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世界2周目、君はモブ。  作者: 有在ありおり
第1章
12/44

なかったから、作った。

「だから言ったろうが。東堂さんは無事だって」


呆れたような西村は、学校に帰ってきた俺にそう言った。


「俺が家に行った時、東堂さんは元気に家の外の植物をちぎってる最中だったよ。“これ全部ちぎり終わったら学校行くから”って言ってた」

「そ、そうなのか」 

「まあ彼氏としては? 彼女のことを心配なのはわかるけどさ? このこの」


西村が肘で突いてくる。ニヤニヤ笑って、「で?」と聞いてきた。


「で? って?」

「とぼけんなよ。東堂さんとどこまで行ったか、も聞きたいんだけどさ、その子、なに?」


西村は、俺の隣に立つ(浮遊している)メイネの方に顔を向けた。


「お前が登校してきた時からいたけどさ、やっぱりその子、お前の異能で出てるのか? ていうか、お前の異能ってなに?」

「この子は俺の異能じゃないよ。っていうか、俺の異能はなんなのか、俺が聞きたいくらいなんだけど」

「お前異能もらってないの?」

「うん」

「え、お前、異能ないの?」

「うん」


答えると、西村が、ばっと俺の肩に手をかけてきた。ひそひそ声。


「“声”聞いてないのか?」

「え、うん」


それに合わせて小さく返事をすると、西村は素早く教室中に視線を巡らせた。九条先生がいなくなったクラスは、がやがやと騒がしい。


「まずいな」

「何が?」

「異能がないの、お前だけだぞ。クラスの連中は、皆“声”を聞いて、異能を貰ったって言ってる。ほら、街で皆、自分の異能を使ってるだろ? あれも、自分の異能が何かわかってる上での行動だと思う」

「まじで?」


そう言いながらも、俺はどこか納得していた。たしかに。強盗は自分の能力を高らかに喋ってたし、警察官も同様。俺を転ばそうとした落書きも、能力を自覚した上でなければやろうと思わない。


「朝は流したけどさ、お前、異能がないのはややこしいことになるぞ」

「そう言われても、無いものは無いんだけど」

「だからさ、その子を“異能”ってことにしちゃえよ」


西村が指さしたのは、メイネだった。


「そうすれば、お前が“皆と違う”ってことはバレないからさ。街があんなんなんだ。異能が無いってバレたら、お前は絶好のカモだぞ」


絶好のカモ。


そうかもしれない。あの時は、絶縁性の異能を持つ警察官がいてくれたおかげで助かったけど、もし彼がいなかったらどうなっていたことか。ゾッとする。


「能力はそうだな。“女の子を具現化できる能力”でどうだ?」

「人をどんな変態に仕立て上げてんだお前は」

「じゃあ女の子の前に“理想の”をつけて」

「余計ひどくなってるだろうが……でも、メイネを俺の能力ってことにするのは良いかもしれないな」


そうすれば、メイネと一緒にいても不思議はないし。 


メイネの方を見ると、うんうんと頷いていた。


「よし、決まりだな」






選別は、もう始まっている。


「それで、その兄ってやつがすっごい怖くて! “東堂光希を殺すのは良いけど佳ちゃんは殺さないでね”って言ってくるのよ! あれはブラコンよ! すっごいブラコン!!」

「私のブックも破られそうになりましたし……誰なんですかあの人、すごい怖い」 


青桐の勤めるテレビ局に来て、ぎゃんぎゃん喚く赤髪の少女とフード男。時折頷きながら、労りの言葉をかける青桐。


「それにしても、白永家は大物揃いですね。女神の加護を受けた弟さんに、能力が未知数のお兄さんですか」

「ブラコンのね」


付け足す赤髪の少女。よっぽど印象に残ったらしい。


「どちらかを人質にというのは無理でしょうか?」

「無理ね」

「無理です」 


即答が返ってきて、青桐は苦笑を浮かべた。こっぴどく折られて帰ってきたものである。


「それならば、こうしましょう」

「何か策があるの?」

「はい。名付けて、“お友達作戦”です」


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