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プロローグ (後編)


 あれから………てんやわんやで怒涛の日々が過ぎた。




「お迎えに上がりました。初代統括者の渡邊司様」


 はぁ〜、なんか分からないけど、家の前に車が止まってメイドさんが出てきたよ。


「ってか、西園寺さんだよね? 何してるの?」

「お迎えに上がりました。さあ、どうぞ」


 いやいや、話を無視ないでもらえるかな。


「……わかったよ、乗れば良いんでしょ? 乗れば」

「はい」

「それで、なんで西園寺さんメイド服着てるの?」

「可愛いですか?」

「うん、可愛いよ。で、なんで?」


 うん、話がね。進まないよ。


「はい。司様が眠ってからの10年、私を含めた皆が有明島で働くようになりました」

「皆って、事務所の人達のこと?」

「はい」


 解決屋事務所の皆は、息災だったか。


 良きかな、良きかな。


「……でも、メイドって仕事あったっけ?」

「はい。司様にこの間、有明島の全資料と一式をお渡ししたと思いますが?」

「え!? 全資料!? 一式!? 何も受け取ってないんだけど……」

「………」


 これは……あれ、だよね? 


 いつもの……


「………」

「も、申し訳ございません。全資料と一式を……渡し忘れていました!!」

「まあ、そこが西園寺さんの可愛いところなんだけどね」

「お戯れを」


 照れてる、照れてる、こういうところが可愛いんだよね。


 僕は彼女から、この間受け取るはずだった全資料と一式を受け取った。


 全資料っていっても、タブレットなんだけどね。


 一式は……統括者としての物だね。


「へぇ〜、10年立った有明島ってこんな感じになってるのか」

「ふ〜ん、なるほど」

「司様、何か質問はございますか?」

「ねぇ、初代統括者ってなに?」

「初代統括者とは、最初に統括者のスキルを顕現した人のことです」

「へぇ〜、そうなんだ」


 10年経ったんだ……分からないことは、西園寺さんに聞こう。


「司様、他に質問はございますか?」

「いや、質問はないよ。西園寺さんが調査局メイド課に所属しているってこともわかったし、大体は良いよ。……でも、ずっと司様、司様って呼ぶのはちょっと頂けないかな?」


 うん、なんかよそよそしいよ。


「いや、でも……」

「いつも通りに司くんって呼んでくれないと僕、拗ねちゃうよ?」

「………む〜、やっぱり、司様はいけずです!!」

「あっ、また司様って呼んだね?」

「うぅぅ……」

「司……くん」

「はい、よく出来ました」


 こんなたわいもない話を西園寺さんとするのも10年ぶりか……なんだか考え深いね。




「司くん、もうすぐ有明島に着きます」

「もう? 早いね」


 意外と有明島に着くのが早いね。


「ここが、10年経った有明島か」


 僕は窓から見えた有明島を見て、そう呟いた。


「ええ、そうです」


 資料は見たけど、やっぱり実物はまた違うもんだな。


「司くん、もう少しで学園に到着致します。ご準備を」

「ああ、わかった」

「あ、そうだ。西園寺さんは僕が学園に行ってる間、どうしてるんですか?」

「私は、司くんの新たな住まいで腕によりをかけて、今晩の料理をするために今から帰ります。今晩はなんと、カレーですよ!!」

「そうか……わかった。じゃあ、遅くならないように帰るよ」

「承知いたしました」


 西園寺さん特製のキーマカレーが激マズだった話はまた別のお話。




「ここが、有明学園か」


 車を降りて、僕はそう口にした。





 僕の名前は渡邊司。「面倒なことに巻き込まれる」体質に日々悩まされながら、平凡な日を待ち望んでいる至って普通の学生だ。


 この夏、なんやかんやで統括者として島に、ひいては学園に入ることになった。


 ここは、有明島。東京の南方2000キロ余りの太平洋上に浮かぶ、コンクリートとプラスチックと金属などによって作られた世界最大の人工島だ。日本本土から遠く離れた学園都市であり、ここでは“スキル”というものによって生活が成り立っている。


