表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の希望  作者: 猫☆ライフ
69/71

番外編 悲劇の母①

番外編です!本編と関係があります。前の話と辻褄があうように努力したんですが矛盾しているかもしれないです。ちょっとグロ要素ありです。ご注意ください。

それでもいい方どうぞ!

 竜界にて、とある公園付近で容姿に全く違いがない三匹の炎竜と、それらより高さが半分以下の三匹の子竜がそれぞれ戯れていた。

 子竜達はじゃれ合いながら公園の遊具を見つけ、そのうちの一匹は親竜と目を合わせる。


「ねぇ〜ママ〜、あそこで遊んでいい?」


「えぇ、いいわよ。遊んでらっしゃい」


「わ〜い!」


 三匹の子竜は陽気に無邪気な子供のように駆けていく。

 それを見守る三匹の親竜、シューイ、カレッド、レナはそれぞれの子竜達の事を楽しそうに話す。


「それでさ〜うちの子供が色々壊すのよ〜」


「えぇ〜!?本当にぃ?うちの子は行儀良いし、もう飛べるようになったのよ〜」


「うそー!?すごーい!」


「うちの子も見習って欲しいわ〜」


 自分の子供が出来て母性が生まれた三匹は、本能で行動せず感情、自我を持って人間と同じく日々を暮らす。この感情を共感できる三匹はすっかり意気投合し、ママ友みたいに和気あいあいと自分の子供について、公園の遊具の近くにある木製のベンチに腰掛ける。背もたれがないので翼や尻尾があっても快く座れる。

「人間と」とは言っても当然かけ離れた生活だが、自由奔放で気ままに、平和に暮らしていた。

 ところが突如楽しそうに遊ぶ声が、助けを求める声に変わる。


「うわぁーっ!」


「助けてママーっ!」


 三匹とも話をやめ、素早く声のする方へ意識を向ける。すると子竜達が透明なキューブ状のゲージに囚われてフヨフヨと空に浮いている。急いで駆けつけようとするが上から聞こえる声に足を止める。


「やぁみなさん、こんにちは」


 声と共に赤い竜がゆっくりと地に降り、三匹の前に立ち塞がった。


「あなた、一体これはどういうこと!」


「どうって見りゃわかるだろ。捕まえたんだ」


 明るく浮ついた態度は誰がどう見てもウザく感じ、口調は当然のことをやったまでだと言っているようだ。


「なら……」


 一斉に三匹の目つきが変わる。


「取り返させてもらうわ」


「おぉ、怖い怖い」


 立ち塞がる赤い竜は、怖がる様子もなくこの状況を楽しんでいる。

 先に攻撃を仕掛けたのはレナ。足に力を込め勢いよく近づく。


「ふん!」


 スピードを殺さないまま、棒立ちの竜の腹へ向かって強烈な右ストレートをお見舞いする。

 が、手堅いはまるでない。むしろ攻撃が当たってないように見えた。レナの右手はしっかりと受け止められ、敵は微動だにしない。


「ククク……」


 不敵な笑み、不敵な笑いを浮かべると、握っているレナの右手を握りつぶし始めた。ゴミ収集車に投げ捨てられたゴミのように、手は押しつぶされ原型を失いつつある。

 あまりの一瞬の出来事で折れる音や、指があらぬ方向へ曲がっていく事実を、レナは理解することができなかった。理解したら最後、痛みと畏怖が織り交ぜてやってくる。レナは痛みにたまらずたくましい竜の咆哮を上げる。


