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飛べない天使と仲間たち  作者: なかつわこ
2/12

②翼を戻しに雲の上

 いよいよ2話目の投稿です!

 前回、ハルキと蛇子と出会い、共にスカイアイランドに行ったチアキ。しかしスカイアイランドは、壊滅的な状態でした。果たして、ヒカリ様は無事なのでしょうか?

 そして、過去起きた悲劇が明らかに!

 


 誰にでも、守りたい物はある。

 私にも、守らなくてはならない物がある。たとえ、命をかけてでも。

 でも、守れなかった。

 私は今、絶望にひたっている。

 でも、誰も私を救えない。

 生きているのは私だけ。こんなところまで、誰かが来るはずないから。


1.滅びたスカイアイランド

「嘘、だろ?」

ハルキは、まだ信じられていないようだった。

「爆発音は聞こえたけど、まさかこんなにだなんて…。」

「ハルキ、落ち込むのはまだ早いです。ヒカリ様なら、元に戻せるかもしれません。」

「そうだよ!まずはヒカリ様を探そう!」

蛇子がはげましたのを見て、私もハルキに声をかけた。ハルキは言った。

「そっか。そうだよね!ヒカリ様を探そう!」

私達は、ヒカリ様を探すことにした。がれきを掘り起こしたり(重い)、高いところから見渡したり(広い)。でも、ヒカリ様どころか、誰も見つからない。

「全然見つからない…。」

ハルキがため息をついた、その時。

「これは!」

蛇子の声だ。私は言った。

「見つかったの!?」

「ヒカリ様!」

ハルキは走って蛇子の方へ向かった。そのスピードの速いこと。

「見てください!」

そして、蛇子は言った。

「何かのかけらですよ!」

「ズコッ。」

「ただのかけらか。その辺に捨てといて。」

「でも不思議です。真っ黒です。まるで燃えつきたかのように…。」

「ま、まさか!」

ハルキがハッとして言った。

「それが、爆弾のかけら!?」

「そのとおりさ。」

「?」

見知らぬ声が聞こえた。

「誰?ハルキの知り合い?」

「お前ら…。」

ハルキの声がいつもと違う。ただ、ものすごく怒っているというのは、一瞬で分かった。

「おお、生きていたのか。堕天使君。」


2.魔族(デビル)の襲来

「ハルキ、この人達誰?」

「…魔族の人。僕を狙ってる。」

「ふ〜ん、って、えっ!?」

私は驚いた。でも確かに、全体的に黒っぽい人達ばかり。

「この人達が弟さんをさらったのですね。」

「そうだよ。」

「あなた達!ツバキをどこへやったのか教えなさい!」

「そんなの言うわけないだろ。それぐらい分かるだろ?」

「そうだそうだ。絶対に言わない。」

「…頑固ですね。」

「ケンカ売ってんのか?」

「えぇ。」

「えっ!無茶だよ!あいつら強いんだよ!」

「そうですか?」

そう言い、蛇子は魔族に近づいた。

「どうせたいしたことは出来ないだろ?まあ、1発チャンスをやろう。」

「ありがとうございます。では。」

蛇子は、指を鳴らした。すると。

「うおっ!」

全員が吹っ飛んだ。(私も)

「きさま…何をした?」

「ちょっとした超能力です。()()()()()()。」

「こいつやべえ。」

「逃げるぞ!」

リーダーっぽい人が言い、バタバタと走り出した。

「逃がしません。」

すると突然、ふわふわと浮き始めた。(私達も)

「おっこれは!蛇子お得意の浮遊系の超能力!すご…」

「すごーーーーーーい!」

(説明しよう!ハルキは、自分では飛べないが、蛇子の力で飛ぶのが好きなのだ!)

「うるさい。」

でも、もっとうるさい人が…。

「おい、これはなんだ!」

「なぜ浮いている!?」

「どういうことだ!」

「やめろ!」

「あーーー!」

「人間のお前がやったのか!?」

「そうですよ。」

「嘘だ!超能族(エスパー)しか超能力は使えないはず!」

「私は人間族(ヒューマン)の超能力者です。降参してください。さもなくば、地上に落とします。」

「それはやめろ!」

「リーダー!ご指示を!」

「分かった!降参する!降参するから、降ろしてくれ!」

「本当ですか?」

「本当だ!許してくれっ!」

「…分かりました。」

ここで私は思い出した。

「あれっ、確か蛇子、『着地は協力してください』って…。」

(説明しよう!着地時は、バランスは自分で取る必要がある!)