 隕石で出来た島が何故、人工島なのかはまた別のお話。


 この島の学園に編入した際に、僕の体質による困り事は今のところ起きていない。僕はこの時、このまま平凡な学園生活が送れると思っていた。






 編入日2日目にして、「あんたが、司でいい? ちょっと来てくれる?」といきなり女性から呼び出しをくらうまでは……


 ……はぁ~、これも体質のせいかなぁ。


 なんてことを思いながら、僕を呼び出した女性に着いて行った。すると、ある部屋に辿り着いた。


「え? ここ……ですか?」

「ええそうよ。早く入りなさい」

「いやぁ、でも……」

「早く入りなさいって言ってんでしょ!! この、のろま!!」


 のろまではない、のろまでは。


「痛っ、いきなり背中を叩かないでくださいよ」

「あんたがのろまってだけでしょ!! 中で人を待たせてるんだから、さぁ早く入った入った!!」


 また言ったよ。この人……


「いやぁ、でも会議室って書いてあるし、中で話し声聞こえるから、ちょっと行きにくくてね」

「そんなの関係ないのよ!!」


 彼女は勢いよく引き戸を開けた。すると、扉の先には女性1人と男性2人がいた。


 彼女は何かを感じたのか、突然、僕に対して素知らぬ顔で自己紹介を始めた。


「初めまして、私の名前は早乙女夏鈴。よろしく~」 

「なに、初めましてみたいに話してんだ。さっきまで僕の背中叩いてたよなぁ。それに、ここまで案内したのあんたでしょうが」 

「あらあら、野蛮人はこれだからいやだわぁ」


 むかつくやっちゃな~と心の中で思いながら、「初めまして、僕の名前は渡邊司です。こちらこそよろしく」と返事を返した。


 すると、いきなり僕の周りをぐるぐると目利きをするかのように観察をしだした。そして、観察が終わったのか。


「どこにでもいる、普通のモブじゃ~ん。こんな男のどこにゆきりんは引かれたの?」と話した後にクスクスと笑い出した。


 全くさっきから失礼極まりない女性である。名前何といったか、さ、さ、佐尾? まあいいか、後で名前を他の生徒にでも聞いておくか。そんなことを頭の中で考えていると、唐突に、もう1人の女性が話し出した。


「もう~、りっちゃん。失礼だよ」

「彼は私の白馬の王子様なんだからね」

「ごめん、ごめーん」

「でも、本当にこんな奴がいいの?」 

「本当、怒るよ?」


 一瞬、彼女の後ろに……般若が見えたのは………気のせいだよな。


「まあまあ、お二人さんも喧嘩せずに、いったん落ち着きましょか」

「怒ると、折角の可愛い顔が台無しやで」

「大ちゃん、うるさい!!」

「痛った。ゆきりんもりっちゃんも2人して僕を殴らなくてもいいじゃない」

「「大ちゃんにその呼び名、許した覚えないんだけど」」


 まったく、僕に用事があって呼び出したんじゃないのか?


