取扱説明書
52話です!はっきり言って、なんかしっくりきません。どう表現したらいいんだろうとかずっと思って手が進みませんでした。やっぱ書くの向いてないなぁ〜とつくづく思います。
長くなりました!それではどうぞ!
僕は友達を送り届けた後、急いで戻る。地面に着地する時、小さく羽ばたき、スピードを緩めゆっくり着地する。
なぜ急いでいるのかというと……
「帰って来たぞ一。それじゃあまず、服を…着ようか」
そう。一はずっと全裸で、家に行った時相当戸惑った。力が強すぎて衣服が全てビリビリになっていたのだ。当然一は1人で暮らしているので裸でも問題ない。が、流石にプライドは傷つくそうだ。
一は呆れた様子で返す。
「着れるならとっくに着てるよ。着れないから裸なんじゃないか」
「まぁ待って、まだ続きがあるよ。えっと、胸のあたりがむず痒くない?」
「いや、しないけど」
「えっ……」
「そのかわり、なんか冷気が漂ってるっていうか、ひんやりする。息がしやすくなった。あとは、体がものすごく軽いことかな」
一は証拠にスーハーと息を吐いたり吸ったりするが、正直言って見た感じわからない。本人がそう思っているなら多分そうだろう。
「多分その冷気が竜力だと思う。僕の場合はなんかもやもやする感じだけど。じゃあそれを動かしてみて」
「いきなり!?どうやって?」
「頭の中でイメージしたら動く。試しに右手の方に集めてみたら?」
「わ、分かった」
そう言って一は右腕を前に突き出し、目を瞑った。すると一の右手から陽炎っぽいゆらゆらしたものが出始めた。それについては一も何か感じたようだ。
目を見開き感心した様子で言う。
「おぉ、なんか冷たいのが来た。これで合ってるのかな?」
「多分合ってると思う。そしてそれを集めて固めてイメージすれば大体思い通りになる。思う強さが強いほどより強力になったりするよ」
「なんかいきなり適当な気がするんだけど」
「仕方ないでしょ。だってそのへん適当で良いんだから」
僕もそのへんの説明はあまり詳しくはできない。集めて固めて思う。それだけで竜力は扱えるのだ。もっと工夫のしようはあるが、今はこれさえできれば大丈夫だ。
「感覚が分かったなら、もう服ぐらい出せるようになるよ。出来るだけイメージは具体的にね」
「ほんと!?よかった〜。もう寒くてたまんないよ〜。それじゃあ……」
一はまた目を瞑り、集中する。すると一の体の周りに水色の膜が生じ、それは服の形になってパッと実体化した。
一は目をゆっくり開け、試しに出した服を両手でペタペタと触る。
「す、すごい……。ほんとにできちゃった。この力の使い方って案外簡単なんだね」
「でも、注意しなければいけないのが、それはあくまでも竜力で作った服だから、なんらかの形で一の竜力がなくなれば裸だからね。一応普通の服は着といた方がいいよ」
その後僕は、竜語や、竜文字を教えた。これらもすんなり覚えてくれた。やはり日本人が日本語が覚えやすいように竜には竜の言葉、文字が覚えやすくなっているのだろう。だが唯一飛ぶことはできなかった。いろいろ考えて試してみたものの、あまり効果は表れなかった。そのことについては後でアドニスに聞くことにした。
そして気づけばもう、朝の6時前であった。僕は一とベンチに座り、言った。
「なぁ一、よかったら一緒に住まない?」
「いいねそれ。まだ大地から聞きたいことあるし、それに……もう1人はこりごりだ」
会話が終わると一は僕の背中に乗り、僕は飛び立つ。
家に向かうと途中、一が話しかける。
「これから僕らどうなるんだろうね」
「わからない。けど、とりあえず今は……生きてればいいさ」
「そうだね……」
その後もなんとも言えない空気が漂った。
ここまで読んでいただきありがとうございました!ではまた。