「な、何!?」

魔族の人達は、突然のことに驚いた。そのせいで余計にバランスがくずれ…

「ドスッ」

「ぐはっ!お前…!」

「これは攻撃ではありません。ナレーションが説明していたでしょう?」

(説明しよう!私は今、初めて頼りになった(?)のだ!)

「自分で?マークつけてるし。」

「では、ここからはハルキがあなた達と話すので。」

「えっ!?」

「な、なんで僕!?」

「こういうことは、直接聞く方がいいですよ。」

「そうなのかな…?…分かった。」

ハルキはおそるおそる魔族に近づき、言った。

「な、なんで、神力(しんりょく)を狙ってるの?あと、ツバキはどうなったの?」

「リーダー、どうします?」

「うーむ…。」

リーダーは、蛇子に目をやった。蛇子はそれに気づき、また指を鳴らそうとした。

「待て待て待て!教えてやるよ!」


3.神力と魔族の謎

リーダーは立ち上がり、ハルキを指差した。

「お前には、神力が宿っている!」

「それは知ってる。」

「ただ、まだ覚醒していない!」

「それも知ってる。」

「覚醒しない限り、お前は弱いのだ!」

「それも知ってるよ!自覚あるから!」

「だが、お前の弟は、覚醒しそうだ。」

「えっ?」

「いや、それは知らねえのかよ!」

「リーダー!ツッコミいれてる場合じゃありません!」

「ああそうか。」

リーダーはせきばらいをし、話を続けた。

「そこで俺は考えた。『もし神力が覚醒したら、魔族は一瞬で滅ぼされる。早くこっちのものにして、()()()()を果たさなくては。』とな。」

「目的?それって一体…。」

「ちょっと待て。そのぐらいにしておけ。」

どこからか声が聞こえた。リーダーは慌ててひざまずいた。

「も、申し訳ございません!」

「え、誰の声?」

「すまないが、これ以上は教えられない。」

「えーっ!なんで!?」

「あのお方の命令には逆らえない。」

「あのお方って?」

「それは…教えられねえ。」

「そこをなんとか!」

「また吹っ飛ばしましょうか?」

「いやいやいやいや!もちろん教えるさ!」

「おいお前ら、そんなやつの言いなりになるつもりか?」

「ヒッ!」

(魔族がこんなに怯えるなんて、この声は一体…?)

「お前にはガッカリだぜ。リーダー。」

(説明しよう!魔族のリーダーの名前は、「リーダー」なのだ!つまり、本当のリーダーは、彼ではない!)

「えっ、じゃあ誰?」

「俺だよ。」

「どこにいるの?」

「姿を現すつもりはない。」

そして。

「ぐ、ぐわーっ!」

「えっ!?」

「リーダー!」

リーダーの周りに不気味なオーラが。

「ま、まさかこれは…。」

「あのお方の攻撃、『ラストファイア』!」

(説明しよう!『ラストファイア』とは、闇の炎で相手を消し去る、恐ろしい技だ!)