「グアアァッッ!!」


 その行為を中断するよう、シューイは空中で巨大で分厚い剣を生成し、敵の腕を切断するつもりで落とした。


「おっと」


 敵は血まみれの手を離し、後ろへ飛び退いた。それと同時に隔てていた巨大な剣は消え、シューイはレナをカレッドの元へ運び、できた切れ込みより後ろに仁王立ちで構えた。

 レナのぐちゃぐちゃになった手は、シューイの治癒により形を取り戻していく。


「クク、お前らを暴走竜(ライオット)にするのは惜しいな。さぁ、かかって来い。俺を倒さないと子供は開放しないぞ?」


 レナは治った手を開いたり閉じたりして確認した後、再び前に出てシューイと肩を並べる。


「私たちの子供に手を出して、ただでは済むと思わないことね」


「お前らこそ、この俺を失望させるなよ?」


 この小さな公園で激しい争いが勃発する。


 数分後、三匹は打ち負かされていた。体の損傷はほぼ無しに等しいが、地べたに寝そべり必死に体を動かそうともがく。


「まぁ、所詮こんなものか」


 滑り台の上でつぶやく敵。

(嘘でしょ……。私達ほとんど何もされてないのに、この有様だなんて!)

 レナは悔しさのあまり、力を振り絞って地面を殴る。

 カレッドはこの状況でも冷静に考え、まだ動けるうちに敵の情報を知ろうと尽くす。


「あなたは一体、何者なの?」


 敵はほくそ笑んで答える。


「俺はカーマイン、言えば分かるだろ?」


「カーマインって……、かの弟の!?消えたはずじゃ」


 カレッドは目の前の敵が炎竜神スカーレットの弟だと悟る。それ以前に行方を絡ませていたカーマインの存在に驚きを隠せない。


「喜べ。お前たちは選ばれたんだ、この俺に。いうこと聞けば子竜は返してやらんこともない」


 我が子を一番に思っている三匹は、選択の余地などなかった。必死に懇願した後意識を失い、とある場所へ連れてこられる。

 三匹が目を覚ますと目の前には、少し大きめの透明なゲージに眠っている子竜達が全員入っていた。

 レナは抱きしめたい気持ちでいっぱいになり、近づこうとするが見えない壁に阻まれ阻止される。どうやら親竜もゲージに閉じ込められているようだ。


「やぁみなさん、目が覚めたかい?」


 その声に子竜たちも目を覚まし、親の姿を見て飛びつこうとするがこちらも壁に体をぶつけ阻止される。


「うわーん!」


「ここどこ〜!怖いよママ〜!」


 子竜達は泣きじゃくり必死に助けを求める。


「うるさいなぁ、ゲージの強度を上げるか」


 カーマインは透明なゲージに手をかざし、ゲージを赤く染め上げた。その結果泣き叫ぶ声は遮断され、カーマインは親竜の方へ向く。


「簡単に言う。お前らがこいつら(子竜)のことを思ったり、俺のいうことを聞かなかったりしたら、こいつらにきつい拷問を、死なない範囲でお前らの目の前で行ってやる」


「何よそれ、いうこと聞けば手は出さないって約束だったじゃない」


 ここでも浮ついた態度は変わらない。


「俺がそんな約束守るとでも思ったか?それと今逆らったからお仕置きだ」


 ゲージをまた透明すると、まだ泣き叫ぶ子竜達の姿が。カーマインはみんなが阻まれている壁を通り抜け、子竜へ近づく。

 カーマインは無数の剣を生成し子竜達に向けて放つ。

 串刺しにされ地面に張り付けにされるも剣を飛ばす勢いは止まらない。

 流石に親竜も涙を流し、必死に懇願する。竜玉を壊されなければ死なないものの、痛めつけられる姿は親にとっては耐え難いものだった。下手したらいつ本当に殺されるかもわからない恐怖もあった。


「もうやめてぇ!お願いだからぁぁ!もうやめて……!」


 会話がしやすいように一旦剣を飛ばすのをやめる。


「やめて欲しいの?ならいうこと聞けるかな?」


 言い終わると飛ばすのを再開する。


「聞くから!本当にぃ!だから子供達だけは……」


 ストレスのせいかその場に涙を流しながら倒れこむレナ。シューイはレナに寄り添い少しでも安心させようとする。カレッドはあまりに凄惨な状況にカタカタ身を震わせながら絶句する。

