報い⑥
第48話です!ようやくこの話も終わりです!ながかった……。……疲れた。頑張って書きました!今回も微TF注意です。それとグロも注意です。それではどうぞ!
「すまない。取り乱した。なんせ準備に何年もかかったからな。今この瞬間が嬉しくてたまらないよ。アハハッ」
最後の高笑いはこれ以上興奮しないように、だいぶ抑えめに見えた。
そして僕はふと今疑問に思ったことを聞いてみる。
「なぜあなた達はこのような行為に及んだのですか?さっさと裁判にかければいいものを」
「それに答えるには〜、そうだ。そろそろ俺たちの仲間を解ほ」
「僕の質問を先に答えないと拘束した仲間を
と言いつつ、両手がバキバキと鳴り、形が変わっていく。鱗が生え小指と薬指が癒着し、爪が太く鋭くなっていった。
そして目が急激に乾いた感覚と同時に、瞳孔が縦に裂け、瞳孔以外、目が赤に染まる。
変化が終った後、ものすごい殺気を放ち、言った。
殺す」
顔は真顔だが、多分放ってると思う。蛇目がそれなりに仕事をしてくれているはずだ。本当は殺すつもりなんて毛頭無い。この条件を出せば相手の一番の目的を利用できる。
僕は心底この人が仲間想いの人であってほしいと祈った。
「なるほどな。殺されちゃ意味がないな。じゃあこっちから答えてやるから必ず解放しろよ?」
「いいですよ。自分は嘘つきませんし、なんならここまで持ってきます。いや、送迎バスの方まで持って行きますよ」
嘘は数秒前ついたところに矛盾を感じた。
「そうかい、そいつはありがたい。それじゃ、なんでわざわざこんなやり方かというと、悔しかったんだよ。前の抗議で全て白を切られ、挙げ句の果てには大事な書類や証拠がシュレッダーに。言葉じゃだめなら必然的に力で制するしかないだろ。見てみろこの有様を。銃で脅すとあっけなく投降し、裏付けの書類の代わりにこのボイスレコーダーが全て記録してくれた。必要なことは全て吐いたんだ」
また笑いそうなのを我慢しつつ話を続ける。それと同時に下を俯き、どこか悲しげな表情をする。
「もうな、世界は腐ってるんだよ。理不尽、不条理、不合理極まりない。何にもしてない俺がこんな目に合う。それはここの生徒も同じ、どうせ優秀な奴だけ秘密裏に弾かれるだろう。世の中は力を有する者が勝つんだよ。正義も悪も。だからさ……お前死ねよ」
言い終った途端、右胸の内ポケットから左手で何か取り出した。灰色をした直方体に小さい一本のアンテナが立っていて、真ん中に赤い丸のボタンがあった。
(何を?……手榴弾か!)
慌てて下を見て、被害を最小限に抑えるため、尻尾で巻こうとした。その時1つの銃声が鳴った。左肩に何かが当たる。
「あ?」
敵はまだもう一丁の村田銃(散弾銃)を隠し持っていたようだ。
(けど、こんなの全然き……全然効いてる!?そうか、手しか鱗つけてないんだった!)
当たった左肩からじわじわと血が溢れ出し始める。
「お前ウザいんだよ!それだけ力を持っていながらさぁ」
話の途中で、ポンプアクション式のショットガンのガシャッとハンドグリップを前後に往復させる音がする。そして銃声。今度は右肩に当たった。痛さは竜化に比べて凄く生ぬるい物だったが、上体が右後ろに持ってかれ、思わず声が出る。
「イィッッ!?」
「何が人間の動きでェェ」
今度は右膝に当たる。両肩と同じく血が滲む。
「ウグッ……」
「人を見下すのもォォ」
次は左膝に。撃たれ続ける僕は、だんだんと後ろへ下がっていく。
「大概にしろ!!」
「アッ……」
視界が真っ暗になった。どうやら顔面を打たれたようだ。そのまま後ろに倒れ、頭だけ壁にもたれかかる感じがした。バラ色のカーペットに真紅の血だまりが出来ていく。
体はともかく、割と精神的ダメージが大きい。僕なりの気の使い方が、いつのまにかこの人の逆鱗に触れていたとは。
耳の方は壊れていなかったので、敵の会話は聞けた。相手は縛り付けているうちの僕が起こした人だろう。
「先生……殺しちゃったんですか」
「別にいいだろ。人間は殺してない。化け物くらいならいいだろう」
「ちゃんと死んだの確認しました?相手は化け物ですよ?」
「分かった分かった。今確認……って、えぇ!?無線切るぞ!」
ーーーーブツンーーーー
服は破れているものの、何事もなかったかなように立ち上がる僕を見て敵は驚く。
「な、なぜ貴様生きている!?」
「ああ、これくらいならどうってことないですよ。損傷がひどくて数秒経ってしまいましたが、さてと……」
少し感覚が鈍っている僕は、のそりのそりと敵に近寄る。
「く、来るな……!来るな!殺さないでくれ……!」
敵は恐怖のあまり腰が抜けて、尻餅をついた。
さっきの殺気に加え、ふらふらしながら近づいたのが、余計恐怖を与えたようだ。別に何にもしないけど。
敵の顔に近づき、僕は言った。
「償いをしなければなりませんね。シュレッダーはどこにあります?」
「殺さな……は?」
「だ、か、ら、シュレッダーですよ」
「そ、それならそこの机の下に……ヒイイィィッ」
いちいちうるさい人だ。まるで別人だ。僕が動く度に叫ばれるのはうるさいし、何より心が痛い。化け物じゃないぞ僕は。尻尾とか翼出てるけど!
