報い⑤
第47話です!今回は前回の反省を踏まえてだいぶ短くしました。このパートは次で最後かな?あと会話文が多めです。あと微TF注意です。それではどうぞ!
僕はある場所に向かって一目散に走り出す。その場所とは、
「校長先生!」
僕はドアを勢いよく開ける。そう。ここは校長室。体育館にいなかったのは、校長先生であり(一を除く)、バスというのは送迎バスのことだ。この時間帯だとそろそろ送迎バスが到着する頃だ。敵のあの表情の理由はこれだった。敵は全部で4人ではなく、5人いたのだ。どうやってバスジャックしたのかはどうあれ、この5人目がリーダーなのだろう。当然送迎バスの音は聞こえたが、まさか乗っ取られているとは想像もしなかった。何より時間帯が全く一緒だったので、不自然に感じなかった。要するに4人は当初の計画を変更し、僕の気をそらすための時間稼ぎをしていたわけだ。
ドアを開けた先には、手足と口を縛られ、目隠しをされ机の上に横たわっている校長先生と、その後ろにいる身長180cmくらいの男が立っていた。男は村田銃を校長先生の頭に突きつけている。
「貴様が例の侵入者か。俺の完璧な作戦を9割ほど潰したのは見事だ。褒めてやろう。しかし残り1割は残念だったなぁ」
いかにも悪者っぽい話し方で話す。
校長室は対談できるように向かい合ったバラ色のソファーと、その間に透明なガラスのテーブル。その奥に校長先生の机と椅子がある。下にはバラ色のカーペットが敷いてあり、壁際には本棚などがある。そして隅っこには掃除道具が入っているロッカーがある。
いろいろ聞きたいことがあるが、いまは安全が最優先だ。殺すつもりならとっくに殺しているはずだから、僕が来るのを待って話がしたいんだろう。恐らく仲間の解放が目的か。敵の無線機を取るのを忘れてきてしまったので、2人で話し合い、交渉で敵のいい方向へ持ってかれるかもしれない。とにかく仲間の解放の条件を覆せるように、こっちも何か切り札的な交渉内容を考えなければ。
僕は今までの経験から敵に告げる。
「まず、凶器の類や、その銃をこっちへください」
「お!いきなりそれか。じゃあこっちはそうだな〜」
敵はずいぶん軽い感じで喋る。
予想通り話はできそうだ。……カーマインとは違って。
「貴様の正体を教えてもらおうか」
痛いところをついてくる。もし世間に広まったらどうしようかと悩む。少しの間黙っていると敵が口を開く。
「安心しろ。別に広めたりはしないさ。これでも一応紳士だったし」
当たり前のことだが信用できない。でもこんなところで止まっていたら何も進まない。僕は渋々"バサッ"と翼を出して言う。
「僕は竜です」
「いや、それだけじゃダメだ。作り物かもしれん」
それもそうだ。だってこの世に存在しないものだからな。今度は服の破ける音と共に"ビュルッ"と尻尾を出した。というかとても地味な打ち明け方だと心の中で思った。
「人間じゃないのはKに教えてもらったが、まさか貴様は竜とはな。反応薄いけどこれでも驚いとるぞ。さてと、凶器と銃だったな。ほらよっ」
そう言った敵は校長先生の頭に突きつけていた村田銃やナイフ、スタンガン、手榴弾などをこちらへ投げ捨てた。手榴弾危ねぇ。僕は聞きたいことを忘れないうちに、次の質問は進む。
「あなた達の目的はなんですか?」
「いいのか?先に言う方が不利だぞ?」
僕はコクコクと頷く。先に進めるためだから、ここまでは敢えて相手の有利な立場にする。
「じゃあこっちは〜、なぜ貴様は早々にけりをつけなかった?貴様が4人を制圧するくらい容易いだろう?」
「それは……あなた達の考えた作戦を踏みにじらないためです。なるべく人っぽい動きをしようと思いました」
「意味不明だな。そして理解できない。ほとんど答えになっていないが、まぁいいだろう。俺たちの目的はコイツの悪事を世間に晒すためだ。貴様らは知らんだろうがコイツのしでかした悪事は数え切れない程ある。俺たちは被害にあったその中の5人だ。ここの学校の卒業生で学力はトップだった。このことにコイツが嫉妬したのか、大学進学を取り消され、教師である私にも様々な濡れ衣を着せられた。刃のやつも大学には進学できなかったが、いろんな大会で優勝して有名になった。だがコイツは嘘の話をでっち上げ、広め、世間は出られなくした。そしてあの4人は私の生徒。つまり私は担任だったのだ」
少し余分な話が多かったが、要は校長先生に仕返ししたいわけだ。
「その晒す方法はあるんですか」
「ついでに答えてやろう。コイツの悪事は財や権力を行使しての誤魔化しだった。お金の動きを記したデータと、有名な人との関わりを示すアリバイの書類がある。これでも充分だと思うが、これを裏付ける書類をだいぶ前コイツに抗議した時、全てシュレッダーにぶち込まれてしまってな。裁判でもギリギリ勝てるくらいだ。一応報道陣に、この二つの書類を見せ、晒し上げるつもりだ」
校長先生は体をくねらせ、もがきながら縛られた口元で「ンーーッ!ンーーッ!」と言っている。それを見た敵はなぜか少しずつ笑い出し、興奮し始めて言う。きっと仕返しができることに喜びを感じているのだろう。
「あぁ!?どうだ!?悔しいか!?今から貴様は俺と同じ社会的弱者になるんだ!俺にやった仕打ちのようになァ!貴様にはな、報いがいるんだァァ!裁きが必要なんだよォォッッ!」
僕は異常にヒステリックになり始める敵に少し引いた。
ここまで読んでいただきありがとうございました!ではま……
大地「ちょっと待てぃ!なんで全部敬語なんだ!?もっとかっこよく喋ってくれよ!」
おぉ、久々の大地くんじゃあありませんか。今までどこに?
大地「あんたが変なバリア張るからここに来れなくなったんだよ、こんちくしょうめ」
作者バリアはなんでもありです!そして大地くんが敬語なのは相手が人間だからです。ご了承ください。ではまた。




