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竜の希望  作者: 猫☆ライフ
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人間のままで②

第50話です!だからと言ってどうという事はありません。通常通り行きます。それではどうぞ!

 僕はトイレの前に座っている(はじめ)に話しかける。


「まず、どうして黙ってたんだ?」


「い、言えるわけないでしょこんなの!打ち明ける大地が異常過ぎるよ!察してくれよ……」


「ごめんごめん。じゃあ分かった。一の事が知りたいな。いろいろ教えてくれない?」


「じゃあってなんだよ。しかもいきなりどうした!?まぁ、話すけど」


 僕から言ったら、また空気の読めない質問しそうなので、一から話してもらおうと思った。一は多分1人で寂しかったんだろうな。同じような境遇、つまり僕のような人(竜)がいて内心、安心しているのかもしれない。

 一はこれまでの出来事を赤裸々に語ってくれた。

 まずは驚愕の年齢。なんと570歳。こんなのにいちいち突っ込んではきりがないので、驚きつつもスルーした。

 一は激しい感情の揺れがあると、竜化してしまうらしい。時間が経つとゆっくり元の姿に戻る。僕とは違って一瞬で戻るわけではないので、痛みが尋常じゃないそうだ。今回のテロのような非日常的なことがあるとそうなる。

 一は52歳で生涯を終え、眠りについた。意識がなくなったあとしばらく経ち、音が聞こえて目が覚めた。またしても真っ暗だったが、体に違和感となにやら包まれている感じがした。それを突き破るように力を入れ、体を伸ばした。すると割れ目から眩しい光と自分より遥かに大きい一匹の青い竜、水竜がいた。

 そこからは苦難の連続だった。見知らぬ言語、体、不思議な力、一にとってとても状況が理解し難かった。

 数週間後、一は竜での生活にすっかり慣れ……るはずがなく、なにも解決しないままだった。ふと一はこう思った。

(人間の暮らしに戻りたい)

 と。その思いは日に日に強くなっていった。

 ある時、外を散歩していると一にチャンスが訪れる。一が散歩しているルートは竜が極端にいない場所で、人間界でいうなら裏路地のような場所だった。そこで一は見つけた。青く光る輪の形をした扉を。それを覗くとその先には人間がいた。だが、見た感じ日本人じゃないし、風景や街並みも全然違う。しかし、そんなこと一にとってはどうでもよかった。戻りたい一心でなりふり構わずその輪に突っ込んだ。

 人間界に来た瞬間、体が凄まじい痛さとともに縮んでいった。あまりの痛さに意識を失った。

 意識が戻り、体を動かすと馴染みのある感覚がした。手足の指が短く、5本に戻り、顔も平面に、お尻の先の違和感もなく、肌色の皮膚、そして全裸。一は人間に戻っていた。

 それから何やかんやあって、どういうわけか日本へ戻って来て今に至る。何かのトラブルで竜化してしまった時、身を隠すのに相当苦労したらしい。


「ところで、大地はいつ死んだの?」


「いや、死んでないよ。竜の力を継承したんだ。まだ分かんないことだらけだけどね。それに一は人間になりたいだの言ってたけど、人間でいいんじゃないのか?人間にちょっと竜の力がちょっと混ざったくらいに考えればいいと思うよ」


「大地はすごいな。僕なんか500年も生きてるのに……。そんなたくましくなれないよ。……そうか、人間でいいのか。ふぅ、僕はちょっと考えすぎたみたいだ。ありがとう大地、おかげでちょっと楽になったよ。この力を拒み続けて来たけど、なんか受け入れられた気がする。みんなは受け入れてくれるかな?」


「大丈夫だよ。こんな僕だって認めてくれたし、みんなじゃなくても僕がいるよ」


一は泣きはしなかったが、震え声で言った。


「ありがとう」


その瞬間、体育館でマイクを使って指示を出す声がする。

実は1人だけ自力で拘束を解けるようにしておいた。あの時、置いた紙の通りにしてくれれば非常に助かる。ちょっとデタラメすぎるかもしれないけど。

だって「校舎下に時限爆弾仕掛けてあるから、早く学校から離れて」なんて信じてもらえるかどうか。


「せ、生徒の皆さん。今から警察の方が来るので速やかに帰宅の準備をし、各自、5時までに下校してください。以上です」


流石にまずいと思ったのか教師は、内容を変えたがこれはこれで良し。頭のいい人で助かった。


「ねぇ、大地。こっからどうするの?」


「どうするって、みんないなくなるまで待つよ。この様式トイレの中で」


生徒の足音が通り過ぎる中、僕たち2人…もとい2匹は待った。

生徒達が外へ出て行く足音がする。すると一が小さな声で話しかける。


「ねぇ大地、めっちゃうるさくない?」


僕も小さな声で返す。


「多分、竜の力を受け入れた証拠だろう。制御できるようになったら直るよ。使い方も後で教えるね。……当然、服の直し方とかもね」


一はさっきの竜化のせいでもれなく全裸だ。生徒が過ぎ去るまで一緒だと思うと少し恥ずかしくなった。








ここまで読んでいただきありがとうございました!今回は特に何もいうことがありません。

ではまた。

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