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世界2周目、君はモブ。  作者: 有在ありおり
第1章
11/44

加点は良いことなのか、悪いことなのかわからない。

どうやら、東堂さんとメイネは知り合いらしい。


「女神がどうして今の時期に、佳太くんのところにいるのかしら?」

「うぅ〜っ、これには深いわけがありまして〜っ」


メイネが半泣きで、俺の袖を掴む。いたたまれなくなった俺は、メイネを自分の背中に隠した。


「メイネは、俺が赤髪の女の子に襲われているところを助けてくれたんだ」

「襲われた……? どうして?」

「えーっと」


俺は、昨日のことを話した。東堂さんを襲ったと見られるフード男と、赤い髪の女の子に会ったこと。赤い髪の女の子が、植物使いだったこと。


「西村に聞いて、もしかしてって思ったんだ。そりゃ、俺が来たところでどうにもならないかもしれないけど、いてもたってもいられなくなって」

「それで、私のところに来たの?」

「そうだけど」

「はぁ〜……」


東堂さんは、呆れているようだった。半眼になり、俺のことをびしりと指さす。


「佳太くん、減点」

「え」

「だから、減点。まあいっか、せっかく来てくれたんだし。お茶でも出そっか」


くるりと俺に背を向けた東堂さんは、玄関前にからみつく植物をちぎって、扉を開けた。


「そこの女神も入ったら。今後のことについて、話したいこともあるし」




植物が絡みついているのは、外壁だけで、家の中は無事らしい。俺は、東堂家の広い廊下を歩きながら、気になっていたことを聞いてみた。 


「そういえば、東堂さん、家族の人は? 大丈夫なの?」


前を歩く東堂さんは、なんてことのないように言う。


「私の家族、海外出張してるから。ああ、でも、海外も無事とは言えないか」


未だにネットは不安定だし、携帯は使えないから、海外の状況はおろか、日本の状況でさえわからない。唯一の情報源として、青桐アナの番組があるが、海外の話についてはさっぱり触れてくれない。


それなのに、東堂さんは、“海外も無事とは言えない”と言った。そのことに、俺は唾を飲んだ。


ーーやっぱり、東堂さんは、何かを知っている。


「こうなることを知ってたのか?」

「知ってたよ。私は未来のことを知ってる」


とあるドアの前で立ち止まり、東堂さんは振り返った。


「じゃあ、未来について話そうか」




「結論から言うと、この世界は滅びる」


俺は、飲んでいたお茶を吹き出した。東堂さんは、それを華麗に避けて、俺にハンカチを渡してくれた。


「げほっげほっ、え、滅びる? なんで?」

「怪しい集団が、“神”を祭り上げて、理想の世界を作ろうとするから」


俺の隣に座るメイネが、ぴくりと、体を動かした。


「それで、佳太くんは、怪しい集団がテロをしてる最中に死んじゃうの。私を庇ってね」

「え、俺死ぬの!?」


あまりにもすんなり教えられた自分の死に、俺は驚きを隠せなかった。俺、死ぬんだ。


「で、その怪しい集団は神を作ることに失敗して、失敗作の世界を終わらせてしまうの」

「それで、世界が滅びたってことか?」


にわかには信じがたい話だ。だが、東堂さんが嘘をついている様子はない。東堂さんは、マイペースにお茶を飲んだ。


「だから、この世界は言うなれば2周目の世界。女神の出現時期はズレたけど、日本国民……ううん、世界の人々は予定通り今日、超能力に目覚めた。世界は、ほぼ同じ歴史を辿ってる。佳太くん」

「な、なんだ?」

「このままだと、死んじゃうよ。君」 

「……」


東堂さんの瞳は静かだった。だからこそ、説得力があった。


「死にたくない?」

「それは、もう」

「これは加点だね。だったら、関わらないことだよ」

「関わらないこと?」

「そう。これから世界は大きく変わるけれど、最初から答えを言っておくとね、良い人から先に死んでいくんだ。だから、私がアドバイスできるとしたら、困ってる人がいても、見て見ぬふりをすれば良い。そうすれば、君は生き残れるから」

「言われなくても、俺にはなんにも力がないし」

「そう、それならよかった」


東堂さんは笑って、「加点だね」と付け足した。それが良いことなのか悪いことなのか、俺にはわからなかった。

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