「はぁ~、ごめんね。大ちゃんがうるさくて」

「いえいえ、そんなことは」

「改めまして。初めまして、私の名前は如月雪です。裁判官をしています。よろしく」

「あ、どうも初めまして、僕の名前は渡邊司です。こちらこそよろしく」


 さっきの失礼な女性はよく見ると、知的な美女だが、この女性は全てが美しい美女だ。こんな女性と付き合いたいものだ。まぁ、無理だろうけど。


 そんなことを思っていると、彼女が話し出した。


「突然でごめんなさい。私のこと、覚えてないですか?」

「……は?」

「ええっと、どこかでお会いしたことありましたっけ?」

「う、うそ。私のこと忘れてしまったのですか? あの時、去り際に渡邊司ってお名前をお父さんに伝えてくれたじゃないですか」

「グスッ……ひっく……ひっく」


 彼女は泣き出してしまった。いやいや、待て待て、お父さんだと。覚えているわけないだろ。いや、理不尽だよね。


「うわ~、女子泣かすとかサイテ~」

「仕方ないだろ。覚えてないんだから」

「言い訳するの? マジ屑だわ」

「……あの、ごめん。その時のこと覚えてないんだけど、もしよければ、話してくれないかな?」

「ひっく……ひっく……わ、分かりました」


 彼女は涙を抑えながら、昔何があったのか話し出した。










「あれは、私が中学の夏休みの時です」

「当時の私は、家族に料理を振る舞うのが好きで、よく行きつけの食材店に足しげく通っていました」


 話の序盤は楽しそうに彼女は話していた。


「そんなある日のことです。いつものように買い物していた時でした」

「妙な金属音が食材棚の中から聞こえてきたのです」

「私はその音が何の音なのか気になり、食材棚に手を伸ばしました」

「するとその瞬間、私はものすごい音と光に包まれて、意識を失いました」





「それから数分か数十分立った時です」

「私は意識を取り戻しました」

「そう、取り戻したところまでは良かったのです。取り戻したところまでは」

「私の目に飛び込んできたのは、沢山の瓦礫の山と炎と黒い煙でした」

「私は何とかここから出ようと試みましたが、体中が痛くて立つことさえできませんでした」


 彼女は話をするにつれ、時折、瞳から涙を流すことがあった。


「その時、私は思いました」

「私、このままここで死ぬんだ」

「死ぬと思った瞬間から体の震えが止まらなくなって、涙があふれてきて、そうこうしているうちに、黒い煙が部屋中に充満してきて、息ができなくなって、私はそのまま、意識を失いました」






 起きてください……


「私は……誰かからか、呼ばれたような感じがして、重い瞼を開けました」

「するとそこは、病院のベッドの上でした」

「お父さんとお母さんは、私が目を覚ましてくれたことをすごく泣いて喜んでくれました」


 彼女はその当時のことを思い出したのか、嬉しそうに頬を緩ませた。


「でもなんで私、あの状況で助かったの? っという疑問が浮かびました」

「疑問に思ったことは何でも知りたくなるのが私の性分なので、お父さんとお母さんになぜあの状況下で助かったのか聞きました」

「すると、お母さんが私を火災の中から助けてくれたのは消防士ではなくて通りすがりの中学生の男の子だったという話をしてくれました」


 その話を詳しく聞いていくと、その男の子の凄さがとてもよく分かりました。だって、口元をハンカチで抑えただけの状態で火災の中に飛び込んで、数分経った頃に、火災の中から黒焦げに成りながら、私を担いで戻って来てくれたって、本当に凄いと思ったから。その話を聞いて私はその男の子に是非お礼がしたいと思い始め、お母さんにその男の子の情報を聞きました。


「ねぇ、お母さん。その男の子の情報って何かない?」

「あるわよ」

「はい、これ」


 お母さんがメモを私に渡してきた。


「これって名前?」

「そうよ。名前」

「え? 名前だけってどういうこと?」

「その件については、雄一さんから聞いたほうがいいと思うわ」

「お父さんから?」


 えっと、どういうこと?


「ええ」

「ねぇ、お父さん。名前だけってどういうこと?」

「う、うん。す、すまないね」

「謝まって済む問題じゃないと思うのだけど、そこんところどうなのかな? お・父・さ・ん?」


 私はお父さんに詰め寄り問い詰めた。


「いや~、な、な、なんというかね。彼、娘を助けた後、足早にその場を立ち去ろうとしたんだよ?」

「どういうこと、お父さん?」

「いや~、私には分からないかな」

「分からないってどういうことかな?」

「雪、その辺にしとくのよ」


 え? 今からが良いところなのに〜。


「え? だってこれからお父さんを拷問じゃなくて、尋問じゃなくて、問い詰めようとしてたのに~」

「お父さんに聞いても埒が明かないわよ。それよりも、名前だけ知れただけでも良かったじゃない」

「うん」

「渡邊司くんか~」


 私は彼にまた会えるかな〜と思い、ほうを緩ませた。


「また、その男の子に会えるかな。お母さん」

「きっと、会えると思うわ」

「なんで分かるの、お母さん」

「女の感よ」

「ふふ、そっか。女の感か~」

「私の感はよく当たるから楽しみにしとくのよ」

「うん、分かった。楽しみにしとく」


 この頃、娘の怒り方が喜美子に似てきたのだが、いや、気のせいだよな………絶対そうだよな。そ、そうじゃないと、いや、考えるのはよそう。背中に般若がいるように見えるのも、うん、見なかったことにしよう。