僕はシュレッダーを見つけ相手に問う。
「抗議しに行った年代と日付、そしてシュレッダーにかけられた物を言ってください」
「は……はぁ、年代は今から7年前、日付は8月20日。かけられたものは銀行の名前が書いてある書類一枚と、三枚の写真だ」
「分かりました」
僕はシュレッダーにボールペンを使って竜文字でその情報を書き、竜語で唱えた。すると魔法陣が"ブゥゥウウン"という音ともに形成され、四枚の紙が出てきた。出てきたものを相手に渡す。表情もだいぶ柔らかくなった。
「あなたが言ったのってこれのことですか」
「……ッ!?これだ。7年前のやつと同じ……!貴様は……一体……?」
「……あなたは、世界は腐っていると言いました。本当にその通りだと思います。理不尽なのもニュース見てれば大体わかりますし、それに僕は元々人間で力を手にしたばっかりで、使い方を考え自分なりの正義を執行してきたつもりでしたが、それがあなたの正義の妨げになっていたとは知りませんでした。すみません。あとはこっちに任せて、あなたはあの4人と平和に暮らしてください」
僕は四枚の紙と相手が持っている書類数枚と、ボイスレコーダーを取り上げ、この場から立ち去ろうとする。
「おい待て!貴様こんなことしていいのか!?俺たちはテロまでしたんだぞ!見過ごすのか!?」
「それは、この校長が悪だからです。あなた達を苦しめ、人生を壊した。それは僕にとってあなた達の行為は正義だと思いました。この人にはきちっとした報いを受けてもらいます。あ、校長縛ったままで結構ですよ。それにテロをやったって自覚あるなら、もうこんな悪いことしないでくださいね」
「はっ……お前、意味分かんないよ」
敵は早々に立ち、僕より先にドアを開けて出ようとする。
「ありがとな。化け物」
「仲間は体育館にいます。どうかお達者で」
僕は走り去っていく敵を見送った。
リーダーこと先生は、体育館に到着した。そこには拘束されていない4人の姿があった。未だに生徒は集められており、静かであった。なぜなら4人が指揮をとり生徒をまとめていたからだ。
先生は4人に足早に近づき、声をかける。
「なんでお前ら拘束されてないんだ?」
「そ、それが、実は……」
かくかくしかじかと説明する。
「はぁ!?俺のことを一部言ったぁ!?」
「はい、あの人は真相にたどり着いたあと、すぐ走って行きましたが、すぐに戻ってきて俺たちに言ったんです。『今からあなた達の拘束を解きます。そのかわりここの生徒をまとめるのと、拘束されていないのをリーダーに言わないでください』と。しかもあの人は俺たち4人に殺す意思がないことに気づいていました。……変な人でしたね」
「そうだな。俺もつくづく思うよ。あいつは変なやつだと。まぁ、化け物だったけどな!」
しばらく経ったあと、生徒を連れてこられた教師に任せ、5人はそれぞれバンとバスに乗る。バスの運転は先生しかできない。そこにKも同行した。他3人はバンだ。
バスには睡眠ガスで眠らせ、さらに睡眠薬を飲ましたバスの運転手とリーダーとKが乗っている。
リーダーがKに話しかける。
「なぁ快斗、あいつは一体なんだったと思う?」
「あの人のこと、ですか。俺には意味不明すぎて何にもわかりませんでしたよ」
「だよな。けど一つ言えることは、世界のことを何も知らない人間だと思ったよ。そうじゃないとあんな行為はできない。今の世界は弱者は気にしない。力を持つものが重宝され、弱者は置いてけぼりにされる。ほら、核爆弾とかあるだろ?核を持ってる国はそれだけで優位に立てる。けどあいつはそんな絶大な力を持ってしても、俺たちのような弱者に手を差し伸べてくれた。見た目は完全に化け物だったが心は人間なんだ」
「その人の見た目、というか竜って言ってましたよね。さしずめ『竜の希望』と言ったところでしょうか」
「ははは、上手いこというじゃねぇか。よし!3人に内緒でラーメンでも食いに行くか!」
「賛成です!」
その後も賑やかな会話がバス内に響いた。
ここまで読んでいただきありがとうございました!先生が出て行くところなんかア○ダーテ○ルに似てる。意味分かんないよみたいなところ。どうでもいいですね。そしてようやく題名に触れる。予定では一番最後に出すつもりでしたが、この辺で触れるのもありかと。そして長いですね。すみません。
テロ5人組詳細。
先生
白崎 日向
しらさき ひゅうが
180cm、メガネ、イケメン。逆立ちしながら牛乳が飲める。IQ149
K
白崎 快斗
しろざき かいと
173cm、先生と苗字の漢字が同じで意気投合。イケメン、元ヤンキー。世界がつまらなくなってグレた。先生をきっかけに更生を誓う。IQ153
S
千原 綴
せんばら つづる
168cm、小柄、細身、サラサラヘアー。特に特徴的な事は無し。IQ150
2S
椎名 絵心
しいな えころ
179cm、細身、絵が上手い、何度もコンクールで優勝。IQ148
J
佐々木 刃
ささき じん
183cm、筋肉の塊、髪ボサボサゴワゴワ、一閃の刃の異名を持つ。極度のアヒルのくちばしフェチ。IQ136
年齢はみんな30代で、先生は後半、他4人は前半。