私は慌てた。魔族はハルキを狙っているから、あの攻撃をハルキにもすると思ったからだ。

「ハルキ、一旦逃げよう!危ないよ!」

ところがハルキは、リーダーに近づき、言った。

「…ごめん。」

「え?」

「僕は君のことを誤解してたみたいだ。」

「どういうことだ?」

「君達はたぶん、真のリーダーに脅されて僕を狙っているんだよ。ツバキを狙ったのも、そうなんだよね?」

「……。」

「本当はいい人なんだよ。だから…。」

「……。」

「教えてほしい。ツバキをどうしたのか。」

「…すまない。」

リーダーは、申し訳なさそうに言った。

「あのお方に逆らったら、自分の身に危険が迫るんだ。もう、今すでにな。だから…教えられない。」

「そんな…。」

「話は終わりか?そろそろ消す。」

「待って!」

私は叫んだ。どこにいるのかも分からない、謎の男に向かって。

「リーダーは悪くない!ハルキの弟を捕まえたのは悪いけど、それはあなたが脅したからなんでしょ!?だったら、悪いのはあなたじゃない!」

「口ごたえするとは、いい度胸だ。じゃあリーダーを消した後、お前も同じ目に合わせてやる。」

「!!」

「じゃあとりあえず、リーダー、さらばだ。」

その直後、不気味なオーラがより一層強まり、リーダーを包み込んだ。

「ぐ、ぐわーっ!」

「リーダー!」

リーダー以外の魔族も、私も、蛇子も、ハルキもが叫んだ。リーダーは言った。

「…ハルキ、役に立てなくてすまない。」

 そしてオーラが消え、リーダーはいなくなった。他の魔族はどこかへ逃げていった。

「さぁて、次はお前だ。」

「!」

「お前、名はなんという?」

「……チアキ。」

「そうか。じゃあチアキ、お前の人生はここで終わりだ。」

「その前に1つ、聞きたいことがあるの。」

「一応聞いてやろう。」

私は、おそるおそる聞いた。答えてくれるかは分からないけど、どうしても気になることがある。

「神力って、どれだけすごいの?」

「なんだそんなことか。それぐらいなら答えてやる。」

私は期待に目をよせて、話を聞いた。

「神力はな、限られた一部の天族(スカイ)のみが使える力のことだ。成長の過程で覚醒し、その時は神をも超える強さを手に入れるらしい。伝説によると、使えるのは3人のみだ。」

「へぇ〜。」

「チアキ、敵に向かってその口調はやめたほうがいいですよ。」

「はっ!…確かに!」

(うわ〜まずい!私消されるかも!)

ところが、謎の男はこう言った。

「お前、なかなか味のあるやつだな。」

「どういうこと?」

「今回は見逃してやる。」

そして、謎の男の声は聞こえなくなった。


4.太陽の神殿

 私は呆然としていた。

「味があるって、どういうことなんだろう…。」

騎士族(ナイト)だから強いと思ったとか。」

ハルキは言った。蛇子も言った。

「確かに、騎士は強そうですね。きっとそういうことですよ。」

「そっか。なるほどね。」

「まぁ、魔族もいなくなったし、太陽の神殿に行こっか!」

「えぇ、そうですね。」

「行こう!」

 30分後…

「ハルキ、まだつかないの?もうヘトヘトなんだけど…。」

「目印の噴水が無いから、迷子になったかも。」

「そんな〜っ!」

「とりあえず、一旦休みましょうか。」

「うん…。」

 私は、側にあった切り株に座った。ハルキは言った。

「チアキ、もう疲れたの?僕はあと30分くらい走れるよ。」

「昔から体力無くて。こんなふうにすぐに疲れちゃうんだ。はあ〜、疲れた!」

そして私は、まだまだ走れると言うハルキを見た。全く息切れしていない。

(説明しよう!ハルキの体力は底なしなのだ!)

「ナレーションって、なんでそんなに詳しいの?」

(説明しよう!私は、事前の勉強をかかさないのだ!)

「勉強?」

(説明しよう!例えば、1話終わるごとに物語を見直し、展開を予測し、必要な情報を確認するのだ!)

「真面目ですね。」

「ちょっとうるさいけどね。」

どうでもいい会話をしていると、ハルキが叫んだ。

「あ〜っ!」

「ハルキ?」

「どうかしたのですか?」

ハルキが指を差す方には…

『太陽の神殿』があった。

(説明しよう!チアキ達が走っているうちに、いつの間にかついていたのだ!)

「迷っているうちについたようですね。」

「あ〜よかった!迷子かと思ったよ。」

「早く中に入ろう!」

私達は、急いで中に入った。

 中はかなり荒れており、歩くのも大変だった。柱は折れ、石や砂粒が散乱している。ハルキが心配そうに言った。

「どうして…こんなことに…。」

「中に魔族が入ったとか?」

「いや、それはない。魔族はこういう神殿には入れないはずだから。」

「では、ヒカリ様本人が荒らした可能性は?」

「ありえないっ!」

(説明しよう!ヒカリ様はとても穏やかな人なのだ!)

「そのとおり!ヒカリ様より穏やかな人はいない!…と思う。」

 そして、神殿の1番奥についた。そこには、意外な光景が。

「あっ!ヒカリ様!」

ヒカリ様が、ベッドに横たわっていた。


5.悲劇の原因

「ヒカリ様!しっかりしてください!」

「…ハルキ?」

ヒカリ様は起き上がってこちらを見た。そして言った。

「どうしてここに?あなたは地上の、ナイト平野あたりに落ちたはず。どうやってここに?」

「私がここに連れてきました。」

「あなたは?」

「蛇子という者です。人間族ですが、超能力が使えます。」

「そうなのですね。そちらの方は?」

「私はチアキです!騎士族です!」

「騎士族ということは、あなたがハルキを?」

「そ、そうです!」

「騎士族にも、優しい人がいるんですね。」

(説明しよう!騎士族は、ほとんどの人が攻撃的なのだ!)