「ってことがあったのだけど、覚えてない?」


 彼女のお父さん、不憫だな~。


「司さん、私の話聞いていました?」

「うん、聞いてたよ?」

「うそ。今、上の空だったでしょ」

「いや、別に。ただ、君のお父さんが不憫だな~っと思ってただけだよ」

「お父さんがですか? ふふふ、冗談を言うのがうまいですね」


 いや、笑ってるけどさ……


「冗談じゃないんだけどな~」

「それで、私のこと覚えてないですか?」


 話をはぐらかされたのだが、うん、まあ今はいいか。今はね。それよりも彼女についてだ。どこかで見た覚えがあるのだが、どこだったかな?


「う~ん、火災……中学時代……女の子……」

「………あっ!! そうか。あの時助けたのは君か」

「はい、そうです!!」

「やっと思い出してくれたのですね」

「いや~、ごめんね。あまりあの時のこと覚えてなくて」

「いえいえ」


 彼女はにへらと笑みを浮かべた。


「へぇ~、そんなことがゆきりんにあったんだ。大変だったね」

「火災の中からゆきりんを助けるとは、すごいネ」

「大ちゃんも桃ちゃんもその呼び名、許した覚えないんだけど」


 このくだり、前もあったよね。


「まあまあ、そう怒らんでくださいよ」

「そうネ、あんまり怒らないでほしいネ」

「というか、早乙女さん、あんまり驚いてないネ」

「えっ、だってゆきりんを治療したの私だし」


 至極当然に言ってるけど、何言ってんだこの人。


「っていうか~、大ちゃんも桃ちゃんも知らなかったの? 世界一のハッカーと世界一の情報屋の2人が情けない」

「え? 知ってたよ。常に世界のどんな情報でも数秒で分かる僕だから、如月さんの情報なんて朝飯前だよ」

「同じく、知ってたネ。まあ、あの火災が時限爆弾だったことや犯人があの店の元従業員で店に対して相当の恨みがあったことなんかも全て知っているネ。情報は情報屋にとって命より価値があるからネ」

「そう、それならいいわ」

「でも、ゆきりんの情報なんかって何?」


 あっ、怒ってるね。この人……


「言い間違えました。ごめんなさい」

「ふん、それでいいのよ」

「私は気にしてませんから」

「私が気になるのよ」


 いきなり話に出てきた彼らは誰だろう。まあ聞いたら分かるか。


「ねえ、君たち誰?」

「初めまして~、俺の名前は近藤大毅。名前長いから、大ちゃんって呼んでな。天才ハッカーをしてるもんや。まぁ、よろしく」

「初めましてネ、僕の名前は桃谷正樹。名前長いから、桃ちゃんって呼んでネ。情報屋をしているネ。よろしくネ」


 いや、なんかすごい人出てきたよ。


「え、ネって何?」

「口癖ネ」

「そ、そうなんだ」 

「っていうか、え? さっきこの女が彼女を治療したって、もしかして医者?」

「その当時は医者だったけれど、今は医術師よ」


 マジか。裁判官・天才ハッカー・情報屋・医術師ってメジャーなスキルばっかじゃないか。


「それよりも、さっきからあの女呼ばわりやめてもらえるかしら。私の名前は早乙女夏鈴って最初に言ったのだけど、もう忘れたの? もしかして、あなたの脳みそ、サルより小さいのかしら?」

