることを誇りに思いなさい、もぐもぐ」

「あかりさん? あかりさん?」

「なによ。ああ、名前を名乗れってこと? 私の名前は、箱根(はこね)(あかり)。箱根の箱根に、燈篭の燈……登る方よ。私のことは、箱根さんと呼びなさい。もぐもぐもぐ……」

「はぁ……」

「それにしても、このこんびにすいーつ? とやら、すっごく美味しいわね」


彼女が食べているのは、母が冷蔵庫にストックしているロールケーキ。フルーツが入っていて、甘さの中に酸っぱさもある一品だ。


「最近のコンビニスイーツは、進化を遂げているらしいですよ。専門店ともコラボすることがあるから、目が離せないんだとか」

「佳太さん? 佳太さん?」

「なんだ? メイネ?」


こうしてみると、普通の女の子に見えるなぁ。 


そうやってほっこりしていると、メイネがとんとん、と俺の肩を叩いてきた。


「勝手にスイーツ出しちゃっていいんですか? 海音(あまね)さんに怒られますよ?」


海音とは、俺の母さんの名前である。


「ふっ、甘いなメイネ。母さんは、布教用にこれを置いてあるんだぜ。お前も初日に食べただろ?」

「たしかに食べましたけど! おいしかったですけど! なんで殺されそうになった相手に、お茶出しするんですか」

「殺されそうになったからこそ、だよ」


つまるところ、これは殺されないための賄賂だ。

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