「今の声は?」

「ただのうるさいナレーションです。」

「ナレーションもいるのですね。」

「あの、ヒカリ様。」

「ハルキ?なんですか?」

「聞きたいことがあるのですが。」

ハルキは、ヒカリ様に尋ねた。

「どうして横たわっていたのですか?ヒカリ様ならここにいないで、誰かを助けに行くはずです。」

「それは……。」



 急がないと。急がないと大変なことになる。そう分かっていた。それなのに…。

 あの時私は、女神会議に行っていた。今日がたまたま、その日だったから。

 議題は次の通り。

『魔族が攻めてきたときの対処法について』

『神力をより早く覚醒させる方法について』

『天族の存在を地上の人々に言うのか』

私達はまず、『魔族が攻めてきたときの対処法について』を話し合っていた。私は言った。

「ではまず、魔族が攻めてきたらどうすればいいか、自分なりの意見を出してください。」

「う〜ん…。」

私は司会進行役。他7人の女神は、必死に考えていた。そのうちの1人が手を挙げたので、私は指名した。

「どうぞ。」

「わたくしは、そもそも攻めてこないよう、守りを固めるべきだと思うのですが、どうですかね?」

「この意見に対して、反対はありますか?」

「……。」

(反対無し。)

「では、どのように守りを固めましょうか?」

「はい、は〜い!」

別の1人が手を挙げた。私は言った。

「どうぞ。」

「スカイアイランドの土地のふちぎりぎりの所に、大きな火を燃やすのは?」

私は、その状況を想像してみた。ところが。

「それはちょっと…。」

「なんですか?」

「えっと、そんなことしたら、私達もここから出られなくなるのでは…。」

「ウチは大丈夫!」

「確かに、火の女神なら平気でしょうけど、他の人が大変ですね。」

「えぇ〜っ!」

こんな感じで、ずっと会議は続いた。

 すると、その時。

「ドッカーン」

「え?」

ものすごい爆発音。私達は慌てて外に出た。

「嘘…。」

「そんな…。」

さっきまで近くにあったはずの建物が無い。すぐそこに生えていた大木も折れている。

「い、一体何が?」

慌てふためいた私達は、どうすることも出来なかった。そこで私は、思い出した。

「あっ!そういえばハルキ、『ツバキと走ってきます!』って言ってた…。」

私は1人、飛び出して行った。そして見た。

「ツバキは?僕の弟をどこへやった!?」

ハルキの声だ。私は隠れながら様子を見た。

「ようやく気づいたか。あいつはもう俺達の物だ。」

(なんだか大変なことになってるわ。)

その直後。

「ぼ、僕の弟を、返せ〜!」

ハルキは、魔族に突進していった。でもハルキは槍で突かれ、落ちてしまった。

 私は、彼が自ら戦いに挑む姿を、初めて目の当たりにした。

(ハルキを助けたい。魔族にバレても構わない。)

「『癒やしの光』!」

…光を浴びた相手の傷を癒やし、一時的に丈夫な体にする技。

(どうか、上手くいきますように…。)

「はっ、お前は、太陽の女神!」

私は、空を飛んで逃げた。そこにいた魔族は鎧を着ていたから、飛べないようだった。

 なんとか私は、女神会議をしていた場所に戻ってこれた。でも、誰一人としていなかった。

「みんな?どこにいるの?」

返事はなかった。そして今思い出した。

 魔族は昔から、女神を狙っていた。ということは…。

(私だけが助かった?)

私はひどい罪悪感に襲われた。そして太陽の神殿に戻り、泣くことしか出来なかった。

 みんな、ごめん。



「そんなことが…。」

ヒカリ様はこくりとうなずいた。そして言った。

「私のせいなの。私が結界とかを張っていれば、みんな助かったかもしれないのに。」

「それは違います!」

ハルキが言った。

「それは仕方ないことです!他の女神様がやられたことは残念ですが、ヒカリ様のお望み通り、僕は助かりました!だから、ご自分を責めないでください!」

「でも…。」

(どうすれば…。)