「何を~」

「大ちゃんも桃ちゃんもりっちゃんも、うるさい」

「理不尽な(ネ)」

「私はただ、この男に注意しただけよ」


 はぁ〜、姦しい。


「それでも、うるさい」

「はぁ~それで、話を戻すけど、何で僕を呼び出したのかな?」

「お礼なら確か、君の親御さんに「娘を助けて頂きありがとうございました」って言われたと思うんだけど」

「はい。お父さんもお母さんもそういったと聞きました」

「だったら、何で僕を呼び出したのかな?」


 お礼を言われたとは言ったが、僕が走り去った後に微かに聞こえたから……まあ、定かではないんだけどね。


「それはですね。私がまだお礼をしていないからです」

「いや、お礼なんて別に」

「それでも、私の命を助けてくれたお方に、ありがとうございましただけじゃ、私が納得しません!!」

「いや、納得しようよ」


 う〜ん、何か意地になってない?


「ですので、私……あの時、心に誓った言葉があるんです!!」

「ねえ、僕の話聞こう?」

「司さん、私をあの火災の中から助けて頂き、ありがとうございました!!」


 彼女はその言葉を伝えた後、覚悟を決めたような顔になると、おもむろに僕の身長を優に超える高さで、壁ドンをして僕に言った。


「私、あなたのことが好き。心の底から大好き!!」


 告白をしてきた彼女の頬は、紅葉を彷彿とさせるような真っ赤になっていた。


 それを見て、彼女の友達も驚いていた。


「ちょっと、ゆきりん。大丈夫?」

「ゆきりん。大丈夫か(ネ)?」

「大丈夫です」

「え、え〜!!」

「そりゃ驚くよな」

「驚くところが沢山あるんだけど……」


 今日は厄日かな……


「まあまあ、僕らもびっくりしたからネ」

「まぁ、ゆきりんの親も公認しているし、しかたないんだけどな~」

「公認って?」

「親も君と付き合うのを了承しているってことだよ」

「ふふ、そんなことも分からないの~」

「はぁ~、ムカつくんだけど、その言い方」


 本当、この人うるさいね。


「あら、ごめんなさい。あなたの知識が乏しいだけだったわ」

「なんだと~」

「そんなことで喧嘩している場合じゃないネ」

「喧嘩じゃないけど、まあ、それもそうね」 

「ああ、そうだな」


 睨んでるのに怯まないよね、この人。


「それで、返事まだあるネ」

「男だったら、はっきり言いなさいよね」

「そうだぞ~」


 僕は、この状況、ど、どうしたらいいんだろう。


 そんなことを思っていると、彼女は首をちょこんと傾けながら、言ってきた。


「私じゃ、だめ……ですか?」


 僕は、しどろもどろになりながら彼女に返事した。


「あの、その、なんだ。こういうのドキドキして困るのだが。それに、女子から告白されるの初めてだし、なんて返したらいいのか分からないんだけど……」

「ちゃんと、返事返して下さい」

「う~ん、一旦家に持ち帰って良いかな?」

「今、ここでお返事聞かせてください」

「………まあ、こんな僕でよければ、その気持ち嬉しく思うよ」


 僕はこの時、女性に対して一大決心をしたのだ。


「ということは、ゆきりんと付き合うってことでいいのかしら」

「う、うん」

「やった~!!」


 彼女は喜びのあまり、僕を押し倒してきた。


 押し倒された瞬間、不意に唇に柔らかいものが……


 その正体に気づいた時、彼女と僕の顔は真っ赤になった。


「「ゆきりん、それはまだ早いと思うんだけどな~(ネ~)」」

「まあ、良かったわね、ゆきりん」

「まぁ、親公認じゃ、断れねえわな」

「そうネ」

「大ちゃんも桃ちゃんもうるさい」

「理不尽な(ネ)」


「あ、………西園寺さんになんて言おう」


いや〜、彼女が出来ちゃいました……


お読みいただき、ありがとうございました!


少しでも面白い!! 続きが読みたい!! と思っていただけたら、ブックマーク、評価、感想をよろしくお願い致します。


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