 カーマインは飛ばすのを完全にやめて、気分が高揚し不気味な満面の笑みを浮かべる。


「クハハ!そうだ、その顔!その絶望!これからもっとみれるとなると楽しみでたまらないぜぇ」


 カーマインが三匹に課した命令は、雑用とかそんな生易しいものではなかった。平たくいうと暗殺。竜界に不必要な竜をただ意味もなく殺すこと。カーマインからは三匹の行動が見えているので、不自然な行動を取るとその時点で子竜が痛めつけられる。

 三匹は逆らうこともできず、言われるがままに実行する。いつか我が子が解放されるその日まで。

 結論からして言うとそんなことはなかった。三匹に制限された「子供のことを思うとお仕置き」という条件が、彼女らを狂わせた。

 果てしなく長い間殺戮に手を染めて行った結果、もう子供のことなんて思い出せなくなっていた。親竜はただのカーマインの従順な配下になってしまったのだ。

 カーマインはある日、三匹に命令を下す。炎竜神となった人間が、暴走竜と戦っているのでそれを見てこいとのこと。黒いローブのようなもの渡され、極力不自然になるようにした。

 またしばらく経つと今度は人間界へ行けと言われる。文化祭と言われるイベントに、炎竜神の人間が来るように仕向けたらしいのだ。

 そこで大地と親竜三匹は衝突した。

 その間にカーマインは長い年月が経って、だいぶ成長した子竜にとどめを刺す。


「お前たちはよく道具になってくれたよ。ご苦労さん。お礼に殺してあげよう」


 無抵抗な三匹の竜をいつも通り痛めつけ、竜玉を集めた。三つ指の間に挟むと「儚いなぁ」と言って一気に割った。


 話は文化祭へ。大地の前に膝をついてうなだれて死を覚悟する親竜。むしろ自ら殺してくれと頼む。

 彼女らは大地の母親を思う気持ちで思い出しのだ。自分たちに子供がいたことを。

(あぁ、これが死なのかしら。飛ぶつもりもないのに空へ、宙へ飛んで行く……)

 レナは、白い空へ向かって手を伸ばし、安らかな表情をする。


「待っててね我が子達。私たちも今からそっちにいくから」


 そう言った途端、目の前から迫る三つの影。それは成長した子竜たちの姿だった。それぞれ三匹とも泣きじゃくりながら、思いっきり抱きついた。奇跡の再会だ。


「ママ〜!怖かったよ〜!痛かったよぉ〜!」


「よく頑張ったわね、本当に……。……ごめんなさい」


「ねぇママ泣いてるの?」


 レナは涙を拭き取り笑顔で答える。


「うん。そんなことよりまたみんなで遊びましょ」


 体は立派になっても精神は子供なので無邪気に返答する子竜。


「遊ぶ遊ぶ!けどこれからどうなるの?」


 いまだに浮き続ける状況に子竜は疑念を抱く。

 レナは快く答える。


「痛くも怖くもない平和な世界に行くのよ。そこでみんなで暮らそうね」


 六匹の竜は幸せに包まれながら、先の見えない白い空へ登っていった。




ここまで読んでいただきありがとうございました!

それではま……


レナ「逃がさないわよ作者。再登場できるから戻ってきたと思えば、よくもこんな役させてくれたわね」


まぁまぁ落ち着いて、これはアレですよアレ。ちょっとしたアレですよ。はい。


シューイ「アレじゃないですよ。私の役目もほとんどないじゃないですか!」

カレッド「そんなこと言ったら私なんて話して怯えてるだけだったけどね!?」


わぁお不満爆発。まぁ、もともと伏線はるだけの話ですし、無くても我慢してくだせぇ。


カレッド「わたし疲れたので大地さんが作ってくれた休憩所に先に行っときます」


シューイ「待ってくださいよー!」


ほんとに自由奔放だな。手がつけられないや。レナは行かないのか?


レナ「私もそのつもりよ。それじゃあね作者さん」


は〜い、お疲れ様でした〜。では自分も切り上げますかね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