「あの、少しよろしいでしょうか?」

蛇子が言った。

「私、なんとか出来るかもしれません。」

「どういうことですか?」

「私は、まだ誰も知らなかった『天族』と『魔族』の存在を知っていました。いろいろと、調べていたのです。」

「えっ!?誰にも言ってないですよね!?」

「当然です。」

「ならいいのですが…。で、それでどうしてなんとか出来るかもしれないのですか?」

「それは、はるか昔の争いのことを知っているからです。」

「昔の争い?」

「ヒカリ様は知らないかもしれません。1000年以上前のことなので。」

蛇子は、そのことについて話し始めた。


 今からおよそ1000年前、この国には「種族」という概念はなかった。ところがある時、争いが起き、似たような能力や、同じような見た目の人ごとに住む場所が別れてしまった…。

 争いの原因は、今で言う天族と魔族のケンカだった。

「いつまでもしつこいわよ!」

「それはこっちのセリフだよ!」

「邪魔だ、どけ〜!」

「うわ〜っ!」

とある伝説の宝の奪い合いで、もう大ゲンカ。騒ぎを聞きつけた他の人までもが参加し、次第に大きな争いへと発展していった。

 その中に1人、争いを止めようとする者がいた。そのころ国を治めていた王様だ。

「もう争いはやめてください!お願いします!」

「もう無理ですよ。諦めるしかありません。」

王様の召し使いが言った。

「『あの宝を手に入れれば最強になる』という言い伝えがありますから、止めることは不可能でしょう。」

「しかし、あれを止めなければ、大変なことになってしまう!」

王様は最後まで諦めなかった。だが、争いが終わったのは、5年後のことだった。その理由は、

 激しい争いに巻き込まれた王様が、その争いのせいで、命を落としてしまったからだ。

 その後、悲劇の原因の今で言う天族は雲の上に、魔族は地下深くに追放された。

 それをきっかけに、人々は7つの種族に別れていった…。


6.私達に出来ること

 蛇子が話し終えたころ、ハルキは泣いていた。

「そ、そんな悲しいことがあったなんて、ちっとも知らなかった。」

「私も…。」

「私もです…。」

そして、蛇子は続けた。

「そのことについて調べた時、こんな情報があったんです。」

「情報?」

「『争いを止めるため、王様はあることに手を出した。この国が出来たころ、強すぎるとして封印されたとされる8人の神々を復活させ、力を借りようというのだ。そして5年間の努力が実り、復活の石によって、神々は復活した。』ですって。」

「ということは…。」

「その『復活の石』があれば、なんとか出来るかもしれないってことか!」

「そういうことです。」

その途端、ヒカリ様は嬉しかったのか、笑顔で言った。

「そうですね!落ちこんでいる場合じゃありませんね!」

「そうですよヒカリ様!落ち込むなんて、らしくないです。では早速!」

「ハルキ?」

「『復活の石』を探しましょう!」

勢いのままにハルキがそう言ったから、私は言った。

「ハルキ、いくらなんでも急すぎるよ。それに、その石でなんとかなるか分かんないし…。」

「やってみなきゃ分かんないよ!」

「そうですね。」

みんなそう言ったから、私も、

「じゃあ、探してみよっか!」

と言った。

(説明しよう!この流れで悪いが、チアキ達はあることを忘れているのだ!)

「あること?」

みんながそろって考え始めた。そして、ハルキが言った。

「あっ、思い出した!」

「なになに?」

「そもそもここに来たのは、僕の翼を直すためだよ!」

「あら、そうだったのですか?」

「はい!って、ヒカリ様が手紙を送ってくださったじゃないですか。」

「そうですかね?まあとりあえず、直しますか。」

そう言ってヒカリ様は、ハルキの方に手を向けた。そこから金色の光が放たれ、気がつけば、ハルキの翼は元に戻っていた。

「戻った!ありがとうございます!」

私は、そのあまりにもきれいな翼に見とれてしまった。でも、思った。

(あれ、なんだろう?なんだか前に見たような…。)

「ハルキ、私とハルキって、会ったことないよね?」

「そうだよ。急にどうしたの?」

(やっぱり、気のせいかな。)

そして、ヒカリ様が言った。

「では、これからも3人で力を合わせ、頑張ってください。」

「はい!」

私達は、大きな声で返事をした。

 その声は、国じゅうに響き渡った。

 今回のお話はいかがでしたか?

 ハルキに無事に翼が戻って良かったですね。でも、それよりも、蛇子の意外な強さに驚いたかもしれません(笑)。

 次回は登場人物紹介!今まで登場したキャラクターをまとめて復習!

 

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